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序章
戦いを終えて
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全てが終わり、皆は帰路に着こうすると、聖域の扉の前を守護していた例の女がシアの元まで来て跪いた。
「シア様。聖域と宝玉が役目を終えた今、聖域を守護するという私の役目も終わりました。これからはルーシア様の力を受け継ぎし貴女様にお仕えしたいと思っております。どうか貴方の側でお仕えすることをお許しいただけますでしょうか。」
「えーっと…、貴方は…?」
ヴィユノークはいきなりのことで戸惑っている。
「私はティアマット様の眷属が一人、ウルマと申します。血の盟約により私はシア様にお仕えする義があります。」
「ティアマットの眷属!?ってことはあのカエルの仲間ってことか…」
ラインハルトは思い出して青い顔をしている。
(あの…ラハブと同じ眷属か…会話を出来る奴もいるんだな。血の盟約…?ってのは召喚された眷属とは違うのかな?)
「申し訳ありませんが、お断りさせてもらいます。」
そういって頭を下げた。
「…」
みなヴィユノークの意外な即断にすこし戸惑った。
だがすぐにまた口を開いてこう言った。
「…一緒に行くというなら…。主従の関係とかではなくて…ウルマさんもここにいる人たちと同じ仲間としてなら歓迎しますよ。」
ヴィユノークはニコっと笑った。
「仲間として…ですか。畏まりました。それではこれからシア様の仲間として私も同行させて頂きます。ティアマット様の、そしてルーシア様の名に懸けてこの命果てるまでシア様のことを御守りすることを誓います。」
「…あ、ありがとう。それと…仲間ならこれからは敬語は辞めてもらえると嬉しいです。」
ヴィユノークはそういうとウルマに手を差し出した。
「おいおい!命を懸けてシアを守るだあ?いきなり出てきて何言ってんだ?シア!こんな怪しい奴仲間にして本当に大丈夫か?」
ライナスが因縁をふっかけてる。
「これはライナス様。お初にお目にかかります。レネア様からは色々お話を聞かせていただきました。」
ウルマは立ち上がりライナスに頭を下げた。
「レイネが何を言ったかは知らねーがなぁ?六大龍王の眷属だか何だか知らないが俺らはお前のことをすぐには信用するわけには…」
ライナスがそう言いかけたが、ウルマはそのまま話し始めた。
「ライナス様と始めてお会いしたときに求婚された話や、一緒になられてからレネア様がお休み中に窓から抜け出し夜な夜なこっそり歓楽街へ飲みに行かれていた話。他にも…」
「わー!!!!よく見るとウルマさん獣人みたいだし強そうだし!なかなか見どころありそうだよな!?な?みんな!?新しい仲間のウルマさんだそうだ!よろしくな!」
ライナスはウルマの背中をバンバン叩きながら言った。
(この人やり手だーー…)
みんな苦笑いしながらそう思った。
(まぁ悪い人ではなさそうだけども。それにしてもすごい力を秘めてるような感じがするな…。さっき戦った眷属…ラハブは会話も出来なかったしここまでの力は感じなかった。今は抑えてるみたいだけどおそらく魔力も桁違いだな。)
みんな歓迎ムードだがその身に宿す力を感じ取ったイザとメリルだけはウルマを少し警戒し真面目な顔で見つめていた。
「さぁ、帰ろうぜ。お前ら…特にイザには話したいこともあるしな。んじゃちょっとギルドを無断で抜けてきた身だから怒られる前に俺は先に帰っておくぜ。お前らに紹介状を渡しておくよ。シア…また今度な。いい仲間を持ったな…。」
シアに笑顔でそういうと、ライナスは先に帰っていった。
「あの人いつも仕事さぼってるし。リースさん可愛そう。」
「だよねぇ~。」
「父はそんなだらしない人なのですか…?」
「んー、っていうか普段何やってるか全然わかんないというか。あの性格だからつかみどころも無いし、身が軽いからすぐどっかいって居なくなるし…」
「リースさんはいつもギルマス探し回ってるよね。」
二人は笑ってる。
―――ギルドホール 2F 執務室
「くしゅん!!」
リースは机に向かい必死に何かの計算してた。
「はぁ、まったくギルマスどこにいったのよー!!なんで私がこんなことまでしなくちゃならないのよー!!!追加報酬を貰わなっくっちゃ割に合いませんっ…!!」
