埴輪庭

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 ◆

 そしてジャハムはギドに山へと連れていかれ──……

「それじゃあ、義父さん……」

 続く言葉はない。

 ギドは感情を押し殺しているかのようだった。

「うむ、達者でな」

 ジャハムが言うとギドは頷き、背を向けてその場を立ち去っていく。pcgw

 そしてギドの背が見えなくなると、ジャハムは土の上に横たわって草を枕として眠りについた。

 季節は夏にさしかかろうとしている。

 日が暮れても凍えて死ぬ事はないだろうとジャハムは安堵した。

 近くに川が流れているというのも良い。腹が減れば木の実なり食べられる野草なりを口にし、喉が渇けば水が飲める。

 特にこの山の水は清らかで、生水でもそうそう腹を壊す事はなかった。

 最終的には死んでしまうだろうがとジャハムは思うが、しばらくは食いつないでいけそうで安堵する。

 別にジャハムは絶対に死ななくてはいけないと言う事でもないのだ。

 仮に村の者がジャハムを引き取ってくれるという事であれば、山にすらいかないでも良かった。

 とはいえそれは出来ない相談だ。ジャハムは老体で、しかも体を病んでおり木工仕事も出来ない。そんな彼を引き取ってくれる者などいるわけがなかった。

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 1日が過ぎ、3日が過ぎ。

 そして10日が過ぎた。

 驚くべきことに、ジャハムはまだ生きている。

 腹が減れば草や木の実を食べ、喉が渇けば川の水を飲み、命を繋いでいた。

 不思議な事に体力が戻りつつあった。

 とはいえ微々たるものだが。

 しかし、家に居たときに感じていた命が抜けていっている感覚はもう無かった。
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