400人の駒だった。

鍵霧 飛鳥

文字の大きさ
1 / 3
序章

覚えのある絶望-1

しおりを挟む
ずっと忘れることのできなかったある事件。自分に心があることや自分が常識人であることをここまで憎んだのは今までもこれからも、最初で最後だろうと思っていた。いや、人間なんて増え続け不定期に行われるトランプ・ゲームによって、最大で三九六人が削られるとはいえ…数多い人間の中から私がまた選ばれるなんて夢にも思わなかったし思いたくもなかったが、目の前のアンティーク調の、私の瞳と同じ紫の宝石がはめられた箱がカタカタと動くのが絶望の始まりを告げる。


震える指先がゆっくりと紫の宝石に伸びる、そしてゆっくりと力を籠めればカチリという機械的な音の直後箱が開いた。中の白いクッションの上には、まるで妖精のアンクレットを彷彿とさせる金色のブレスレットがそこで振動していた。

ゆっくり震える手でブレスレットを手に取り手首に通す。そして金色のブレスレットの間に浮かぶ小さな正八面体の箱の宝石と同じ石を指先でつつけば、それはくるくると回りブレスレットから外れて宙に漂う。じきに映写機のように映像を映し出す。
映し出されたのは黒くて肩を出した豪華なドレスの袖はふんわりと膨らんでいて肩が出ていてフリルのの襟の中央は首元の白いリボンとその中心のダイヤモンドで彩られている。腰から下に広がるドレスはとても大きく教科書で見た中世のドレスを思い出したが、正面が大きく開いていてそこから妖艶な足がむき出しだった。
見覚えのある長く黒い髪をなびかせた彼女がゆっくりとその目を開けば紫の瞳が露になる。

『ぱんぱかぱーんっ!おめでとうっ、あなたは次のトランプ・ゲームのプレイヤーに選ばれたわっ!”命 蛍光みたま ほたる”』

命 蛍光みたま ほたる


それは私の名前であり、それと共に二年前にこの星で行われたトランプ・ゲームの勝者の名前だった。

「...久しぶりだね、支配人エスコート。」

変わらぬその姿に皮肉にも少し安心してしまう自分がいる。今から二年前の支配人も彼女だった。

『皮肉なものね、蛍光...。また選ばれるけど私今、あなたに会えて嬉しいわ。』
「偶然だね、支配人...私もだったりするよソレ。それで?また選ばれたの...?」

声が震えて上手く言葉が出ない。それもそうだ、トランプ・ゲームは宇宙規模で行われる殺し合いゲーム。そこで勝てた私には国から世界から多額の報奨金が国を通して与えられているし、私生活に影響が出にくいように手を回してもらったり、護衛をつけてもらったりと密かなお嬢様気分だ。だが、その分失ったものもあった。
私はもう普通に料理はできないだろう、あの時使っていた武器である包丁を今でも持つだけで手が震えるのだ。あの時なぜ包丁を使ったのかは一生後悔するだろう。
全身から嫌な汗が吹き出るが、支配人を前にしたかつての勝者の謎のプライドが邪魔をして引きつった笑いを私は続けていた。恐らく支配人はそんな私の様子に気づいているだろう、ヒールの分背が高い彼女は私に座るように促した後に目の前にしゃがんで視線を落とした。

そして、支配人は口を開いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

6年前の私へ~その6年は無駄になる~

夏見颯一
恋愛
モルディス侯爵家に嫁いだウィニアは帰ってこない夫・フォレートを待っていた。6年も経ってからようやく帰ってきたフォレートは、妻と子供を連れていた。 テンプレものです。テンプレから脱却はしておりません。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

処理中です...