4 / 18
逃亡先の安らぎ
薄着で宅急便2
しおりを挟む
「あ、あの、竜児さ……」
「あれ?前川さん指定時間と違いませんか?」
前川の言葉を遮るように、聞きなれた声が飛んできた。若干怒りが見える声に、前川はハッと正気に戻る。
「あー!すみません絹田さん!ちょうどこの辺りにお荷物あったんで、もしかしたらいるかなーって来ちゃいました!」
「いえいえ、良いんですよ。前の担当の方には指定時間厳守して貰ってたんで……次回からは前川さんもお時間守ってくださいね」
「は、はい!」
さらさらとサインすると、鬼怒川はにっこりとした笑顔を向けた。笑顔なのに怖い。明らかな「帰れ」の合図に前川は笑顔を引き攣らせると、慌てて帰って行った。
「きぬ、オニーサン怖がってんじゃん」
「坊ちゃん、ピンポン鳴らされても知らない人なら出ないって約束でしょう?」
「宅配だったし。荷物くらい俺でも受け取れるし」
「そういう問題ちゃうやろが」
ドスの効いた声と共に、ただでさえ人を殺してそうな鬼怒川の目が鋭利になった。
「じゃあ、どういう問題?」
怖がることも無く、汗ばんだ手が、鬼怒川の首に回される。気化熱によってひんやりとした竜児の腕が心地良い。
「教えて差し上げましょうか」
「お、いいね、今日はヤル気?」
「……たまには良いでしょう。でも、熱中症は怖いのでエアコン付けてからしましょうか」
いとも簡単にエアコンのスイッチをいれると、しっかりと締めていたネクタイに手をかける。
シュル、とネクタイを取った鬼怒川を見て、たまには嫉妬されるのも悪くないと心の中で竜児はペロリと舌を出したのだった。
「あれ?前川さん指定時間と違いませんか?」
前川の言葉を遮るように、聞きなれた声が飛んできた。若干怒りが見える声に、前川はハッと正気に戻る。
「あー!すみません絹田さん!ちょうどこの辺りにお荷物あったんで、もしかしたらいるかなーって来ちゃいました!」
「いえいえ、良いんですよ。前の担当の方には指定時間厳守して貰ってたんで……次回からは前川さんもお時間守ってくださいね」
「は、はい!」
さらさらとサインすると、鬼怒川はにっこりとした笑顔を向けた。笑顔なのに怖い。明らかな「帰れ」の合図に前川は笑顔を引き攣らせると、慌てて帰って行った。
「きぬ、オニーサン怖がってんじゃん」
「坊ちゃん、ピンポン鳴らされても知らない人なら出ないって約束でしょう?」
「宅配だったし。荷物くらい俺でも受け取れるし」
「そういう問題ちゃうやろが」
ドスの効いた声と共に、ただでさえ人を殺してそうな鬼怒川の目が鋭利になった。
「じゃあ、どういう問題?」
怖がることも無く、汗ばんだ手が、鬼怒川の首に回される。気化熱によってひんやりとした竜児の腕が心地良い。
「教えて差し上げましょうか」
「お、いいね、今日はヤル気?」
「……たまには良いでしょう。でも、熱中症は怖いのでエアコン付けてからしましょうか」
いとも簡単にエアコンのスイッチをいれると、しっかりと締めていたネクタイに手をかける。
シュル、とネクタイを取った鬼怒川を見て、たまには嫉妬されるのも悪くないと心の中で竜児はペロリと舌を出したのだった。
0
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
Take On Me 2
マン太
BL
大和と岳。二人の新たな生活が始まった三月末。新たな出会いもあり、色々ありながらも、賑やかな日々が過ぎていく。
そんな岳の元に、一本の電話が。それは、昔世話になったヤクザの古山からの呼び出しの電話だった。
岳は仕方なく会うことにするが…。
※絡みの表現は控え目です。
※「エブリスタ」、「小説家になろう」にも投稿しています。
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる