1 / 55
1話
しおりを挟む
「あなた、誘拐犯ね!」
石亀永江が立ち上がり、オッサンを指さした。
彼女はクラスの【委員長】。
生真面目が服を着て歩いているような女子で、いつも少し不機嫌な表情だ。
厳しい性格なので特別好かれているわけではない。
けれど、彼女がいるおかげでクラスは一致団結している。
委員長というむずかしい役割を引き受けてくれている彼女に、誰もが感謝していた。
「誘拐犯だと?」
脂っこいオッサンが興奮して声を荒げた。
耳障りな声が俺の心をかき乱す。
ヤツの服装は三流のドラマから抜け出してきたようなチープさだ。
まるで異国でおこなわれる仮装パーティー。
こんなヤツを町で見かけたら、間違いなく通報される。
だけど、ここは俺が知ってる場所じゃない。
ネズミ色の石室には、窓もなければ、風の通り道もない。
閉塞感で息苦しい。
壁のくぼみには、ロウソクが一筋の光を投げかけている。
それだけじゃ、部屋の薄暗さを晴らすには不足していた。
床には、大きな魔法陣が描かれている。
似たようなシーンを映画で観たことがあるのを思いだした。
不気味な儀式の映像が記憶からよみがえり、背筋が凍る。
俺の周りにはクラスメイトがいた。
彼らは整然と、教室の席順のまま、床に腰を下ろしている。
恐怖と混乱で顔をひきつらせ、いまの状況を理解しようとしているのだろう。
ついさっきまで俺たちは授業中だった。
いきなり背後から椅子を引き抜かれるような衝撃を受け、気がつけば、体が宙に浮く感覚。
そして、尻もちをついた次の瞬間、ここにいたんだ。
「同意をえず、無断でこんな場所に連れてきた。誘拐でないのならなんだというの」
彼女は語尾を強く発音するクセがある。
相手を圧倒して、自分のいうことを聞かせるための手段だ。
なぜ威圧するクセが身についたのかは、俺にはわからない。
たぶんプライベートに余裕がないんだろうな。
「事情があるのだ」
「どのような事情があるにせよ、誘拐した事実はかわらない、そうよね」
なぜ初対面のオッサンに怯むことなく、高圧的に振る舞えるのか、俺にはさっぱりわからない。
頼むから周りに目を向けてくれ。
壁際には甲冑を身にまとった兵士たちが並んでいる。
彼らの手には槍が握られていた。
いまのところ穂先は天を突くように上向きなので戦意はなさそうだ。
頼むからコイツらを刺激するのは避けてくれ。
オッサンは困った顔で汗を流している。
どうやら彼女の態度は予想外らしい。
「わが国の問題にキミたちを巻き込んでしまった件については謝罪する」
「もとの場所に帰してくれるのなら謝罪は不要」
「それには準備が必要なのだ」
「どの程度待てばいいのか具体的な日数を聞かせて」
「まずは国王様にお伺いをせねばならぬのだ」
「うやむやにする気じゃないでしょうね」
「調整後に必ず教えると約束しよう」
オッサンの言葉に、食い気味に反応する。
石亀永江は頭の回転が速い。
たぶん、彼女と交際する男性は苦労するだろう。
ケンカすれば弾丸のような言葉に責められるのだから。
彼女が諦めた表情をしながら大きな溜息をついた。
「いいでしょう。けれど、帰りの算段がつかないうちはあなたの話を聞く気はありません」
オッサン相手でも一歩も引かない度胸は尊敬に値する。
クチうるさいヤツだが、いまのような状況では心強い。
「勝手に話を進めるなよ」
野吾剛士が立ち上がった。
あいつは、まあ【不良】ってやつだ。
クラスのなかでも一匹狼を気取り、誰とも話さない。
去年、他校のヤツらと揉めて、結局ケンカになって停学食らったことがある。
できることなら一生ヤツとは関わり合いたくない。
「わたしはクラス委員長として話をしています」
「ここは学校じゃねーんだ、大きな顔すんじゃねーよ。おいオマエ、この加護ってなんだ」
野吾剛士はアゴでオッサンを指名した。
コイツには、初対面の大人にたいする礼儀なんてものは皆無。
きっと世界は自分を中心に回っていると勘違いしている。
片眉を上げて、オッサンを鋭い眼差しで睨みつけた。
首を斜めに傾ける様子は、明らかに威嚇している。
――まるでヤクザだな。
「世界を超えし者は神様から加護を賜るのだ。その力は特殊で、我々には想像も及ばない。むしろ力については本人が一番理解しているはずなのだ」
オッサンが説明したのは、俺の目の前に浮かぶ緑色の文字だろう。
しかも、この文字は他人に見えないらしい。
レベル:1
経験値:0
加護:NTR
――エヌティーアールってなんだよ?
