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出会い
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とある森。雨が降りしきる中傘も差さずに歩く青年は、銀色の髪を濡らし着ている服や履いている靴もずぶ濡れになっていた。然し、そんな事は気にしてないというように青年は森の中央まで来ると立ち止まった。
「…赤ん坊?」
大きな木の下に赤子が捨てられているのを見付けては呟くように言った。こんな所に赤ん坊を捨てていくなんて最低な両親だと思いながら、赤ん坊が眠っている小さな籠に近付いた。
「……女の子、か。」
小さな籠の中で寝ている赤ん坊を見ると、青年はその赤ん坊が女の子だと気付いた。こんな誰もいない森の中で泣きもせず寝られる赤ん坊を初めて見た青年は、興味深そうに見ていたがこんな所でずっと寝たままでいたらきっと直ぐに死んでしまうだろうと考え、仕方なく自分の家に赤ん坊を連れて帰る事にした。そのまま赤ん坊に触るのは怖かったのか青年は、小さな籠事抱き上げ、そして、自分の家に帰っていった。
暫く歩いていると古びた家に着く。青年は、玄関の前で一度赤ん坊の様子を見る。赤ん坊は、未だにすやすやと気持ち良さそうに寝ている為か青年はこの子を連れて帰ってきて良かったと心の底から思っていた。もし、この子があのまま放置されていたならきっと直ぐに飢えた獣に襲われてしまっていただろう。そんな考えを振り払うように頭を振ると、髪から小さな水飛沫が跳ね赤ん坊の頬にぴちゃりと当たるが、赤ん坊は水飛沫が当たった事など関係なしに寝ていた。普通なら吃驚して起きるはずなのに、この子は、肝が据わってるのかはたまた鈍感なだけなのか色んな意味でこの子から目を離せなくなった青年は小さく溜め息を吐いてから、家の玄関のドアを開け中へと入った。
「……」
ソファーに赤ん坊が寝ている小さな籠を置いた後、直ぐに暖炉の火を付け濡れてしまった服を脱いで暖炉の前にあるソファーに掛けて乾かし、それから、椅子の背もたれに掛けてあるタオルを手に取り濡れている髪の毛を拭きながら衣装棚の中にある服を適当に選んで着替えた。
「……名前、決めなきゃな。」
着替え終えると、タオルを頭に被せたままソファーに座りちらりと赤ん坊を見詰め小さく独白をした。青年は、誰かに名前を付けるのは初めてなので緊張した面持ちでどんな名前にしようか考えたが、良い名前が思い浮かばずただ時間だけが過ぎていった。
それから、数時間経つとやっと赤ん坊は目を覚ました。青年は、それに気付くと赤ん坊を見詰めた。
「…おはようさん。随分長いこと寝てたな?」
出来るだけ優しい声で話す青年に対し、赤ん坊は、青年の言葉をまだ理解出来ないので不思議そうな顔をしながらもにこにこ笑っていた。青年は、そんな赤ん坊の反応を見ては、まだ赤ん坊だから俺の言葉を理解する事は難しいかと考えた後、また、この赤ん坊の名前を考え始めた。
「…あ、うっ!」
赤ん坊は、青年の手を掴みたいのか必死に小さな手を動かし可愛らしい声で青年を呼ぶ様に声を出した。
「…ん?俺の手触りたいのか?…人の様に温かくないぞ?」
青年は、別に抱っこするわけじゃないし手ぐらい触らせてもいいかと思いそっと赤ん坊の手に触れた。そして、赤ん坊は嬉しそうにきゃっきゃっと笑った。
「…お前、鈍感なんだな。」
「…う?」
「いいや、何でもないさ。」
「あー、う!」
赤ん坊が自分の言葉に反応する様に声を出す為、青年はほんの少し嬉しく感じ小さく微笑むと赤ん坊はその笑みを見て更に嬉しそうに笑った。
「決めた。お前の名前は、ティーナにしよう。どうだ、可愛い名前だろう?」
「あー!」
「そうか。嬉しいか。…俺も気に入ってくれて嬉しいよ。ティーナ」