リースがボヤいていると下から呼ぶ声が。
「リースさん!領主様の使えの方がお見えになられていますがギルマスはどこに?」
「いまは留守だとお伝えください…。」
「ですが急用とのことです!」
「はぁ…では私が対応します。応接室へお通し願います…。(あんのバカマスター!今度はどこで油打ってるんですかね!!やっぱり報酬だけでは足りません!たっぷりお休みももらわないと!)」
リースは怒りにもえている。
「今度という今度は縄でしばりつけておかないと!」
―――霊廟 聖域前
「そうだ!みなさん。私のことはこれからシアって呼んでもらえると嬉しいです。」
みんな了承した。
イザも了承。
「おーけー、シア!改めてよろしくね。」
シアはいきなり本当の名を呼び捨てで呼ばれることに少し照れている。
「それはそうと…イザ!」
ラインハルトがこちらを見ながら怒っている。
「ん?どしたの?」
なぜ起こってるのかわからないイザ。
「とぼけやがって…さっき俺の剣をぶっ壊しただろ!!弁償しろ!」
(あー…そういえば忘れてた…。)
「弁償って言っても俺にはお金がないしなー…」
「なら冒険者ギルドに登録して仕事探してみるのもいいんじゃない?あたしとPT組まない?」
エルザが割って入る。
「おいおい!俺はどうするんだよ!」
「あんたよりイザと一緒にいた方が儲かりそうだし~、安全そうだし?」
エルザは笑って言った。
「ひっでえ!」
「あはは、冗談冗談。でもギルマスもイザに話したいことあるって言ってたし、一度ギルドまでおいでよ。こいつの剣なんてその後考えればいいじゃん?」
「そうだな。街には行ってみたかったしあとでギルドに顔を出すときは二人に声をかけるよ。剣のお詫びもそれまでにちゃんと考えておくから。」
「ふっ。いいぜ!それまで貸しにしておくよ。んじゃそろそろ俺らも帰ろうか。いつまでもここにいてもスケルトンしか沸かないしな。」
そういうとラインハルトとエルザも帰っていった。
「我々もそろそろ失礼する。」
そういうとガルドとエルロッドもいったん里に戻るそうだ。
「主らはどうするんじゃ?行くとこがないならひとまずわしのとこに来るか?」
「是非!お言葉に甘えさせていただきます!」
(この世界のお金とかも持ってないし助かったー!)
「シアはどうするの?」
「わ、わたしも!イザさんが行くならいこうかな…?」
シアは照れながら言った。
その様子をみてメリルがにやにやしている。
「んじゃ帰って打ち上げじゃな!イザ!帰り道で食料を取ってこい!では行こうかシアよ。ウルマ、主もついてこい。」
「はい!」
シアは返事をして嬉しそうにメリルの後を走っていった。
「えー!俺も疲れてるのにー。」
「イザさんわたしも食料調達お手伝いしますよ。」
(この数日色んな事があったけどこれで一旦全ては解決したのかな?まだまだ気になることも沢山あるけど取り合えず今はこの雰囲気をゆっくり楽しもうかな。)
みんなが去った後、聖域前の間にはウィルヘイムの剣が立てられ、花が添えられていた。
――ニヴルヘイムの古城にて
大きな円卓を黒いローブを纏った3人の人影が囲んでいる。
妖艶な女が爪の手入れをしながら
「…ねぇ。気が付いた?」
端正な顔立ちの剣士が空を見ながら答えた。
「あぁ…。」
清楚な雰囲気の女は少し悲しそうな顔をしながら黙っている。
「…」
「貴方たちも感じたなら間違いないみたいね。…また誰かが動き出したのかしら…。」
女は爪に吐息をあてながら言った。
「俺が確認してこよう。」
剣士風の男はそういうと足元に魔方陣を出しその場から消えていった。
女は月を見ながらつぶやいた。
「今度こそ…会えるかしら…?」
「シア様。聖域と宝玉が役目を終えた今、聖域を守護するという私の役目も終わりました。これからはルーシア様の力を受け継ぎし貴女様にお仕えしたいと思っております。どうか貴方の側でお仕えすることをお許しいただけますでしょうか。」
「えーっと…、貴方は…?」
ヴィユノークはいきなりのことで戸惑っている。
「私はティアマット様の眷属が一人、ウルマと申します。血の盟約により私はシア様にお仕えする義があります。」
「ティアマットの眷属!?ってことはあのカエルの仲間ってことか…」
ラインハルトは思い出して青い顔をしている。
(あの…ラハブと同じ眷属か…会話を出来る奴もいるんだな。血の盟約…?ってのは召喚された眷属とは違うのかな?)