疑問に応えるかのように新たな文字が浮かび上がる。
【NTR】
ネトラレの略称。
好意を寄せている者が他者に寝取られることで興奮を覚える体質。
寝取られているあいだ経験値が増加する。
好意を寄せている者への思いが深いほど効果が高い。
ただしネトラレ以外では経験値を取得できない。
――は? 俺がネトラレ体質だと? バカげている。本人が一番理解? ネトラレなんて知らんが?! むしろ認めたくないのだが!
いや、言い切れないのかもしれない。
いままで彼女ができたことがないのだ。
好きな子はいる。しかし告白する勇気はない。
かりに、ネトラレ体質だとしても、いままで認知できる環境じゃあなかったんだ。
まさか、俺が?
考えごとをしている間に、野吾剛士は石亀永江の背後に移動していた。
ヤツはケンカに負けないように体を鍛えているのだろう。
部活にも入ってないのに、逞しい体をしてる。
「へぇ~、使いかたは自分で考えろってか」
ヤツは、いきなり彼女を背後から襲ったのだ。
右手で彼女の左胸を鷲掴みした。
「いやっ!」
両手でヤツの手を剥がそうと抵抗するが女子の力では無駄のようだ。
左手首を掴まれ、ぐいっと上へ引き上げられた。
小柄な彼女は、まるで人形のように軽々と扱われる。
片足は宙に浮き、残る片足もつま先立ちになった。
「俺の加護は鬼畜だとよ。ケッ、笑えるぜ。道徳に反すると強くなるらしいが」
自慢げに加護を説明しているあいだ、ヤツの手は彼女の胸をもてあそぶ。
「たしかに力が湧いてくる。いまならどんなヤツでも倒せるぜ」
ヤツはゲスな笑みを浮かべた。
彼女は目に涙を浮かべながら必死に抵抗する。
いつも不機嫌そうにつりあがっていた眉毛は、いまは八の字の困り眉毛だ。
クラスの女子が俺の目の前で犯されている。
目の前の光景はアダルトビデオよりも刺激的だ。
裸の女性よりも、セーラー服を着たクラスメイトのほうが興奮するなんて思ってもみなかった。
きっと、ふだんの凛とした彼女とのギャップが新鮮なのだろう。
俺は勃起しているのをクラスメイトに悟られないように腕で隠した。
たぶん他の男子たちも同じ感情なのだろう。
彼らの視線は彼女の胸に集中していた。
ふと、自分の加護を思い出した。
ネトラレ――。
いまの状況はまさにネトラレではないだろうか。
いや、説明には好意を寄せている者と書いてある。
俺は彼女に恋愛的な感情を抱いてはいない。
むしろ苦手な部類だ。
それはそうと、加護にはスキルが付随するらしい。
【恋愛対象】
加護を得るための対象を指名可能。
指名された者は、どのような責め苦にも耐えられるよう不死再生の恩恵が与えられる。
俺が経験値を稼ぐためには、【恋愛対象】に誰かを指名しなければならない。
好きな相手を指名するのがセオリーだろうが、まずは石亀永江で試してみても良いだろう。
そう思っただけで【恋愛対象】の欄に彼女の名前が表示された。
恋愛対象:石亀永江
すると、表示されている【経験値】が増加した。
しかし、ゆっくり、とてもゆっくりと『0』下がり、上から『1』がゆっくりと見えてくる。
まるでスロットマシンのリールのように回転しているのだ。
しかし遅い。もの凄く遅い。【経験値】が溜まるのが非常に遅い。
おそらく彼女にたいして好意を抱いていないのが原因だろう。
だか経験値を稼ぐ方法は判明した。
