冬月シバの事件簿

差し入れ

芋づる式

　痴漢した男は泣き喚いてる。冤罪だっ、家族がいる、会社にも家族にも言わないでくれと。名刺を見ると大手企業会社役員とのこので。携帯の待ち受けは彼の妻と子供だ。
　俺はツナマヨのおにぎりを片手に駅構内の事務所で泣き喚く男に事情聴取をする。

　ピロロロロロッ

　帆奈の携帯が鳴る。男はずっと泣き喚いている。話にならない。
「冬月、こないだの痴漢被害出した女子高校生、オヤジ狩の首謀者だったと」
　えっ？！あんな可愛くてか弱そうなあの子が？

「しかも援助交際もしてたって」
　嘘だろ……あの純潔そうな顔だったのに。

「先輩、この男……鞄の中にこんなのが……」
　茜部が男の鞄の奥から赤いレース下着を取り出した。男は慌てる。
「それは妻の……」
　俺は笑った。
「こんな大きな奥様がそんな小さな下着着るか？」
　と、男の待受に移った大きな体をした妻を見せつけると男はさらに泣き喚き、床に這いずり回った。

　痴漢は親父狩りのメンバーである女子高校生による偽証言で痴漢は冤罪だったが、男は下着泥棒であった。