「申し訳ありませんが、お断りさせてもらいます。」
そういって頭を下げた。
「…」
みなヴィユノークの意外な即断にすこし戸惑った。
だがすぐにまた口を開いてこう言った。
「…一緒に行くというなら…。主従の関係とかではなくて…ウルマさんもここにいる人たちと同じ仲間としてなら歓迎しますよ。」
ヴィユノークはニコっと笑った。
「仲間として…ですか。畏まりました。それではこれからシア様の仲間として私も同行させて頂きます。ティアマット様の、そしてルーシア様の名に懸けてこの命果てるまでシア様のことを御守りすることを誓います。」
「…あ、ありがとう。それと…仲間ならこれからは敬語は辞めてもらえると嬉しいです。」
ヴィユノークはそういうとウルマに手を差し出した。
「おいおい!命を懸けてシアを守るだあ?いきなり出てきて何言ってんだ?シア!こんな怪しい奴仲間にして本当に大丈夫か?」
ライナスが因縁をふっかけてる。
「これはライナス様。お初にお目にかかります。レネア様からは色々お話を聞かせていただきました。」
ウルマは立ち上がりライナスに頭を下げた。
「レイネが何を言ったかは知らねーがなぁ?六大龍王の眷属だか何だか知らないが俺らはお前のことをすぐには信用するわけには…」
ライナスがそう言いかけたが、ウルマはそのまま話し始めた。
「ライナス様と始めてお会いしたときに求婚された話や、一緒になられてからレネア様がお休み中に窓から抜け出し夜な夜なこっそり歓楽街へ飲みに行かれていた話。他にも…」
「わー!!!!よく見るとウルマさん獣人みたいだし強そうだし!なかなか見どころありそうだよな!?な?みんな!?新しい仲間のウルマさんだそうだ!よろしくな!」
ライナスはウルマの背中をバンバン叩きながら言った。
(この人やり手だーー…)
みんな苦笑いしながらそう思った。
(まぁ悪い人ではなさそうだけども。それにしてもすごい力を秘めてるような感じがするな…。さっき戦った眷属…ラハブは会話も出来なかったしここまでの力は感じなかった。今は抑えてるみたいだけどおそらく魔力も桁違いだな。)
みんな歓迎ムードだがその身に宿す力を感じ取ったイザとメリルだけはウルマを少し警戒し真面目な顔で見つめていた。
「さぁ、帰ろうぜ。お前ら…特にイザには話したいこともあるしな。んじゃちょっとギルドを無断で抜けてきた身だから怒られる前に俺は先に帰っておくぜ。お前らに紹介状を渡しておくよ。シア…また今度な。いい仲間を持ったな…。」
シアに笑顔でそういうと、ライナスは先に帰っていった。
「あの人いつも仕事さぼってるし。リースさん可愛そう。」
「だよねぇ~。」
「父はそんなだらしない人なのですか…?」
「んー、っていうか普段何やってるか全然わかんないというか。あの性格だからつかみどころも無いし、身が軽いからすぐどっかいって居なくなるし…」
「リースさんはいつもギルマス探し回ってるよね。」
二人は笑ってる。
―――ギルドホール 2F 執務室
「くしゅん!!」
リースは机に向かい必死に何かの計算してた。
「はぁ、まったくギルマスどこにいったのよー!!なんで私がこんなことまでしなくちゃならないのよー!!!追加報酬を貰わなっくっちゃ割に合いませんっ…!!」
リースがボヤいていると下から呼ぶ声が。
「リースさん!領主様の使えの方がお見えになられていますがギルマスはどこに?」
「いまは留守だとお伝えください…。」
「ですが急用とのことです!」