もしかするとラッキーかもしれない。
戦闘することなく経験値を稼ぐことができるのだ。
ただし、好きな相手がネトラレないと発動しないのが難点だが。
「いい加減にしろ!」
俺のことかと思い、おもわずビクッと体が反応してしまう。
だけど違ったようだ
立ち上がったのは才原優斗。
サッカー部のエースで超絶【イケメン】だ。
バレンタインでは紙袋二つ分のチョコをもらうほどのモテ男。
なのに彼女はいないらしい。
だから、みんなの才原君と女子に噂されている。
呪い殺せるほど羨ましい存在だ。
「黙れよ才原。前々からオマエが気に入らなかったんだよ」
「気に入られようとは思っていないから安心しろ。無駄話はいらない。まずはその手を離せ」
「力づくでこいよ、テメエがどんな加護を手に入れたのか知らないがなぁ」
ヤツは不敵な笑みを浮かべた。
まるで古い映画に出てくる不良のように『喧嘩上等』とか言い出しそうだ。
「俺の加護は護衛。困っている者を助ける行動に効果を発揮するらしいぞ」
「ハッタリだな」
「試してみるか?」
才原優斗はゆっくりと野吾剛士に近づいた。
踏み込めば拳の当たる距離。
部屋は痛いほどの緊張感に包まれる。
クラスメイトは息をのみ、二人に注目していた。
女子たちは才原優斗の雄姿に感動し、目をハートのかたちにしている。
男子たちは石亀永江の胸に注目していたが、野吾剛士の手は止まっていた。
もっとイヤラシく手を動かせよ!
制服を脱がせてもいいんだぞ!
生でいけ、生で!!
俺は、そんな不謹慎な期待をしていたようだ。
もちろん男子たちも同じ意見のはず。
俺だけじゃないよな?
「お二人ともおやめください」
オッサンの声で二人の集中力が切れたようだ。
野吾剛士が腕の力を抜くと石亀永江は解放され、糸の切れた操り人形のように座り込んでしまう。
彼女は床を睨みながら声を出さずに涙を流している。
ふつうなら泣き崩れてもおかしくない状況なのに強い子だ。
「シラケた」
野吾剛士はつまらなそうにそっぽをむいている。
「なれない世界に来られて興奮されているご様子。部屋をご用意しますので、まずは休憩なされてはいかがでしょうか」
俺たちはオッサンの部下に案内され、個室へと移動したのだった。
石亀永江が立ち上がり、オッサンを指さした。
彼女はクラスの【委員長】。
生真面目が服を着て歩いているような女子で、いつも少し不機嫌な表情だ。
厳しい性格なので特別好かれているわけではない。
けれど、彼女がいるおかげでクラスは一致団結している。
委員長というむずかしい役割を引き受けてくれている彼女に、誰もが感謝していた。
「誘拐犯だと?」
脂っこいオッサンが興奮して声を荒げた。
耳障りな声が俺の心をかき乱す。
ヤツの服装は三流のドラマから抜け出してきたようなチープさだ。
まるで異国でおこなわれる仮装パーティー。
こんなヤツを町で見かけたら、間違いなく通報される。
だけど、ここは俺が知ってる場所じゃない。
ネズミ色の石室には、窓もなければ、風の通り道もない。
閉塞感で息苦しい。
壁のくぼみには、ロウソクが一筋の光を投げかけている。
それだけじゃ、部屋の薄暗さを晴らすには不足していた。
床には、大きな魔法陣が描かれている。
似たようなシーンを映画で観たことがあるのを思いだした。
不気味な儀式の映像が記憶からよみがえり、背筋が凍る。
