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47、漏洩していた秘密
しおりを挟む「ご存知の通り、エンリケ殿下は性に奔放で、子種をそこら中にまき散らしていました。それだけ、女性と関係を持っていたということです。その中には場末といえるような環境の娼婦や、異性にだらしない女性もいたのです。余りに候補が多くて絞り切れませんが、そこから拾ってきたのでしょう」
「ちょ、ちょっと待って! アタシらはどうなるんだい!?」
「病気の症状が出始めるのは、多くは半年後から一年後です。その、アシュトン公爵令嬢の尽力もあり、何とかエンリケ殿下に薬を飲ませたり、治療をさせたりしてここ半年は五つから三つまで減らすことができたのです。
勿論、殿下には完治まで房事はご法度だとキツく言っていたのですが、あの方が守るはずもなく……」
飽きっぽいエンリケの女性関係は派手だった。まだその性病に気付いていないのは比較的新しい恋人たちだけだ。エンリケは基本、一年持たない。平均で口説き始めて別れるまで半年内で済んでしまう。
色々調査した結果、このお茶会という名の暴露大会となったのだ。
「関係を持っていらっしゃった方には、検診後、内服薬を処方させていただきます。余り放置しますと、将来の子供は望めなくなるだけでなく、局部に痒みや発疹、痛みが出てくるでしょう。放置すればそれは全身に回り、骨や筋肉、神経を侵して瘢痕のようなものが出てきて、顔が落ちくぼんで変形する恐れがあります」
「ひぃ……っ!」
誰かの喉から、真っ青に引き攣った悲鳴が出た。それはミニス自身だったかもしれない。
ミニスは関係を明言できなかったことを悔やんだ。
関係は持っていたが――言いたくなかった。それは、ミニスはエンリケと結婚したかったからだ。
処女ではないミニスは、その相手がエンリケであっても不貞が疑われる。
王室の規律として、王子妃は婚姻をするまで純潔であらねばならない。ヘンリーとグラニアが強引な結婚をしたことにより、更にその規律は厳格になった。
ミニスが純潔でないとバレれば、問答無用で王子妃の資格を剥奪されてしまう。
折角、色々我慢しているというのにという鬱憤と、性病に罹っていたらどうしようという不安が揺れ動いていた。
「ああ、ストーンズ男爵令嬢。貴女もエンリケ殿下と寝ていることは分っています。婚約破棄騒動後、紳士淑女らしからぬ放埓な夜を過ごされたようで」
今まで黙っていた神官が、後ろを通り過ぎざまに言い放った。
その声には隠し切れいない侮蔑が込められていた。
略奪愛をしたことか、性病に罹ったことか、今に及んで黙っている太々しさにか――そのすべてにだろうか。
背筋が凍り、ぞっとする。
(バレていた? いつ? どこでどうやって!?)
きっと、ミニスのふしだらな貞淑は王太后に伝わるだろう――とっくに伝わっていたが。
ぐるぐるとそんな疑問が頭の中で回る。だが、答えは出るはずもない。
「い、いやあああああ!」
ミニスは目の前が真っ暗になり、そのまま卒倒した。
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