毛利真伝

もうりん

文字の大きさ
15 / 19
初陣編

#15 家虎と村上水軍

しおりを挟む
来島城 村上通康
わしの下には一人の珍しい来客が来ていた。その来客は毛利の家紋を身にまとい元服こそしているようだが酷く若そうな毛利家一門の男だった。だが、わしの知古である福原殿がその男子を守るようにして付き添って居た為さぞ身分のある方だと推測しつつドスッと座り
「わしが村上通康だ!」と威圧しながら言うも何処吹く風でその男子は
「私は皆生家当主皆生家虎と申します!!」とわしに負けず劣らずの大声を出して名乗った。
皆生殿、だと?皆生と言えば一年前ぐらいから内政上手と噂されて居る毛利の人質が尼子に気に入られて興した新興勢力だ。皆生殿なら毛利家の家紋を身にまとって居るのもまぁ頷けるが。だが、ここまで若造だとは思わなかった。
「皆生殿と名乗ったか。」
「はい。」と後ろに控える福原殿を頼る様子も見せずに言うと
「村上殿に置かれましては単刀直入に申し上げましょう。近々起こるであろう大友との戦で毛利への援軍を要請致したく参りました。」と更に大胆に火蓋を切ってきた。
だが、こればかりは断らねばならぬ。余りにも毛利に勝機が無さすぎる。仮に今の毛利がそれに激昂して攻めて来たとしても今の毛利なら我ら村上水軍で十分勝機はあるだろう。
「…断じて断る。」と言うと皆生殿はまるで我らの理屈が分かり切ったかのように笑うと
「なれど、此度の戦村上殿にとって然程悪いものでは無い物と思いまする。」と皆生殿が言った。
その言葉に興味を持ったわしは
「皆生殿、この大友と毛利の戦が我らにとって有益になるとでも申すのかな?」と問うと皆生殿は頷き
「その通りに御座いまする。仮に参陣したとしても村上水軍にはさして損害は受けぬものと存じ上げまする。何故なら大友にはさしたる水軍が存在せず海賊は多く存在するとは言えども荒者の集団とも言える者たちを率いることが出来る者が居らねば意味がありませぬ。」
「はっはっはっ、海賊を荒者の集団と呼ぶか!中々良い肝をしておるわ!」とわしが言うと皆生殿は朗らかな笑みを浮かべながら軽く一礼すると
「更に申せば大友は一門衆が決して強くない。大友殿は自ら父を殺し弟を見殺しにし言わば身内を犠牲にして成り上がって来た男に御座います。それに加え我が主である尼子晴久様は此度お動きになられません。背後の憂いがなければ戦うことは可能と存じます。」と皆生殿が言い切った。
ふむ…未来の楽しみな若造、よな。
「はっはっはっ!やはり皆生殿は面白い御方だ。わしのつぼを的確に突いてくるわ!良かろう我ら村上水軍は皆生家虎殿を信じ毛利に味方すると確約しよう!但し!儂ら村上水軍が動くのは毛利のためでは無く皆生殿の為とする!」と言うと家臣たちも同意見だったのか
「おおっ!」と気炎を上げた。
わしはチラリと皆生殿の方を見ると
「皆生殿、勝つ為の作戦は立ててあるんでしょうな?」と問うと皆生殿は居住まいを正すと
「勿論に御座います。村上殿にやっていただきたいのは海上での兵糧攻めです。」と皆生殿が言った。
「ほう、兵糧攻めとな?だが、それでは先の戦で兵糧を使い果たしておる毛利に勝ち目はないと思うが。」と言うとここから皆生殿の鬼才が明らかになる天才的な軍略を皆生殿に披露される事となる。
第15話では村上水軍との家虎君の直接対決ターンとなりました。絶体絶命の毛利家を救うため家虎君が提案し通康さんに天才的と言わしめた作戦とは如何なるものか。
以上が第15話の展望となります。
次回もよろしくお願いします。
戦国では行われない作戦や理にかなっていない作戦かも知れませんが多めに見ていただけると大変助かりますのでよろしくお願いします。 もうりん
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

if 大坂夏の陣 〜勝ってはならぬ闘い〜

かまぼこのもと
歴史・時代
1615年5月。 徳川家康の天下統一は最終局面に入っていた。 堅固な大坂城を無力化させ、内部崩壊を煽り、ほぼ勝利を手中に入れる…… 豊臣家に味方する者はいない。 西国無双と呼ばれた立花宗茂も徳川家康の配下となった。 しかし、ほんの少しの違いにより戦局は全く違うものとなっていくのであった。 全5話……と思ってましたが、終わりそうにないので10話ほどになりそうなので、マルチバース豊臣家と別に連載することにしました。

処理中です...