俺の周りにはクラスメイトがいた。
彼らは整然と、教室の席順のまま、床に腰を下ろしている。
恐怖と混乱で顔をひきつらせ、いまの状況を理解しようとしているのだろう。
ついさっきまで俺たちは授業中だった。
いきなり背後から椅子を引き抜かれるような衝撃を受け、気がつけば、体が宙に浮く感覚。
そして、尻もちをついた次の瞬間、ここにいたんだ。
「同意をえず、無断でこんな場所に連れてきた。誘拐でないのならなんだというの」
彼女は語尾を強く発音するクセがある。
相手を圧倒して、自分のいうことを聞かせるための手段だ。
なぜ威圧するクセが身についたのかは、俺にはわからない。
たぶんプライベートに余裕がないんだろうな。
「事情があるのだ」
「どのような事情があるにせよ、誘拐した事実はかわらない、そうよね」
なぜ初対面のオッサンに怯むことなく、高圧的に振る舞えるのか、俺にはさっぱりわからない。
頼むから周りに目を向けてくれ。
壁際には甲冑を身にまとった兵士たちが並んでいる。
彼らの手には槍が握られていた。
いまのところ穂先は天を突くように上向きなので戦意はなさそうだ。
頼むからコイツらを刺激するのは避けてくれ。
オッサンは困った顔で汗を流している。
どうやら彼女の態度は予想外らしい。
「わが国の問題にキミたちを巻き込んでしまった件については謝罪する」
「もとの場所に帰してくれるのなら謝罪は不要」
「それには準備が必要なのだ」
「どの程度待てばいいのか具体的な日数を聞かせて」
「まずは国王様にお伺いをせねばならぬのだ」
「うやむやにする気じゃないでしょうね」
「調整後に必ず教えると約束しよう」
オッサンの言葉に、食い気味に反応する。
石亀永江は頭の回転が速い。
たぶん、彼女と交際する男性は苦労するだろう。
ケンカすれば弾丸のような言葉に責められるのだから。
彼女が諦めた表情をしながら大きな溜息をついた。
「いいでしょう。けれど、帰りの算段がつかないうちはあなたの話を聞く気はありません」
オッサン相手でも一歩も引かない度胸は尊敬に値する。
クチうるさいヤツだが、いまのような状況では心強い。
「勝手に話を進めるなよ」
野吾剛士が立ち上がった。
あいつは、まあ【不良】ってやつだ。
クラスのなかでも一匹狼を気取り、誰とも話さない。
去年、他校のヤツらと揉めて、結局ケンカになって停学食らったことがある。
できることなら一生ヤツとは関わり合いたくない。
「わたしはクラス委員長として話をしています」
「ここは学校じゃねーんだ、大きな顔すんじゃねーよ。おいオマエ、この加護ってなんだ」
野吾剛士はアゴでオッサンを指名した。
コイツには、初対面の大人にたいする礼儀なんてものは皆無。
きっと世界は自分を中心に回っていると勘違いしている。
片眉を上げて、オッサンを鋭い眼差しで睨みつけた。
首を斜めに傾ける様子は、明らかに威嚇している。
――まるでヤクザだな。
「世界を超えし者は神様から加護を賜るのだ。その力は特殊で、我々には想像も及ばない。むしろ力については本人が一番理解しているはずなのだ」
オッサンが説明したのは、俺の目の前に浮かぶ緑色の文字だろう。
しかも、この文字は他人に見えないらしい。
レベル:1
経験値:0
加護:NTR
――エヌティーアールってなんだよ?
