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「えっと……」
「遠慮はいらない。まだあの時ほど眠気は限界ではないが、昨日は寝ていないし状況としてはあまり変わらないから確かめるには丁度いい」
俺の心情的には全然丁度よくないですーー!!
しかし、このままクレディア様を待たせてしまうのはよくない。彼はやると言ったらやる男。昼間の洗濯がいい例だ。
傍から見たら頭を下げられているように見える体勢もよくない。俺は恥ずかしさと恐れ多さを抑え込んで決心した。この状況の居た堪れなさが勝ったともいえる。
「で、では……失礼します」
タオルをそっと頭に被せて、優しく揉みこむ。タオルの下に感じる濡れていない髪のさらさら感に、俺は今何をしているんだろうと我に返りそうになるのを堪えて手を動かしていると、両手で挟まれていたはずの頭がガクッと勢いよく下がった。
な、なんかデジャブ……いや、まさかね?
「クレディア様? …………嘘だろ」
ね、寝てるーー!! え、本当に寝ちゃった……!?
俺に人を眠らせるスキルなんか無いはずなのに、クレディア様はすやすやと眠りの世界に旅立ってしまっている。
昨日は眠れていないと言っていたから、絶対そのせいだ。疲れている時や寝不足の状態の時に美容院でシャンプーをしてもらって寝てしまったことがある人も多いはず。
……でも俺はプロじゃないから、そんな効果は無いと思うんだけどなぁ。
ふらふらと身体が揺れ始めたクレディア様を起こすかどうか考えて、俺は溜め息をついた。
「クレディア様、意外と重いんだよなぁ。羨ましい筋肉がこの時ばかりは憎い……」
俺はあの夜のように、寝落ちしたクレディア様をえっちらおっちら動かしてベッドに寝かせた。
疲労感と達成感を感じながら部屋を出て、俺はふと思った。
「もしかしてここまでが再現……なわけないか」
受付で作業をしていたダッドさんに何処に行っていたのか聞かれて、迂闊にも「クレディア様のお部屋です」と律儀に答えてしまった俺は、向けられた胡乱な眼差しを甘んじて受け止めた。
「ユウヒ……」
「何もしてません!」
「まだ言ってないだろうが。それについてはもういい。お前、明日の朝一番にティリムの所に行ってきてくれ」
「ティリムさん?」
ティリムさんは、ミトバで鍛冶屋を営む気の良いおじさんだ。
ダッドさんとフィルトさんとは遊び仲間で、金物が壊れたらティリムさんの店に行けと言われるほど腕が良いらしい。俺はまだ修理とかしてもらったことがないから分からないけれど、あの人の店にはファンタジー世界らしい武器や防具を売っているから旅立つ前に買わせてもらおうと思っている。
「またスコップの修理を頼んだんですか?」
「違う。剣を一本作ってもらったんだ。それを取りに行ってくれ。代金はもう払ってある」
「はぁ……でもどうして剣を?」
「護身用だ」
護身用? この街のトップである町長ビズリーの私兵と時々喧嘩してコテンパンにしているダッドさんに必要か?
「なんだその顔は」
「何でもないです!」
口にしなかったけれど顔は黙っていられなかったようだ。
ギロっと睨まれてしまった俺はそそくさと自分の部屋に帰った。
ティリムさんはとても早起きだ。明日はクレディア様と気まずい挨拶を交わす前に彼の所に行ってしまおう。ついでに朝市で買い物でもしようかな。
「遠慮はいらない。まだあの時ほど眠気は限界ではないが、昨日は寝ていないし状況としてはあまり変わらないから確かめるには丁度いい」
俺の心情的には全然丁度よくないですーー!!
しかし、このままクレディア様を待たせてしまうのはよくない。彼はやると言ったらやる男。昼間の洗濯がいい例だ。
傍から見たら頭を下げられているように見える体勢もよくない。俺は恥ずかしさと恐れ多さを抑え込んで決心した。この状況の居た堪れなさが勝ったともいえる。
「で、では……失礼します」
タオルをそっと頭に被せて、優しく揉みこむ。タオルの下に感じる濡れていない髪のさらさら感に、俺は今何をしているんだろうと我に返りそうになるのを堪えて手を動かしていると、両手で挟まれていたはずの頭がガクッと勢いよく下がった。
な、なんかデジャブ……いや、まさかね?
「クレディア様? …………嘘だろ」
ね、寝てるーー!! え、本当に寝ちゃった……!?
俺に人を眠らせるスキルなんか無いはずなのに、クレディア様はすやすやと眠りの世界に旅立ってしまっている。
昨日は眠れていないと言っていたから、絶対そのせいだ。疲れている時や寝不足の状態の時に美容院でシャンプーをしてもらって寝てしまったことがある人も多いはず。
……でも俺はプロじゃないから、そんな効果は無いと思うんだけどなぁ。
ふらふらと身体が揺れ始めたクレディア様を起こすかどうか考えて、俺は溜め息をついた。
「クレディア様、意外と重いんだよなぁ。羨ましい筋肉がこの時ばかりは憎い……」
俺はあの夜のように、寝落ちしたクレディア様をえっちらおっちら動かしてベッドに寝かせた。
疲労感と達成感を感じながら部屋を出て、俺はふと思った。
「もしかしてここまでが再現……なわけないか」
受付で作業をしていたダッドさんに何処に行っていたのか聞かれて、迂闊にも「クレディア様のお部屋です」と律儀に答えてしまった俺は、向けられた胡乱な眼差しを甘んじて受け止めた。
「ユウヒ……」
「何もしてません!」
「まだ言ってないだろうが。それについてはもういい。お前、明日の朝一番にティリムの所に行ってきてくれ」
「ティリムさん?」
ティリムさんは、ミトバで鍛冶屋を営む気の良いおじさんだ。
ダッドさんとフィルトさんとは遊び仲間で、金物が壊れたらティリムさんの店に行けと言われるほど腕が良いらしい。俺はまだ修理とかしてもらったことがないから分からないけれど、あの人の店にはファンタジー世界らしい武器や防具を売っているから旅立つ前に買わせてもらおうと思っている。
「またスコップの修理を頼んだんですか?」
「違う。剣を一本作ってもらったんだ。それを取りに行ってくれ。代金はもう払ってある」
「はぁ……でもどうして剣を?」
「護身用だ」
護身用? この街のトップである町長ビズリーの私兵と時々喧嘩してコテンパンにしているダッドさんに必要か?
「なんだその顔は」
「何でもないです!」
口にしなかったけれど顔は黙っていられなかったようだ。
ギロっと睨まれてしまった俺はそそくさと自分の部屋に帰った。
ティリムさんはとても早起きだ。明日はクレディア様と気まずい挨拶を交わす前に彼の所に行ってしまおう。ついでに朝市で買い物でもしようかな。
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