84 / 135
6
しおりを挟む
学校の屋上は、抜けるような青空が眩しく、目に痛いくらいだった。
倖の自宅からパンダを引き取った数日後。
りんは倖から、放課後屋上に来い、という果たし状のような内容の誘いを受け、そこへ続く階段を上っていた。
屋上に続く階段は少し薄暗い。気味が悪いというだけでなく、いろんな意味でびくつきながらりんは無意識に眼鏡を押さえた。そうして恐る恐る登りきるとシルバーの大きめの両開きのドアがでんと構えていた。
普通の学校だと屋上へは出入り禁止であることが多い気がするが、この学校は特にそういったものはないのだろうか。付近に注意書きらしきものは見当たらない。
取っ手をひねり扉を軽く押すと、ぐっと向こう側から押される感触があり、扉はびくともしなかった。
もう一度、すこし強く押すと、中央に隙間が少し開くので鍵はされていないとわかる。
気圧かな、と肩を押し当て更に力を込める。
ごぉっという音とともに風が吹き込みスカートと髪がバタバタと騒ぐ。扉は大きく外へと開いた。
快晴だった。
風も吹いているが今日はさほど寒くもない。
扉を開けたときのような暴風は外に出てしまえば全くなく、薄めの青い空が頭上いっぱいに広がっている。教室の窓や運動場から見る空とは違う開放感に、りんは大きく深呼吸した。
屋上は、とても気持ちがよかった。
そのまま中央付近まで歩み出て、りんは呼び出した張本人の倖を探した。屋上は広いが、さして視界を遮る物があるわけでもない。しかし周囲に倖が見あたらなかったので、仕方なく今しがた出てきた塔屋をぐるりとする。それでもやはりいない。
彼はHRが終わるとすぐに教室を出て行ったので、てっきり先に来て待っているものだと思っていたのだが。
りんは端をぐるりと囲むフェンスに近づき、金網越しに運動場を見下ろした。
スマホを確認すると16時00分をまわっている。時間的に見れば、今日もこの運動場のどこかであれが這いつくばっている頃合いだ。
まぁ、眼鏡を外してどこにいるか視てみようなどとは決して思わないが。
することもないので、見るともなしに右往左往するサッカー部員を眺めていると、そのコート内を正門の方から真っ直ぐに突っ切って走る、見慣れた金髪の男子生徒をりんは見つけた。
倖だ。
急いで教室を出ていったのは校外に出るためだったのだろうか。
部員が縦横無尽に走り回るその空間を倖は何の問題もなく突っ切って抜けると、あっという間に校舎内へと消えていった。
しばらくして塔屋のドアがガチャリと開いて、息を切らせた倖が現れた。
「わり、待たせたか?」
「大丈夫です。そんなに待ってませんよ。外に行ってたんですか?」
「ん、ほれ。」
そうして倖が差し出してきたのはコンビニの袋だった。中を覗くと多種多様のコンビニスイーツが入っている。
倖の自宅からパンダを引き取った数日後。
りんは倖から、放課後屋上に来い、という果たし状のような内容の誘いを受け、そこへ続く階段を上っていた。
屋上に続く階段は少し薄暗い。気味が悪いというだけでなく、いろんな意味でびくつきながらりんは無意識に眼鏡を押さえた。そうして恐る恐る登りきるとシルバーの大きめの両開きのドアがでんと構えていた。
普通の学校だと屋上へは出入り禁止であることが多い気がするが、この学校は特にそういったものはないのだろうか。付近に注意書きらしきものは見当たらない。
取っ手をひねり扉を軽く押すと、ぐっと向こう側から押される感触があり、扉はびくともしなかった。
もう一度、すこし強く押すと、中央に隙間が少し開くので鍵はされていないとわかる。
気圧かな、と肩を押し当て更に力を込める。
ごぉっという音とともに風が吹き込みスカートと髪がバタバタと騒ぐ。扉は大きく外へと開いた。
快晴だった。
風も吹いているが今日はさほど寒くもない。
扉を開けたときのような暴風は外に出てしまえば全くなく、薄めの青い空が頭上いっぱいに広がっている。教室の窓や運動場から見る空とは違う開放感に、りんは大きく深呼吸した。
屋上は、とても気持ちがよかった。
そのまま中央付近まで歩み出て、りんは呼び出した張本人の倖を探した。屋上は広いが、さして視界を遮る物があるわけでもない。しかし周囲に倖が見あたらなかったので、仕方なく今しがた出てきた塔屋をぐるりとする。それでもやはりいない。
彼はHRが終わるとすぐに教室を出て行ったので、てっきり先に来て待っているものだと思っていたのだが。
りんは端をぐるりと囲むフェンスに近づき、金網越しに運動場を見下ろした。
スマホを確認すると16時00分をまわっている。時間的に見れば、今日もこの運動場のどこかであれが這いつくばっている頃合いだ。
まぁ、眼鏡を外してどこにいるか視てみようなどとは決して思わないが。
することもないので、見るともなしに右往左往するサッカー部員を眺めていると、そのコート内を正門の方から真っ直ぐに突っ切って走る、見慣れた金髪の男子生徒をりんは見つけた。
倖だ。
急いで教室を出ていったのは校外に出るためだったのだろうか。
部員が縦横無尽に走り回るその空間を倖は何の問題もなく突っ切って抜けると、あっという間に校舎内へと消えていった。
しばらくして塔屋のドアがガチャリと開いて、息を切らせた倖が現れた。
「わり、待たせたか?」
「大丈夫です。そんなに待ってませんよ。外に行ってたんですか?」
「ん、ほれ。」
そうして倖が差し出してきたのはコンビニの袋だった。中を覗くと多種多様のコンビニスイーツが入っている。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
おもいでにかわるまで
名波美奈
青春
失恋した時に読んで欲しい物語です。
高等専門学校が舞台の王道純愛青春ラブストーリーです。
第一章(主人公の水樹が入学するまで)と第二章(水樹が1年生から3年生まで)と第三章と第四章(4年生、5年生とその後)とで構成されています。主人公の女の子は同じですが、主に登場する男性が異なります。
主人公は水樹なのですが、それ以外の登場人物もよく登場します。
失恋して涙が止まらない時に、一緒に泣いてあげたいです。
現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話
そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん!
好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。
ほのぼのラブコメというか日常系小説
オチなどはなく、ただひたすらにまったりします
挿絵や文章にもAIを使用しております。
苦手な方はご注意ください。
『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない
七星点灯
青春
雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。
彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。
しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。
彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる