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正面にある駅方面へと向かう人々も、特に異変を察知している様子もない。
左手には住宅街だ。
野焚きとかではなく、もしかして、そのうちのどれかで、と想像したりんは背筋がヒヤリとするのを感じた。
立ち並ぶ住宅を前の方から順に見ていると倖が、あ、と低い声をあげるのが聞こえた。
見上げると後ろを見ている。倖が見ている方へと振り返ると、果たしてそこにはうっすらと灰色の筋のような煙を吐き出す商店の姿が目に入った。
「あ、」
りんも呆けたように声をだした。
数瞬2人とも動けずに立ちすくんでいたが、我に返った倖が商店へと走り出した。りんも慌ててその後を追う。
商店は店の入り口から煙を吐き出していたが、それがみる間に濃くなってゆく。
さっき通った時は何でもなかったのに。
店の周辺には生徒や通行人が異変を察知し少しずつ立ち止まり始めていた。
「ばあさんはどうした!?」
近くでスマートフォンを構えていた男子生徒に倖が怒鳴るとびくりとして、さっきまではレジにいたけど煙がでてからはわからない、とぼそぼそと答えた。
周囲に集まっている人々も皆一様に首を振る。その人の群れの中にも店主のおばあさんの姿は見えなかった。
大きな舌打ちが聞こえた。
倖は背負っていたリュックをりんに押しつける。ブレザーを脱ぎ口と鼻に当てるとあっという間に店の中へと突入していった。
残されたりんは渡されたリュックを抱えながら、突然のことにおろおろとしていたが、とりあえず消防署に電話しないと、と自分に言い聞かせるように呟く。
倖から預かったリュックを抱えなおして、背後の自分のリュックからスマホを取りだそうと手をのばす。すると傍にいたOL風の女性が、消防には連絡済みだよ、と教えてくれた。
背後に伸ばしていた手を、りんはゆっくりと下ろす。
では、自分にできることは、もう何もないのか。
呆然としている間に店の戸口の上部から出てくる煙の量が一層増えた気がした。
倖があの中に飛び込んでどれくらいたっただろうか。
5分?10分?それとももっと?
おばあさんが見つからないのだろうか。
それとも、もう見つけただろうか。
そういえば見つけたとしても1人で連れてでてこれるだろうか。
だって、鍛えられて訓練された消防士さんと違って、倖はまだ高校生なのだ。
背も高くて、意外と体格もよくて、金髪で荒事なんて何でもないような見た目をしているけど、倖はまだ高校生で、子供なのに。
まわりの野次馬の中には、倖よりも余程体格のよい大人が何名もいるというのに。
左手には住宅街だ。
野焚きとかではなく、もしかして、そのうちのどれかで、と想像したりんは背筋がヒヤリとするのを感じた。
立ち並ぶ住宅を前の方から順に見ていると倖が、あ、と低い声をあげるのが聞こえた。
見上げると後ろを見ている。倖が見ている方へと振り返ると、果たしてそこにはうっすらと灰色の筋のような煙を吐き出す商店の姿が目に入った。
「あ、」
りんも呆けたように声をだした。
数瞬2人とも動けずに立ちすくんでいたが、我に返った倖が商店へと走り出した。りんも慌ててその後を追う。
商店は店の入り口から煙を吐き出していたが、それがみる間に濃くなってゆく。
さっき通った時は何でもなかったのに。
店の周辺には生徒や通行人が異変を察知し少しずつ立ち止まり始めていた。
「ばあさんはどうした!?」
近くでスマートフォンを構えていた男子生徒に倖が怒鳴るとびくりとして、さっきまではレジにいたけど煙がでてからはわからない、とぼそぼそと答えた。
周囲に集まっている人々も皆一様に首を振る。その人の群れの中にも店主のおばあさんの姿は見えなかった。
大きな舌打ちが聞こえた。
倖は背負っていたリュックをりんに押しつける。ブレザーを脱ぎ口と鼻に当てるとあっという間に店の中へと突入していった。
残されたりんは渡されたリュックを抱えながら、突然のことにおろおろとしていたが、とりあえず消防署に電話しないと、と自分に言い聞かせるように呟く。
倖から預かったリュックを抱えなおして、背後の自分のリュックからスマホを取りだそうと手をのばす。すると傍にいたOL風の女性が、消防には連絡済みだよ、と教えてくれた。
背後に伸ばしていた手を、りんはゆっくりと下ろす。
では、自分にできることは、もう何もないのか。
呆然としている間に店の戸口の上部から出てくる煙の量が一層増えた気がした。
倖があの中に飛び込んでどれくらいたっただろうか。
5分?10分?それとももっと?
おばあさんが見つからないのだろうか。
それとも、もう見つけただろうか。
そういえば見つけたとしても1人で連れてでてこれるだろうか。
だって、鍛えられて訓練された消防士さんと違って、倖はまだ高校生なのだ。
背も高くて、意外と体格もよくて、金髪で荒事なんて何でもないような見た目をしているけど、倖はまだ高校生で、子供なのに。
まわりの野次馬の中には、倖よりも余程体格のよい大人が何名もいるというのに。
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