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それを見て倖は驚愕する。
いま、素顔見るチャンスだったんじゃね?
いや待て、つけたんなら外すはずだし、いや、度なしの眼鏡つけてるんだったら素顔と一緒てことはないか? よし、試しに声かけてみるか。
「おい、ちゃんと鏡で見たほうがいいんじゃね?」
倖は鏡が見える位置に移動しようとして、素早く縁なしの眼鏡に掛け替えたりんと目が合った。
「倖くん、今、見ようとしてました?よね?」
「……んなわけねぇだろ。鏡、勧めただけだっつの。」
「ド近なんで、鏡見ても自分の顔がわかりません。」
自分の顔がわからない?と驚いて呟く倖の袖を捕まえて、慶がずりずりと端の方へと引っ張っていく。
「大丈夫だよ、りん。よくわかんないけど、僕がちゃんとこの子見てるから。」
この子言うな、と倖はぶすくれた顔で口を尖らせ慶を睨みつけた。
「何で君、りんの素顔見ようとしてんの。」
あんなに一目惚れした子とは顔が違うって言い張ってたのに、と慶が面白そうに言った。
「……一応、確認しとこうと思って。」
「ふーん、……いい心がけだと思うよ。」
うんうんと頷く慶を胡散臭げに倖は見ながら、でだな、と気を取り直したように続ける。
「あいつのまえの眼鏡、何気に俺がかけてみたんだけど、……視えちまってだな。」
「かけたって、君、あれ度数ものすごく強いから何も見えないでしょう。」
「何も見えなかった。あれ、すごいな。何かホント滅茶苦茶気持ち悪かった。……じゃなくて、別のもんが視えたんだよ。」
りんは両手に持った似たような黒縁眼鏡を片っ端からつけては首を傾げていた。
「……あいつさ、鏡見ても顔見えないんだったら、試着する意味なくね?」
「つけ心地を比べてるんだよ。」
微笑ましげにりんを見ながら聞いていた慶が、別のって何?と聞き返す。
「だから、これ。」
と、両手を胸の前でたらしてお化けのポーズを倖がしてみせると、しばらくそれを眺めていた慶が呆気に取られたように大きく口を開けた。
「……え?……ん?見えたって、何が?」
意味が分からず再度同じ言葉を繰り返す慶に、だから幽霊が、と倖が苛立たしげに語気を強めてはっきりと言った。
「あいつが眼鏡外したときに視えるもんが、あいつの眼鏡かけたら俺にも視える。」
「……まっさかぁ。」
全く信じてない顔で慶が断じた。
「何がまさかだよ。本当だっつの。……あれ、お前が作ってんだろ?どうなってんだよ、あの眼鏡。」
「……さあ?」
部外者には言えないとかそういうことなのかと慶を睨むが、予想に反して彼はひどく困ったような風の顰めっ面で倖を見返す。
いま、素顔見るチャンスだったんじゃね?
いや待て、つけたんなら外すはずだし、いや、度なしの眼鏡つけてるんだったら素顔と一緒てことはないか? よし、試しに声かけてみるか。
「おい、ちゃんと鏡で見たほうがいいんじゃね?」
倖は鏡が見える位置に移動しようとして、素早く縁なしの眼鏡に掛け替えたりんと目が合った。
「倖くん、今、見ようとしてました?よね?」
「……んなわけねぇだろ。鏡、勧めただけだっつの。」
「ド近なんで、鏡見ても自分の顔がわかりません。」
自分の顔がわからない?と驚いて呟く倖の袖を捕まえて、慶がずりずりと端の方へと引っ張っていく。
「大丈夫だよ、りん。よくわかんないけど、僕がちゃんとこの子見てるから。」
この子言うな、と倖はぶすくれた顔で口を尖らせ慶を睨みつけた。
「何で君、りんの素顔見ようとしてんの。」
あんなに一目惚れした子とは顔が違うって言い張ってたのに、と慶が面白そうに言った。
「……一応、確認しとこうと思って。」
「ふーん、……いい心がけだと思うよ。」
うんうんと頷く慶を胡散臭げに倖は見ながら、でだな、と気を取り直したように続ける。
「あいつのまえの眼鏡、何気に俺がかけてみたんだけど、……視えちまってだな。」
「かけたって、君、あれ度数ものすごく強いから何も見えないでしょう。」
「何も見えなかった。あれ、すごいな。何かホント滅茶苦茶気持ち悪かった。……じゃなくて、別のもんが視えたんだよ。」
りんは両手に持った似たような黒縁眼鏡を片っ端からつけては首を傾げていた。
「……あいつさ、鏡見ても顔見えないんだったら、試着する意味なくね?」
「つけ心地を比べてるんだよ。」
微笑ましげにりんを見ながら聞いていた慶が、別のって何?と聞き返す。
「だから、これ。」
と、両手を胸の前でたらしてお化けのポーズを倖がしてみせると、しばらくそれを眺めていた慶が呆気に取られたように大きく口を開けた。
「……え?……ん?見えたって、何が?」
意味が分からず再度同じ言葉を繰り返す慶に、だから幽霊が、と倖が苛立たしげに語気を強めてはっきりと言った。
「あいつが眼鏡外したときに視えるもんが、あいつの眼鏡かけたら俺にも視える。」
「……まっさかぁ。」
全く信じてない顔で慶が断じた。
「何がまさかだよ。本当だっつの。……あれ、お前が作ってんだろ?どうなってんだよ、あの眼鏡。」
「……さあ?」
部外者には言えないとかそういうことなのかと慶を睨むが、予想に反して彼はひどく困ったような風の顰めっ面で倖を見返す。
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