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数日後の放課後。
倖とりんはのんびりと運動場を横断していた。
いつも校庭で幅を利かせているサッカー部だが、どうやら今日は長めのランニングをしているらしく、大きいコートはがら空きだった。
おかげで遠回りをしなくてすむと、2人でコートをそのまま突っ切って歩く。
校内の外周ランニングコースを走るサッカー部をりんがぼんやりと見ていると、倖がごそごそとスマホを取り出した。
「そういや、あんま気にしてなかったんだけどさ、安井パンの激安セールって6時半からなんだよな。」
その言葉に、今何時ですか、とりんは倖のスマホを覗き込む。
待ち受け画面には鮮やかな緑の木々に囲まれた女性が笑っている。
タレントさんか、モデルさんかな?と首を傾げれば、りんにも見やすいようにスマホを傾けてくれた。
画面上部には16:27と表示されている。
「今から行っても、あんまり安くないけどいいか?」
「大丈夫です。」
今日は倖がいつも食べている安井パンが目的地となった。
安井パンはその名の通り安いことで有名らしいのだが、毎日6時半頃になると7割引きという驚異的な激安セールを開催しているそうだ。りんが倖にパンの話を振ったことから、行ってみるか、という流れへとなった。
倖は駅のある右の道路へと進んでいく。その背中を追いながら、りんはチラリと角の商店に目をやった。
なんてことはない商店だ。昔ながらの小さな個人商店で。近くにコンビニや大きなスーパーもあるのだが、学校正門の前という好立地にも恵まれて客足は多く、淘汰されずにがんばっている。
放課後になると小腹を満たすための部活動の生徒でごった返していた。
今も数人のジャージ姿の生徒が扉を開けて入っていく。
「どした?」
「倖くんはここのお店でお昼ご飯買ったりしますか?」
倖は商店に向かう野球部の生徒を目で追うと、あぁ、と眉根を寄せて面白くなさそーに言った。
「入学して最初の頃はよく買ってたんだけど、俺、こんな頭じゃん。なんか店のばあちゃんの対応がめっちゃ塩で行かなくなった。」
「しお?」
「対応が悪かった。」
とくに何も悪いことはしてないと思うんだけどな、と続けて呟く。
そうですか、とりんも呟き倖と並んで歩き出した。
こんな頭。
倖は自分の頭のことを、こんな、と言う。今も、昨日も。
りんは少し前をいく金色の髪の毛を眺めた。
そんな髪は倖の歩調に合わせて、フワフワと気持ちよさそうに揺れている。細くやわらかい髪質なのか、そのふんわり感は金色という色と相まって、ぴよぴよと歩くひよこを連想させる。
そうすると金髪で怖いイメージの倖が、可愛いらしく見えてくるのだから不思議なものだ。
倖くん曰わくの、こんな頭、の男の子とここまで仲良くなってしまうとは正直思わなかった。
彼は、いとこの連絡先欲しさにりんと仲良くなり信用を得るとか言い出した、よくわからない人だ。
自分とは、何もかも正反対の人だと、思った。
見た目が正反対であるならば、性格も正反対だろうと簡単に予測がつき、事実そうだった。
倖とりんはのんびりと運動場を横断していた。
いつも校庭で幅を利かせているサッカー部だが、どうやら今日は長めのランニングをしているらしく、大きいコートはがら空きだった。
おかげで遠回りをしなくてすむと、2人でコートをそのまま突っ切って歩く。
校内の外周ランニングコースを走るサッカー部をりんがぼんやりと見ていると、倖がごそごそとスマホを取り出した。
「そういや、あんま気にしてなかったんだけどさ、安井パンの激安セールって6時半からなんだよな。」
その言葉に、今何時ですか、とりんは倖のスマホを覗き込む。
待ち受け画面には鮮やかな緑の木々に囲まれた女性が笑っている。
タレントさんか、モデルさんかな?と首を傾げれば、りんにも見やすいようにスマホを傾けてくれた。
画面上部には16:27と表示されている。
「今から行っても、あんまり安くないけどいいか?」
「大丈夫です。」
今日は倖がいつも食べている安井パンが目的地となった。
安井パンはその名の通り安いことで有名らしいのだが、毎日6時半頃になると7割引きという驚異的な激安セールを開催しているそうだ。りんが倖にパンの話を振ったことから、行ってみるか、という流れへとなった。
倖は駅のある右の道路へと進んでいく。その背中を追いながら、りんはチラリと角の商店に目をやった。
なんてことはない商店だ。昔ながらの小さな個人商店で。近くにコンビニや大きなスーパーもあるのだが、学校正門の前という好立地にも恵まれて客足は多く、淘汰されずにがんばっている。
放課後になると小腹を満たすための部活動の生徒でごった返していた。
今も数人のジャージ姿の生徒が扉を開けて入っていく。
「どした?」
「倖くんはここのお店でお昼ご飯買ったりしますか?」
倖は商店に向かう野球部の生徒を目で追うと、あぁ、と眉根を寄せて面白くなさそーに言った。
「入学して最初の頃はよく買ってたんだけど、俺、こんな頭じゃん。なんか店のばあちゃんの対応がめっちゃ塩で行かなくなった。」
「しお?」
「対応が悪かった。」
とくに何も悪いことはしてないと思うんだけどな、と続けて呟く。
そうですか、とりんも呟き倖と並んで歩き出した。
こんな頭。
倖は自分の頭のことを、こんな、と言う。今も、昨日も。
りんは少し前をいく金色の髪の毛を眺めた。
そんな髪は倖の歩調に合わせて、フワフワと気持ちよさそうに揺れている。細くやわらかい髪質なのか、そのふんわり感は金色という色と相まって、ぴよぴよと歩くひよこを連想させる。
そうすると金髪で怖いイメージの倖が、可愛いらしく見えてくるのだから不思議なものだ。
倖くん曰わくの、こんな頭、の男の子とここまで仲良くなってしまうとは正直思わなかった。
彼は、いとこの連絡先欲しさにりんと仲良くなり信用を得るとか言い出した、よくわからない人だ。
自分とは、何もかも正反対の人だと、思った。
見た目が正反対であるならば、性格も正反対だろうと簡単に予測がつき、事実そうだった。
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