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二人の王様
第23話 信じて
しおりを挟む『もっと凄い命令』に胸騒ぎがして耳を貸すと緒方遥はとんでもない命令を隠し持っていた。
『ボクのいう事聞かないなら【辻修斗の半径1m以内にボク以外の人間は近づいちゃダメ】っていうすっごい命令出しちゃうよ?』
半径1m…そんな命令されたら、ナギに触れることすら出来ない。
最悪な命令を出させないために緒方の要求を飲むしかなかった。
「修斗なにか理由があるんだよね?」
教室に帰る途中、目を赤くしたナギが問いかけてくる。
だが『二人だけの秘密』となっているから内容を話すことは出来ない。
「………」
「理由を話して欲しいな。」
ナギの顔を見るのが辛くて目を背けるしかなかった。
「秘密だから言えない。」
「そ、か………」
最悪の命令は出ていないのにナギとの間にすでに壁が出来てしまっている。
このままだと俺達は………
怖い考えを振り切るようにナギを強く抱きしめた。
「修斗…」
「話すことは出来ないけど俺を信じてくれ。絶対なんとかしてみせるから」
「…うん…うん」
根拠はなかった。
でもナギを失わないために、どんなことでもしようと心に誓った。
放課後、生徒会室に保管されているクラウンゲームの資料を読むため、書庫の鍵を職員室に取りに行こうとすると緒方が迎えに来た。
「修斗❤一緒に帰ろー❤」
俺に抱きついてじゃれついている。
「俺、生徒会室に用事があるから」
「………だーめ、ボクと一緒に帰るの❤寄り道なんかさせないんだから」
「…わかった。帰ろう。」
周囲の視線が痛い。
お怒り気味のナギが横をすり抜けながら
「バイバイ修斗、また明日。」
「あ、ナギ、また明日な!」
慌てて返事を返したけどナギに届いたかはわからなかった。
「わーこわいこわい。振り向きもしないんだね。じゃ、ボク達も帰ろうよ❤」
王様と帰る道すがらいろいろ考えていた。
明日朝一で鍵を借りに行ってクラウンゲームの資料を読めるといいな。
朝早過ぎて先生が職員室にいるかわからないけど行くしかない。
手元に生徒会室の合鍵は持っていても書庫はないからな。
もし先生が捕まんなかった時のために、あとでナギにメールしてかわりに読みに行って貰おう………。
「………あーーーーーーーーっ!!」
「なっ!!なに?!」
「………なんでもない。」
「びっくりしたじゃない。」
忘れてた………ナギのスマホ壊れていたんだ。
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