「はぁ…では私が対応します。応接室へお通し願います…。(あんのバカマスター!今度はどこで油打ってるんですかね!!やっぱり報酬だけでは足りません!たっぷりお休みももらわないと!)」
リースは怒りにもえている。
「今度という今度は縄でしばりつけておかないと!」
―――霊廟 聖域前
「そうだ!みなさん。私のことはこれからシアって呼んでもらえると嬉しいです。」
みんな了承した。
イザも了承。
「おーけー、シア!改めてよろしくね。」
シアはいきなり本当の名を呼び捨てで呼ばれることに少し照れている。
「それはそうと…イザ!」
ラインハルトがこちらを見ながら怒っている。
「ん?どしたの?」
なぜ起こってるのかわからないイザ。
「とぼけやがって…さっき俺の剣をぶっ壊しただろ!!弁償しろ!」
(あー…そういえば忘れてた…。)
「弁償って言っても俺にはお金がないしなー…」
「なら冒険者ギルドに登録して仕事探してみるのもいいんじゃない?あたしとPT組まない?」
エルザが割って入る。
「おいおい!俺はどうするんだよ!」
「あんたよりイザと一緒にいた方が儲かりそうだし~、安全そうだし?」
エルザは笑って言った。
「ひっでえ!」
「あはは、冗談冗談。でもギルマスもイザに話したいことあるって言ってたし、一度ギルドまでおいでよ。こいつの剣なんてその後考えればいいじゃん?」
「そうだな。街には行ってみたかったしあとでギルドに顔を出すときは二人に声をかけるよ。剣のお詫びもそれまでにちゃんと考えておくから。」
「ふっ。いいぜ!それまで貸しにしておくよ。んじゃそろそろ俺らも帰ろうか。いつまでもここにいてもスケルトンしか沸かないしな。」
そういうとラインハルトとエルザも帰っていった。
「我々もそろそろ失礼する。」
そういうとガルドとエルロッドもいったん里に戻るそうだ。
「主らはどうするんじゃ?行くとこがないならひとまずわしのとこに来るか?」
「是非!お言葉に甘えさせていただきます!」
(この世界のお金とかも持ってないし助かったー!)
「シアはどうするの?」
「わ、わたしも!イザさんが行くならいこうかな…?」
シアは照れながら言った。
その様子をみてメリルがにやにやしている。
「んじゃ帰って打ち上げじゃな!イザ!帰り道で食料を取ってこい!では行こうかシアよ。ウルマ、主もついてこい。」
「はい!」
シアは返事をして嬉しそうにメリルの後を走っていった。
「えー!俺も疲れてるのにー。」
「イザさんわたしも食料調達お手伝いしますよ。」
(この数日色んな事があったけどこれで一旦全ては解決したのかな?まだまだ気になることも沢山あるけど取り合えず今はこの雰囲気をゆっくり楽しもうかな。)
みんなが去った後、聖域前の間にはウィルヘイムの剣が立てられ、花が添えられていた。
――ニヴルヘイムの古城にて
大きな円卓を黒いローブを纏った3人の人影が囲んでいる。
妖艶な女が爪の手入れをしながら
「…ねぇ。気が付いた?」
端正な顔立ちの剣士が空を見ながら答えた。
「あぁ…。」
清楚な雰囲気の女は少し悲しそうな顔をしながら黙っている。
「…」
「貴方たちも感じたなら間違いないみたいね。…また誰かが動き出したのかしら…。」
女は爪に吐息をあてながら言った。
「俺が確認してこよう。」
剣士風の男はそういうと足元に魔方陣を出しその場から消えていった。
女は月を見ながらつぶやいた。
「今度こそ…会えるかしら…?」
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