黒猫と竜は白薔薇に恋をする

椿灯夏

文字の大きさ
上 下
20 / 31

しおりを挟む
長く深いため息をついて。


「どうやら姫様の飼い猫が逃げたらしい。姫様以外言うことを聞かないから、ここの者はみんな手を焼いている」


「猫なら大丈夫じゃない?ほらー猫みたいな、もうすでに猫の、黒猫君がいますからー」



カナタがけらけら笑いながら黒猫ーー暁を指さす。



「もういっそ空から探せ。竜は瞳もいいんだろ」

「ははは。普通の猫は怖がって出てこないでしょー」


アヤメはやれやれと肩をすくめる。レイカはあらあらと、完全に見守り姿勢である。これでは猫探しは困難極めるに違いないであろうーーと思っていたときだった。

しおりを挟む

処理中です...