疑問に応えるかのように新たな文字が浮かび上がる。
【NTR】
ネトラレの略称。
好意を寄せている者が他者に寝取られることで興奮を覚える体質。
寝取られているあいだ経験値が増加する。
好意を寄せている者への思いが深いほど効果が高い。
ただしネトラレ以外では経験値を取得できない。
――は? 俺がネトラレ体質だと? バカげている。本人が一番理解? ネトラレなんて知らんが?! むしろ認めたくないのだが!
いや、言い切れないのかもしれない。
いままで彼女ができたことがないのだ。
好きな子はいる。しかし告白する勇気はない。
かりに、ネトラレ体質だとしても、いままで認知できる環境じゃあなかったんだ。
まさか、俺が?
考えごとをしている間に、野吾剛士は石亀永江の背後に移動していた。
ヤツはケンカに負けないように体を鍛えているのだろう。
部活にも入ってないのに、逞しい体をしてる。
「へぇ~、使いかたは自分で考えろってか」
ヤツは、いきなり彼女を背後から襲ったのだ。
右手で彼女の左胸を鷲掴みした。
「いやっ!」
両手でヤツの手を剥がそうと抵抗するが女子の力では無駄のようだ。
左手首を掴まれ、ぐいっと上へ引き上げられた。
小柄な彼女は、まるで人形のように軽々と扱われる。
片足は宙に浮き、残る片足もつま先立ちになった。
「俺の加護は鬼畜だとよ。ケッ、笑えるぜ。道徳に反すると強くなるらしいが」
自慢げに加護を説明しているあいだ、ヤツの手は彼女の胸をもてあそぶ。
「たしかに力が湧いてくる。いまならどんなヤツでも倒せるぜ」
ヤツはゲスな笑みを浮かべた。
彼女は目に涙を浮かべながら必死に抵抗する。
いつも不機嫌そうにつりあがっていた眉毛は、いまは八の字の困り眉毛だ。
クラスの女子が俺の目の前で犯されている。
目の前の光景はアダルトビデオよりも刺激的だ。
裸の女性よりも、セーラー服を着たクラスメイトのほうが興奮するなんて思ってもみなかった。
きっと、ふだんの凛とした彼女とのギャップが新鮮なのだろう。
俺は勃起しているのをクラスメイトに悟られないように腕で隠した。
たぶん他の男子たちも同じ感情なのだろう。
彼らの視線は彼女の胸に集中していた。
ふと、自分の加護を思い出した。
ネトラレ――。
いまの状況はまさにネトラレではないだろうか。
いや、説明には好意を寄せている者と書いてある。
俺は彼女に恋愛的な感情を抱いてはいない。
むしろ苦手な部類だ。
それはそうと、加護にはスキルが付随するらしい。
【恋愛対象】
加護を得るための対象を指名可能。
指名された者は、どのような責め苦にも耐えられるよう不死再生の恩恵が与えられる。
俺が経験値を稼ぐためには、【恋愛対象】に誰かを指名しなければならない。
好きな相手を指名するのがセオリーだろうが、まずは石亀永江で試してみても良いだろう。
そう思っただけで【恋愛対象】の欄に彼女の名前が表示された。
恋愛対象:石亀永江
すると、表示されている【経験値】が増加した。
しかし、ゆっくり、とてもゆっくりと『0』下がり、上から『1』がゆっくりと見えてくる。
まるでスロットマシンのリールのように回転しているのだ。
しかし遅い。もの凄く遅い。【経験値】が溜まるのが非常に遅い。
おそらく彼女にたいして好意を抱いていないのが原因だろう。
だか経験値を稼ぐ方法は判明した。
もしかするとラッキーかもしれない。
戦闘することなく経験値を稼ぐことができるのだ。
ただし、好きな相手がネトラレないと発動しないのが難点だが。
「いい加減にしろ!」
俺のことかと思い、おもわずビクッと体が反応してしまう。
だけど違ったようだ
立ち上がったのは才原優斗。
サッカー部のエースで超絶【イケメン】だ。
