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そう、りんが挙手をして断言すると、今度は慶が挙手をして口を挟んでくる。
「あのさ、ちょっとわかんないんだけど。普通こういう場合、そのかわいい彼女っていうのに該当しそうなのって家族構成からしてりんだろ、て思うんだけど、なんでそういう話にならないの。」
慶のさも不思議と言わんばかりの言に、なぜかりんが狼狽える。
「慶くんあのですね、私、〝彼女〟という部分には該当すると思うんですが、〝かわいい〟の部分に該当しないというか、」
「だな。悪いが、顔が全然違う。」
倖がりんの顔を凝視しながら即答した。
あ、そ、と慶は気のない返事を返し、りんは握っていた両手を更にきつく握りしめた
わかっている。自分でもわかってはいるが、こうも〝かわいい〟という部分を全力で否定されるとやっぱりちょっと傷つく、と、りんも倖とともにうなだれた。
下を向くと嫌でも倖の落胆ぶりが目に入る。
かわいくないと全否定されたばかりではあるが、この事態を招いたのは間違いなく自分だ。
気落ちした倖を見ていられず、りんは倖の隣にしゃがみこむと背中に手をあてた。
申し訳ないことをしてしまった。
まさか、私が男を連れてくるとは思わなかったに違いない。さらに慶とりんに全く心当たりもないと断じられて、ダブルパンチとなったのだろう。
天国から地獄とは、まさにこのことだ。
……申し訳ない。
「あの、倖くん、すみませんでした。期待させておいて、こんなことになってしまって……。」
「あー、……うん。大丈夫。ちょっと気ぃぬけただけだから。」
そう言って、気にするな、とばかりにヒラヒラと手を振るが顔はあげてはくれなかった。
普段の倖から想像できないような落ち込み具合に、地味に焦る。
本当に申し訳ないことを、してしまった。
なぜかりんの方が泣きそうになりながらも、優しく倖の背中をなでた。
それを、なんだこれ、と慶が面白そうに眺める。そのままチラリと腕時計に目をやると、首を傾げて倖に問いかけた。
「じゃあ、君さ、もう俺に告白とかしないよな?」
「しない。」
俯いたまま倖が即答した。
「てことは、俺、帰っていーよな?」
「どーぞお帰りください。」
やけくそ気味に倖が言いはなつと、じゃあ、とりんに手をあげ踵を返しかけた慶にりんは慌てた。
「ま、まって!慶くん!」
数歩先の慶を捕まえると、りんは思い切り頭を下げた。
「ごめんね、慶くん。私が早とちりしてしまったばかりに、ややこしいことになってしまって。」
迷惑かけました、としょんぼりするりんの頭をポンポンと叩き、慶はニンマリと笑った。
「いや?意外と面白かったよ。りんもさ、あんまり責任とか感じなくていいと思うよ。」
顔を上げると更にニヤリと笑って行きかけて、突然急に振り返り倖を指差した。
「あ、そうだ、そこの君!りんのこと送ってやってくれよ!一応女の子だしさ。」
申し訳ない気持ちでいっぱいだったりんに追い討ちをかけるように慶が言う。
「だ、大丈夫ですよ!まだ明るいし。」
パタパタと手を振りながら、りんが慌てて言った。
こんなにショックうけてる人に送られても、会話に困るし。逆に自分がしっかりと倖を自宅まで送り届けた方がいいのでは?
倖は慶に顔を向けると、うんうんとどうでもよさそうに二度ほど頷いてから、また俯いた。
「送る送る。でも、もうちょっと待って。」
ショックはことのほか大きいらしかった。
「あのさ、ちょっとわかんないんだけど。普通こういう場合、そのかわいい彼女っていうのに該当しそうなのって家族構成からしてりんだろ、て思うんだけど、なんでそういう話にならないの。」
慶のさも不思議と言わんばかりの言に、なぜかりんが狼狽える。
「慶くんあのですね、私、〝彼女〟という部分には該当すると思うんですが、〝かわいい〟の部分に該当しないというか、」
「だな。悪いが、顔が全然違う。」
倖がりんの顔を凝視しながら即答した。
あ、そ、と慶は気のない返事を返し、りんは握っていた両手を更にきつく握りしめた
わかっている。自分でもわかってはいるが、こうも〝かわいい〟という部分を全力で否定されるとやっぱりちょっと傷つく、と、りんも倖とともにうなだれた。
下を向くと嫌でも倖の落胆ぶりが目に入る。
かわいくないと全否定されたばかりではあるが、この事態を招いたのは間違いなく自分だ。
気落ちした倖を見ていられず、りんは倖の隣にしゃがみこむと背中に手をあてた。
申し訳ないことをしてしまった。
まさか、私が男を連れてくるとは思わなかったに違いない。さらに慶とりんに全く心当たりもないと断じられて、ダブルパンチとなったのだろう。
天国から地獄とは、まさにこのことだ。
……申し訳ない。
「あの、倖くん、すみませんでした。期待させておいて、こんなことになってしまって……。」
「あー、……うん。大丈夫。ちょっと気ぃぬけただけだから。」
そう言って、気にするな、とばかりにヒラヒラと手を振るが顔はあげてはくれなかった。
普段の倖から想像できないような落ち込み具合に、地味に焦る。
本当に申し訳ないことを、してしまった。
なぜかりんの方が泣きそうになりながらも、優しく倖の背中をなでた。
それを、なんだこれ、と慶が面白そうに眺める。そのままチラリと腕時計に目をやると、首を傾げて倖に問いかけた。
「じゃあ、君さ、もう俺に告白とかしないよな?」
「しない。」
俯いたまま倖が即答した。
「てことは、俺、帰っていーよな?」
「どーぞお帰りください。」
やけくそ気味に倖が言いはなつと、じゃあ、とりんに手をあげ踵を返しかけた慶にりんは慌てた。
「ま、まって!慶くん!」
数歩先の慶を捕まえると、りんは思い切り頭を下げた。
「ごめんね、慶くん。私が早とちりしてしまったばかりに、ややこしいことになってしまって。」
迷惑かけました、としょんぼりするりんの頭をポンポンと叩き、慶はニンマリと笑った。
「いや?意外と面白かったよ。りんもさ、あんまり責任とか感じなくていいと思うよ。」
顔を上げると更にニヤリと笑って行きかけて、突然急に振り返り倖を指差した。
「あ、そうだ、そこの君!りんのこと送ってやってくれよ!一応女の子だしさ。」
申し訳ない気持ちでいっぱいだったりんに追い討ちをかけるように慶が言う。
「だ、大丈夫ですよ!まだ明るいし。」
パタパタと手を振りながら、りんが慌てて言った。
こんなにショックうけてる人に送られても、会話に困るし。逆に自分がしっかりと倖を自宅まで送り届けた方がいいのでは?
倖は慶に顔を向けると、うんうんとどうでもよさそうに二度ほど頷いてから、また俯いた。
「送る送る。でも、もうちょっと待って。」
ショックはことのほか大きいらしかった。
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