彼女の涙の理由

星海輝

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彼女の涙の理由

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頭の中で時々反響する声は心の底から思っている言葉を何度も叫ぶ彼女の言葉だ。

「うるさいうるさいうるさい!!!黙れ黙れ黙れ!!お前達に私の何が分かる!!!魔女だと悪魔だと疑われ、その挙句の果てには愚かしい化け物だと蔑まされた私の気持ちなぞ、お前達に理解されてたまるかっ!!!!」

あの時目の前に居た俺達に初めて彼女は心の底から思っていることを叫んだ。人としての扱いをされなかった彼女の本音をその時初めて聞いた。その時に、俺はそんな彼女を守ってやりたいと思ったが、激昂している彼女にそんな事を言ってしまえば首り殺されただろう。俺達は彼女の怒りをただ鎮まるのを待つ事しか出来なかった。だが、彼女の怒りは留まることを知らず、目に映る全てのものを破壊し尽くさんばかりの殺意に変わろうとしていた。それでも、俺達は彼女の怒りが鎮まるような言葉をかけてやることは出来なかった。

「……もういい。私は、ここで死ぬ。生きている事がこんなにも辛いのなら早くに死ぬべきだった!無様に地べたを這いずり価値のないこんな命を守る必要はなかった!生に縋り付いて、もがき苦しんで、死ぬよりは…自分で命を絶った方がマシだ!」

そんな彼女の言葉に俺達は絶句した。彼女の殺意は彼女自身に向き彼女の手に握られていたレイピアを彼女はなんの躊躇いもなく自分の胸に突き刺した。彼女の綺麗な青色のワンピースは血で滲み口からは鮮血がこぼれ落ちる。

「……ざまあみろ。」

死ぬ間際に彼女が言葉を零したと同時に大粒の涙を流した。その涙の理由を俺達は知らない。だが、これだけは分かった。彼女は心の底から人という生き物に恋焦がれていたことを、そして、彼女が最期に言った言葉は俺達に向けられたものじゃないものだということ。最期に言った言葉は彼女自身に向けたものだということを、彼女が自殺してから約二年目にして俺達は分かった。もし、また別の世界で彼女に会えたら俺達は彼女の一番の理解者になる事を胸に誓った。
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