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散歩
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今日は、いい天気。晴天。雲一つないいい天気だ。こんな日は散歩に限る。オレは椅子から立ち上がり散歩へ行く準備をした。準備といっても適当な私服を着て財布とお気に入りの懐中時計を持って出るだけなんだけどね。
さてさて、準備も終わったことだし部屋から出るとアインにばったり会ったから挨拶をした。
「おはよう。アイン!今日も眠そうだね?」
「嗚呼、おはよう。ドライ。…まぁ、な。朝だけは本当に苦手だ」
肩を竦めてそう言うドライの頭を撫でてあげると、気持ちよさそうに目を閉じるアイン。そんな彼をぎゅっと抱きしめるとぱちりと瞬きし逃げようとしたからさらに強く抱きしめる。
「なーんで、逃げるの?ぎゅうは嫌い?」
そう問いかけるとアインはオレを見上げて
「嫌いとかじゃなくて、お前のその癖本当やめろよ。変な目で見られんだよ」
不機嫌そうな顔して答える。オレは、少ししょんぼりしたけどアインの嫌がることはしたくないからそっと離れた後また頭を撫でた。
「…ん、撫でるのは別にいいけど、さ」
なんだ、この可愛い生き物。オレを悶え殺す気なのかな?、なんて思ってるとアインがオレをじーっと見ていた。
「…何?顔になんか付いてる?」
そう言って小首を傾げて問い掛けるとふるふると首を振った後、何故かあっかんベーをされた上にそっぽ向かれたしそのまま去って行った。そんなアインを一部始終見ていたオレだけど、本当可愛いなって改めて思ってから城の中を散歩し始めた。
この城はとんでもないくらい広くてオレ達兵士でも知らない部屋だとかあるんだ。それを把握する為に非番の時はこうして散歩がてら探索している。オレは、基本お城の人達には嫌われてるからその人達に会わないルートで散歩をしてて同じルートを通ってるんだけど、今日は違うルートで散歩している。迷子になるかもしれないけど、その時はその時だし気にせずそのまま突き進んでいくとツヴァイに会った。少し吃驚したけど忙しそうだから話しかけるのはやめて軽く手を振った。すると、優しく微笑んで手を振り返してくれた。なんだか、嬉しくなって口元が緩んでしまった。
そして、歩き続けると行き止まりにあたってしまったから引き返そうとしたけど、もしかして隠し扉かも、と思い扉を押すとその勘は当たっていたみたいでぎぃっと音を立てて開いた。
「…何で隠し扉なんかあるんだろう?」
そう呟き乍扉の向こうをそっと覗くと姫様の部屋に通じていてオレは慌てて扉を閉めた。怒られるのだけは勘弁したいからだ。そして、もと来た道を戻っていくと今度はフィーアとフュンフに会った。二人とも今から休憩らしい。オレは、お疲れさま、とすれ違いざまに言った。二人もすれ違いざまにお礼を言ってくれた。そんな些細なことがオレの心を温かくしてくれる。素敵な仲間に会えてよかったと心から思える。
今日の散歩で得られるものは沢山あったけど危うく怒られるところでもあった。だけど、素敵な仲間達に会えて嬉しかった。
また、散歩しよう。そう思ってオレは床に就いた。
end
さてさて、準備も終わったことだし部屋から出るとアインにばったり会ったから挨拶をした。
「おはよう。アイン!今日も眠そうだね?」
「嗚呼、おはよう。ドライ。…まぁ、な。朝だけは本当に苦手だ」
肩を竦めてそう言うドライの頭を撫でてあげると、気持ちよさそうに目を閉じるアイン。そんな彼をぎゅっと抱きしめるとぱちりと瞬きし逃げようとしたからさらに強く抱きしめる。
「なーんで、逃げるの?ぎゅうは嫌い?」
そう問いかけるとアインはオレを見上げて
「嫌いとかじゃなくて、お前のその癖本当やめろよ。変な目で見られんだよ」
不機嫌そうな顔して答える。オレは、少ししょんぼりしたけどアインの嫌がることはしたくないからそっと離れた後また頭を撫でた。
「…ん、撫でるのは別にいいけど、さ」
なんだ、この可愛い生き物。オレを悶え殺す気なのかな?、なんて思ってるとアインがオレをじーっと見ていた。
「…何?顔になんか付いてる?」
そう言って小首を傾げて問い掛けるとふるふると首を振った後、何故かあっかんベーをされた上にそっぽ向かれたしそのまま去って行った。そんなアインを一部始終見ていたオレだけど、本当可愛いなって改めて思ってから城の中を散歩し始めた。
この城はとんでもないくらい広くてオレ達兵士でも知らない部屋だとかあるんだ。それを把握する為に非番の時はこうして散歩がてら探索している。オレは、基本お城の人達には嫌われてるからその人達に会わないルートで散歩をしてて同じルートを通ってるんだけど、今日は違うルートで散歩している。迷子になるかもしれないけど、その時はその時だし気にせずそのまま突き進んでいくとツヴァイに会った。少し吃驚したけど忙しそうだから話しかけるのはやめて軽く手を振った。すると、優しく微笑んで手を振り返してくれた。なんだか、嬉しくなって口元が緩んでしまった。
そして、歩き続けると行き止まりにあたってしまったから引き返そうとしたけど、もしかして隠し扉かも、と思い扉を押すとその勘は当たっていたみたいでぎぃっと音を立てて開いた。
「…何で隠し扉なんかあるんだろう?」
そう呟き乍扉の向こうをそっと覗くと姫様の部屋に通じていてオレは慌てて扉を閉めた。怒られるのだけは勘弁したいからだ。そして、もと来た道を戻っていくと今度はフィーアとフュンフに会った。二人とも今から休憩らしい。オレは、お疲れさま、とすれ違いざまに言った。二人もすれ違いざまにお礼を言ってくれた。そんな些細なことがオレの心を温かくしてくれる。素敵な仲間に会えてよかったと心から思える。
今日の散歩で得られるものは沢山あったけど危うく怒られるところでもあった。だけど、素敵な仲間達に会えて嬉しかった。
また、散歩しよう。そう思ってオレは床に就いた。
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