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初陣編
#15 家虎と村上水軍
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来島城 村上通康
わしの下には一人の珍しい来客が来ていた。その来客は毛利の家紋を身にまとい元服こそしているようだが酷く若そうな毛利家一門の男だった。だが、わしの知古である福原殿がその男子を守るようにして付き添って居た為さぞ身分のある方だと推測しつつドスッと座り
「わしが村上通康だ!」と威圧しながら言うも何処吹く風でその男子は
「私は皆生家当主皆生家虎と申します!!」とわしに負けず劣らずの大声を出して名乗った。
皆生殿、だと?皆生と言えば一年前ぐらいから内政上手と噂されて居る毛利の人質が尼子に気に入られて興した新興勢力だ。皆生殿なら毛利家の家紋を身にまとって居るのもまぁ頷けるが。だが、ここまで若造だとは思わなかった。
「皆生殿と名乗ったか。」
「はい。」と後ろに控える福原殿を頼る様子も見せずに言うと
「村上殿に置かれましては単刀直入に申し上げましょう。近々起こるであろう大友との戦で毛利への援軍を要請致したく参りました。」と更に大胆に火蓋を切ってきた。
だが、こればかりは断らねばならぬ。余りにも毛利に勝機が無さすぎる。仮に今の毛利がそれに激昂して攻めて来たとしても今の毛利なら我ら村上水軍で十分勝機はあるだろう。
「…断じて断る。」と言うと皆生殿はまるで我らの理屈が分かり切ったかのように笑うと
「なれど、此度の戦村上殿にとって然程悪いものでは無い物と思いまする。」と皆生殿が言った。
その言葉に興味を持ったわしは
「皆生殿、この大友と毛利の戦が我らにとって有益になるとでも申すのかな?」と問うと皆生殿は頷き
「その通りに御座いまする。仮に参陣したとしても村上水軍にはさして損害は受けぬものと存じ上げまする。何故なら大友にはさしたる水軍が存在せず海賊は多く存在するとは言えども荒者の集団とも言える者たちを率いることが出来る者が居らねば意味がありませぬ。」
「はっはっはっ、海賊を荒者の集団と呼ぶか!中々良い肝をしておるわ!」とわしが言うと皆生殿は朗らかな笑みを浮かべながら軽く一礼すると
「更に申せば大友は一門衆が決して強くない。大友殿は自ら父を殺し弟を見殺しにし言わば身内を犠牲にして成り上がって来た男に御座います。それに加え我が主である尼子晴久様は此度お動きになられません。背後の憂いがなければ戦うことは可能と存じます。」と皆生殿が言い切った。
ふむ…未来の楽しみな若造、よな。
「はっはっはっ!やはり皆生殿は面白い御方だ。わしのつぼを的確に突いてくるわ!良かろう我ら村上水軍は皆生家虎殿を信じ毛利に味方すると確約しよう!但し!儂ら村上水軍が動くのは毛利のためでは無く皆生殿の為とする!」と言うと家臣たちも同意見だったのか
「おおっ!」と気炎を上げた。
わしはチラリと皆生殿の方を見ると
「皆生殿、勝つ為の作戦は立ててあるんでしょうな?」と問うと皆生殿は居住まいを正すと
「勿論に御座います。村上殿にやっていただきたいのは海上での兵糧攻めです。」と皆生殿が言った。
「ほう、兵糧攻めとな?だが、それでは先の戦で兵糧を使い果たしておる毛利に勝ち目はないと思うが。」と言うとここから皆生殿の鬼才が明らかになる天才的な軍略を皆生殿に披露される事となる。
第15話では村上水軍との家虎君の直接対決ターンとなりました。絶体絶命の毛利家を救うため家虎君が提案し通康さんに天才的と言わしめた作戦とは如何なるものか。
以上が第15話の展望となります。
次回もよろしくお願いします。
