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りんはコーラを飲む倖の横顔をじとりと見上げる。
「よーし、行くぞー。」
飲み終わったコーラの缶をゴミ箱に放りながら倖が振り返って笑った。
「まだ飲み終わってないです!」
りんが慌ててゴクゴクと飲み干そうとすると、倖がりんの左手を掴んでひっぱった。
「こぼれないよーに気をつければ別に大丈夫じゃね?」
そうして手首を掴まれたまま、すたすたと改札へとむかう。倖はりんがカバンに下げている定期を器用につかんで駅員に見せるとりんの手首から手を離すことなく自分の定期も取り出し駅員に見せる。
それをぼけっと見ていたら掴まれた手首をクイッとひっぱられ、ホームへと連れられていった。
そう、連れられていく、が正しい。
仲良く手をつないで、とかいう雰囲気ではない。
それでも。
同じ制服の人混みの中をこの状態で行くのは、やっぱり視線が痛い。
そして顔が熱い。
ドキドキする。
倖くんを好きになる子の気持ちがわかる。
彼自身はそうと意図してなくても、こんなふうにされたらドキリとせずにはいられないだろう。
りんは火照った顔の赤みを誤魔化すように、オレンジジュースの缶を頬に押し当てて倖について行った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
安井パンについたのは、5時半過ぎだった。
車一台やっと通れるかという一方通行の小さな商店街に安井パンはあった。
いつもは出ているであろうオレンジとクリーム色のシマシマ模様の軒先は、綺麗に巻き取られて収納されている。
シャッターが降りている前面にはでかでかと、孫のお遊戯会のため休む、と堂々とした筆致で書かれていた。
「閉まってますね。」
「閉まってんな。……孫の遊戯くらいで休むなよな。」
倖が渋面でそうこぼす。
「お遊戯会くらい見せてあげてください。」
りんは呆れたように倖を見あげた。
「しっかし、休みじゃどうしようもないな。……どうする?」
「安井パンは次回のお楽しみでいいですよ?今日は下見しにきたということで、帰りますか。」
「え~?帰んのか?」
「そんなこと言ったって。他に行くあてあるんですか。」
「……ねぇけど。」
そう安井パンの前で2人もめていると背後から、あれ?倖じゃね?、という声が聞こえた。
「あん?」
不機嫌そうに後ろをみる倖につられてりんも振り返ると、他校の制服を着た男子高校生が2人、往来の真ん中で立ち止まっていた。
「おぉ、本当に倖だ。……て、お前進学校に行ったくせに、その頭でいいのか。」
「……意外と何とかなる。」
ズボンのポケットに手を突っ込み振り返ったままの態勢で、ぞんざいに倖は返した。
勢いよく話しかけてきていた手前の茶髪の男子が、怪訝そうにりんへと視線をうつす。
「てか、まさか、彼女か?」
「よーし、行くぞー。」
飲み終わったコーラの缶をゴミ箱に放りながら倖が振り返って笑った。
「まだ飲み終わってないです!」
りんが慌ててゴクゴクと飲み干そうとすると、倖がりんの左手を掴んでひっぱった。
「こぼれないよーに気をつければ別に大丈夫じゃね?」
そうして手首を掴まれたまま、すたすたと改札へとむかう。倖はりんがカバンに下げている定期を器用につかんで駅員に見せるとりんの手首から手を離すことなく自分の定期も取り出し駅員に見せる。
それをぼけっと見ていたら掴まれた手首をクイッとひっぱられ、ホームへと連れられていった。
そう、連れられていく、が正しい。
仲良く手をつないで、とかいう雰囲気ではない。
それでも。
同じ制服の人混みの中をこの状態で行くのは、やっぱり視線が痛い。
そして顔が熱い。
ドキドキする。
倖くんを好きになる子の気持ちがわかる。
彼自身はそうと意図してなくても、こんなふうにされたらドキリとせずにはいられないだろう。
りんは火照った顔の赤みを誤魔化すように、オレンジジュースの缶を頬に押し当てて倖について行った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
安井パンについたのは、5時半過ぎだった。
車一台やっと通れるかという一方通行の小さな商店街に安井パンはあった。
いつもは出ているであろうオレンジとクリーム色のシマシマ模様の軒先は、綺麗に巻き取られて収納されている。
シャッターが降りている前面にはでかでかと、孫のお遊戯会のため休む、と堂々とした筆致で書かれていた。
「閉まってますね。」
「閉まってんな。……孫の遊戯くらいで休むなよな。」
倖が渋面でそうこぼす。
「お遊戯会くらい見せてあげてください。」
りんは呆れたように倖を見あげた。
「しっかし、休みじゃどうしようもないな。……どうする?」
「安井パンは次回のお楽しみでいいですよ?今日は下見しにきたということで、帰りますか。」
「え~?帰んのか?」
「そんなこと言ったって。他に行くあてあるんですか。」
「……ねぇけど。」
そう安井パンの前で2人もめていると背後から、あれ?倖じゃね?、という声が聞こえた。
「あん?」
不機嫌そうに後ろをみる倖につられてりんも振り返ると、他校の制服を着た男子高校生が2人、往来の真ん中で立ち止まっていた。
「おぉ、本当に倖だ。……て、お前進学校に行ったくせに、その頭でいいのか。」
「……意外と何とかなる。」
ズボンのポケットに手を突っ込み振り返ったままの態勢で、ぞんざいに倖は返した。
勢いよく話しかけてきていた手前の茶髪の男子が、怪訝そうにりんへと視線をうつす。
「てか、まさか、彼女か?」
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