バレンタインでは紙袋二つ分のチョコをもらうほどのモテ男。
なのに彼女はいないらしい。
だから、みんなの才原君と女子に噂されている。
呪い殺せるほど羨ましい存在だ。
「黙れよ才原。前々からオマエが気に入らなかったんだよ」
「気に入られようとは思っていないから安心しろ。無駄話はいらない。まずはその手を離せ」
「力づくでこいよ、テメエがどんな加護を手に入れたのか知らないがなぁ」
ヤツは不敵な笑みを浮かべた。
まるで古い映画に出てくる不良のように『喧嘩上等』とか言い出しそうだ。
「俺の加護は護衛。困っている者を助ける行動に効果を発揮するらしいぞ」
「ハッタリだな」
「試してみるか?」
才原優斗はゆっくりと野吾剛士に近づいた。
踏み込めば拳の当たる距離。
部屋は痛いほどの緊張感に包まれる。
クラスメイトは息をのみ、二人に注目していた。
女子たちは才原優斗の雄姿に感動し、目をハートのかたちにしている。
男子たちは石亀永江の胸に注目していたが、野吾剛士の手は止まっていた。
もっとイヤラシく手を動かせよ!
制服を脱がせてもいいんだぞ!
生でいけ、生で!!
俺は、そんな不謹慎な期待をしていたようだ。
もちろん男子たちも同じ意見のはず。
俺だけじゃないよな?
「お二人ともおやめください」
オッサンの声で二人の集中力が切れたようだ。
野吾剛士が腕の力を抜くと石亀永江は解放され、糸の切れた操り人形のように座り込んでしまう。
彼女は床を睨みながら声を出さずに涙を流している。
ふつうなら泣き崩れてもおかしくない状況なのに強い子だ。
「シラケた」
野吾剛士はつまらなそうにそっぽをむいている。
「なれない世界に来られて興奮されているご様子。部屋をご用意しますので、まずは休憩なされてはいかがでしょうか」
俺たちはオッサンの部下に案内され、個室へと移動したのだった。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【アイテム分解】しかできないと追放された僕、実は物質の概念を書き換える最強スキルホルダーだった
黒崎隼人
ファンタジー
貴族の次男アッシュは、ゴミを素材に戻すだけのハズレスキル【アイテム分解】を授かり、家と国から追放される。しかし、そのスキルの本質は、物質や魔法、果ては世界の理すら書き換える神の力【概念再構築】だった!
辺境で出会った、心優しき元女騎士エルフや、好奇心旺盛な天才獣人少女。過去に傷を持つ彼女たちと共に、アッシュは忘れられた土地を理想の楽園へと創り変えていく。
一方、アッシュを追放した王国は謎の厄災に蝕まれ、滅亡の危機に瀕していた。彼を見捨てた幼馴染の聖女が助けを求めてきた時、アッシュが下す決断とは――。
追放から始まる、爽快な逆転建国ファンタジー、ここに開幕!
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティ【熾天の剣】で《ヒール》しか使えないアレンは、「無能」と蔑まれ追放された。絶望の淵で彼が覚醒したのは、死者さえ完全に蘇らせる禁忌のユニークスキル【完全蘇生】だった。
故郷の辺境で、心に傷を負ったエルフの少女や元女騎士といった“真の仲間”と出会ったアレンは、新パーティ【黎明の翼】を結成。回復魔法の常識を覆す戦術で「死なないパーティ」として名を馳せていく。
一方、アレンを失った元パーティは急速に凋落し、高難易度ダンジョンで全滅。泣きながら戻ってきてくれと懇願する彼らに、アレンは冷たく言い放つ。
「もう遅い」と。
これは、無能と蔑まれたヒーラーが最強の英雄となる、痛快な逆転ファンタジー!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる