来世で独身貴族ライフ楽しんでたら突然子持ちになりました〜息子は主人公と悪役令息〜

こざかな

文字の大きさ
25 / 49
前編

24

しおりを挟む
「…………」
「レイラ様?」
「…………」
「おーい、レイラ様ー」
「……はぁ」

ずどーんと落ち込んだ空気を纏わせて、宿泊予定の宿へと向かう馬車の中で抜け殻のようになっているのは、俺だ。

「なぁ、デリス……」
「はい、レイラ様」
「俺、そんなに男らしく見えない?」

男と結婚しろと言われた時のショックも大きいが、何よりもお前は女側だって断定されたことの方が衝撃が大きかった。俺的には、レイラの身体は最高に男らしいと思うのだけど……。

「レイラ様は、女性を虜にする程の美男子ではありませんか。今日のパーティでも女性たちの注目の的でしたよ」
「違う、そうじゃない。俺は、その……男から見て、男らしいと思うか?お前は、俺に抱かれたいと思うか?」
「はい?」

凸拍子もないことを言い出した主人に、流石のデリスも驚きが隠せないようだ。それもそうだろう。「俺に抱かれたいと思うか」なんて、セクハラもいいところだ。

「……悪い。こんなセクハラ染みたこと聞いて。でも姉上が、俺は抱かれる側だろうと決めつけてきたから、つい」
「ちょっと待ってください。なぜそのような会話に?」

デリスの真剣な目を見て、俺はハッと冷静になった。ついで、顔が熱くなる。
な、なんて恥ずかしいことを言おうとしてたんだ!

「無理にとは言いませんが、なぜそのような話になったのか教えていただけませんか?」

デリスはそう言うが、言外にせめて少しは話せという圧を感じる。これは言わなかったら言わなかったで、後から理不尽なことを要求されかねない。それか地味に嫌な意地悪。

どちらも過去の経験から嫌だった俺は、結局全てを話すことになってしまった。口を割るのが早まっただけだと思おう……。

「姉上が、貴族としての義務だから結婚して血筋を残せって言うから、女性との結婚は無理だって言ったんだ。精神的に、女性をそういう風に見ると体調が悪くなって受け付けないって。そしたら、何を思ったのか、だったら男と結婚しろって」
「なるほど。流石にユリウス様を跡継ぎにするのは認めていただけませんでしたか」
「あぁ。水の精霊王の寵愛を受けた子だから大丈夫だと思ったんだけど、国王陛下にいただいたばかりの爵位に誇りを持てってさ」

流石に二代目から養子が当主とか笑えないかもだけど、一考の余地があったと思うんだ。けど、フィリア姉上があそこまで頑なだと、父上と母上も同じ意見だろう。恐らく、俺自身のためではなく、パトリック家のためだろうけど

「……フィリアお嬢様は、婚約者候補にどなたかのお名前を言っていらっしゃいましたか?」
「いや、とりあえず保留ってことにして逃げたから。はぁ……後で見合い資料がたくさん送られてくるんだろうなぁ。会ったこともない男と婚約なんて考えられないんだけど。しかも俺、未婚なのに養子の息子が二人もいるんだぞ?不良物件すぎだろ」
「まさか!レイラ様はとてもお美しい方です。女性だけでなく、男性ですらも魅了します。パーティで、女性だけでなく、幾人かの男性の視線も奪っていたことに気がつかれていらっしゃらなかったのですか?」
「知るかそんなの」

まったく気づかなかったし、なんなら俺は女性の機嫌取りと尿意との戦いで忙しかったからな。そんなこと気にする余裕はなかったんだけど。あ、そういえば。

「そういえば、お前パーティでなんか企んでなかったか?絶交の機会だった言ってたじゃないか」
「あぁ……それは七割成功ですかね。レイラ様が大人しく壁に咲く花になってくださらなかったお陰で三割失敗ですが」
「いや、だってそれはしょうがないだろ?彼女たちは上位の階級の貴族だし……」
「失敗しかけた分をジェイス・ローレン様に助けられたのも正直腹立たしいです。はぁ……本当は今日でレイラ様の立ち位置を確立するつもりだったのです。気軽に手が出せないような、高みに行ったレイラ様の姿を見せつけることで、昔、貴方を下に見ていた方々は、その高いプライドのために下手に出て話しかけることはできなくなる。貴方が誰も相手にしなければ、かつて受けた屈辱を忘れていないという効果的なアピールになったのです」

「それなのに貴方は……」などと言われても困るんだけど。でも、俺の心は今ぽかぽかだ。デリスは、俺以上に俺を見下していた奴らのことを怒っていたらしい。それが分かって、俺は今、とても心がぽかぽかしてるんだ。

デリスが俺に話しかけてきたご令嬢たちに毒餌を撒いたことを知らない俺は、そんな呑気な感情を抱いていた。もし知っていたら、ヤンデレ要素は不要!って叫んでたかもしれない。
しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放

大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。 嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。 だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。 嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。 混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。 琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う―― 「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」 知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。 耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

【完結】王宮勤めの騎士でしたが、オメガになったので退職させていただきます

大河
BL
第三王子直属の近衛騎士団に所属していたセリル・グランツは、とある戦いで毒を受け、その影響で第二性がベータからオメガに変質してしまった。 オメガは騎士団に所属してはならないという法に基づき、騎士団を辞めることを決意するセリル。上司である第三王子・レオンハルトにそのことを告げて騎士団を去るが、特に引き留められるようなことはなかった。 地方貴族である実家に戻ったセリルは、オメガになったことで見合い話を受けざるを得ない立場に。見合いに全く乗り気でないセリルの元に、意外な人物から婚約の申し入れが届く。それはかつての上司、レオンハルトからの婚約の申し入れだった──

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される

水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。 絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。 長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。 「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」 有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。 追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

処理中です...