戦国では行われない作戦や理にかなっていない作戦かも知れませんが多めに見ていただけると大変助かりますのでよろしくお願いします。 もうりん
わしの下には一人の珍しい来客が来ていた。その来客は毛利の家紋を身にまとい元服こそしているようだが酷く若そうな毛利家一門の男だった。だが、わしの知古である福原殿がその男子を守るようにして付き添って居た為さぞ身分のある方だと推測しつつドスッと座り
「わしが村上通康だ!」と威圧しながら言うも何処吹く風でその男子は
「私は皆生家当主皆生家虎と申します!!」とわしに負けず劣らずの大声を出して名乗った。
皆生殿、だと?皆生と言えば一年前ぐらいから内政上手と噂されて居る毛利の人質が尼子に気に入られて興した新興勢力だ。皆生殿なら毛利家の家紋を身にまとって居るのもまぁ頷けるが。だが、ここまで若造だとは思わなかった。
「皆生殿と名乗ったか。」
「はい。」と後ろに控える福原殿を頼る様子も見せずに言うと
「村上殿に置かれましては単刀直入に申し上げましょう。近々起こるであろう大友との戦で毛利への援軍を要請致したく参りました。」と更に大胆に火蓋を切ってきた。
だが、こればかりは断らねばならぬ。余りにも毛利に勝機が無さすぎる。仮に今の毛利がそれに激昂して攻めて来たとしても今の毛利なら我ら村上水軍で十分勝機はあるだろう。
「…断じて断る。」と言うと皆生殿はまるで我らの理屈が分かり切ったかのように笑うと
「なれど、此度の戦村上殿にとって然程悪いものでは無い物と思いまする。」と皆生殿が言った。
その言葉に興味を持ったわしは
「皆生殿、この大友と毛利の戦が我らにとって有益になるとでも申すのかな?」と問うと皆生殿は頷き
「その通りに御座いまする。仮に参陣したとしても村上水軍にはさして損害は受けぬものと存じ上げまする。何故なら大友にはさしたる水軍が存在せず海賊は多く存在するとは言えども荒者の集団とも言える者たちを率いることが出来る者が居らねば意味がありませぬ。」
「はっはっはっ、海賊を荒者の集団と呼ぶか!中々良い肝をしておるわ!」とわしが言うと皆生殿は朗らかな笑みを浮かべながら軽く一礼すると
「更に申せば大友は一門衆が決して強くない。大友殿は自ら父を殺し弟を見殺しにし言わば身内を犠牲にして成り上がって来た男に御座います。それに加え我が主である尼子晴久様は此度お動きになられません。背後の憂いがなければ戦うことは可能と存じます。」と皆生殿が言い切った。
ふむ…未来の楽しみな若造、よな。
「はっはっはっ!やはり皆生殿は面白い御方だ。わしのつぼを的確に突いてくるわ!良かろう我ら村上水軍は皆生家虎殿を信じ毛利に味方すると確約しよう!但し!儂ら村上水軍が動くのは毛利のためでは無く皆生殿の為とする!」と言うと家臣たちも同意見だったのか
「おおっ!」と気炎を上げた。
わしはチラリと皆生殿の方を見ると
「皆生殿、勝つ為の作戦は立ててあるんでしょうな?」と問うと皆生殿は居住まいを正すと
「勿論に御座います。村上殿にやっていただきたいのは海上での兵糧攻めです。」と皆生殿が言った。
「ほう、兵糧攻めとな?だが、それでは先の戦で兵糧を使い果たしておる毛利に勝ち目はないと思うが。」と言うとここから皆生殿の鬼才が明らかになる天才的な軍略を皆生殿に披露される事となる。
第15話では村上水軍との家虎君の直接対決ターンとなりました。絶体絶命の毛利家を救うため家虎君が提案し通康さんに天才的と言わしめた作戦とは如何なるものか。
以上が第15話の展望となります。
次回もよろしくお願いします。
戦国では行われない作戦や理にかなっていない作戦かも知れませんが多めに見ていただけると大変助かりますのでよろしくお願いします。 もうりん
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