小さく微笑んで青年が言うと、ティーナは花のように笑った。そして、青年は、自分の名前はティーナがもう少し大きくなり言葉を理解出来るまでになったら教えてあげようと思ったのだった。
end
「…赤ん坊?」
大きな木の下に赤子が捨てられているのを見付けては呟くように言った。こんな所に赤ん坊を捨てていくなんて最低な両親だと思いながら、赤ん坊が眠っている小さな籠に近付いた。
「……女の子、か。」
小さな籠の中で寝ている赤ん坊を見ると、青年はその赤ん坊が女の子だと気付いた。こんな誰もいない森の中で泣きもせず寝られる赤ん坊を初めて見た青年は、興味深そうに見ていたがこんな所でずっと寝たままでいたらきっと直ぐに死んでしまうだろうと考え、仕方なく自分の家に赤ん坊を連れて帰る事にした。そのまま赤ん坊に触るのは怖かったのか青年は、小さな籠事抱き上げ、そして、自分の家に帰っていった。
暫く歩いていると古びた家に着く。青年は、玄関の前で一度赤ん坊の様子を見る。赤ん坊は、未だにすやすやと気持ち良さそうに寝ている為か青年はこの子を連れて帰ってきて良かったと心の底から思っていた。もし、この子があのまま放置されていたならきっと直ぐに飢えた獣に襲われてしまっていただろう。そんな考えを振り払うように頭を振ると、髪から小さな水飛沫が跳ね赤ん坊の頬にぴちゃりと当たるが、赤ん坊は水飛沫が当たった事など関係なしに寝ていた。普通なら吃驚して起きるはずなのに、この子は、肝が据わってるのかはたまた鈍感なだけなのか色んな意味でこの子から目を離せなくなった青年は小さく溜め息を吐いてから、家の玄関のドアを開け中へと入った。
「……」
ソファーに赤ん坊が寝ている小さな籠を置いた後、直ぐに暖炉の火を付け濡れてしまった服を脱いで暖炉の前にあるソファーに掛けて乾かし、それから、椅子の背もたれに掛けてあるタオルを手に取り濡れている髪の毛を拭きながら衣装棚の中にある服を適当に選んで着替えた。
「……名前、決めなきゃな。」
着替え終えると、タオルを頭に被せたままソファーに座りちらりと赤ん坊を見詰め小さく独白をした。青年は、誰かに名前を付けるのは初めてなので緊張した面持ちでどんな名前にしようか考えたが、良い名前が思い浮かばずただ時間だけが過ぎていった。
それから、数時間経つとやっと赤ん坊は目を覚ました。青年は、それに気付くと赤ん坊を見詰めた。
「…おはようさん。随分長いこと寝てたな?」
出来るだけ優しい声で話す青年に対し、赤ん坊は、青年の言葉をまだ理解出来ないので不思議そうな顔をしながらもにこにこ笑っていた。青年は、そんな赤ん坊の反応を見ては、まだ赤ん坊だから俺の言葉を理解する事は難しいかと考えた後、また、この赤ん坊の名前を考え始めた。
「…あ、うっ!」
赤ん坊は、青年の手を掴みたいのか必死に小さな手を動かし可愛らしい声で青年を呼ぶ様に声を出した。
「…ん?俺の手触りたいのか?…人の様に温かくないぞ?」
青年は、別に抱っこするわけじゃないし手ぐらい触らせてもいいかと思いそっと赤ん坊の手に触れた。そして、赤ん坊は嬉しそうにきゃっきゃっと笑った。
「…お前、鈍感なんだな。」
「…う?」
「いいや、何でもないさ。」
「あー、う!」
赤ん坊が自分の言葉に反応する様に声を出す為、青年はほんの少し嬉しく感じ小さく微笑むと赤ん坊はその笑みを見て更に嬉しそうに笑った。
「決めた。お前の名前は、ティーナにしよう。どうだ、可愛い名前だろう?」
「あー!」
「そうか。嬉しいか。…俺も気に入ってくれて嬉しいよ。ティーナ」
小さく微笑んで青年が言うと、ティーナは花のように笑った。そして、青年は、自分の名前はティーナがもう少し大きくなり言葉を理解出来るまでになったら教えてあげようと思ったのだった。
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