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パチ屋が開くまで④

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「ビューンってやつですよ」
エルフの娘は、大きく広げた両腕をバタバタさせて「台風みたいな…」俺にもう一度説明してくれた。同じ事しか言ってない。

「俺、本気でそんな事した記憶ないんだけど…」
思い返すまでもない、そんな特殊能力、俺にはない。

「え?お兄さん…記憶喪失なんですか?」
エルフの娘が、心配そうに俺の顔を覗き込む。

「いや…そうじゃない…」
と言いかけて、これは夢の中だと思い出した。まぁそういう事もあるのだろう。「俺、どんな状況でビューンしてた?」俺は、エルフの娘に質問した。

「えっとですね…」
エルフの娘は人差し指をこめかみに当てて、「ビューン」について話し始めた。

話は脱線したり、同じやり取りを繰り返したりしてなかなか進まなかった。




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