1 / 1
星空
しおりを挟む
私達の国、ヴェルディ王国からアルスメア国の間に位置するエルスタシア村から少し離れた所にあるエトルレイファ丘。そこで沢山の星を見渡す事が出来る上に海を見渡す事も出来る為その丘に師匠と二人で偵察を兼ねて来ていた。
「師匠、今日あんまりよく見えないよ?」
少し曇っている星空を見上げれば私は拗ねたように師匠に声を掛け、師匠は、小さく笑いながら星空を見上げた。
「そうだな。…最近、夜も曇ることがあるからなかなか綺麗に星空が見えなくて残念だ」
「残念そうなわりには、ちょっと嬉しそうな顔してるね?」
師匠の口元が少しだけ緩んでいる気がしてそう言うと、師匠は私の言葉を聞けばぱちくりと瞬きをした後、また、口元を緩ませ笑った。
「まあな。…曇り空でも少しだけも星が見えるならそれに越した事はない。だが、満天の夜空が見えないのはやはり残念だが…」
「そっか。…明日は、晴れ見たいだよ?」
「本当か?夕方になって降らないだろうな?」
怪訝そうな顔で問い掛けてくる師匠に、私はほんの少し視線を逸らしながらこう言った。
「空は、気ままだから夕方まで晴れてるかは私は分かんないよ?」
間を置いて師匠がため息を吐いた。
「…はぁ、そうだろうと思った」
「何よー!私は、そんな能力持ってるわけじゃないから晴れるのか雨が降るのか分からないに決まってんじゃん!」
頬を大きく膨らませて言う私を見た師匠は私の事をまだまだ子供だなと思った気がする。師匠より私の方がまだまだ子供なのは確かだけど、もう少しで大人になるんだからそんな事思わないでほしいなと思った。
「師匠、そろそろ帰ろ?皆心配するし…」
「そうだな」
それから数十分経つと、私はちらりと師匠の方を見てそろそろ帰ろうと言えば師匠は軽く頷き、城に向かって歩き出した。私は、師匠の後を追い掛けるように後ろから着いて歩いていく。冷たい空気の中瞬く星達を時折見上げながら、明日も平和でありますようにと祈った。
end
「師匠、今日あんまりよく見えないよ?」
少し曇っている星空を見上げれば私は拗ねたように師匠に声を掛け、師匠は、小さく笑いながら星空を見上げた。
「そうだな。…最近、夜も曇ることがあるからなかなか綺麗に星空が見えなくて残念だ」
「残念そうなわりには、ちょっと嬉しそうな顔してるね?」
師匠の口元が少しだけ緩んでいる気がしてそう言うと、師匠は私の言葉を聞けばぱちくりと瞬きをした後、また、口元を緩ませ笑った。
「まあな。…曇り空でも少しだけも星が見えるならそれに越した事はない。だが、満天の夜空が見えないのはやはり残念だが…」
「そっか。…明日は、晴れ見たいだよ?」
「本当か?夕方になって降らないだろうな?」
怪訝そうな顔で問い掛けてくる師匠に、私はほんの少し視線を逸らしながらこう言った。
「空は、気ままだから夕方まで晴れてるかは私は分かんないよ?」
間を置いて師匠がため息を吐いた。
「…はぁ、そうだろうと思った」
「何よー!私は、そんな能力持ってるわけじゃないから晴れるのか雨が降るのか分からないに決まってんじゃん!」
頬を大きく膨らませて言う私を見た師匠は私の事をまだまだ子供だなと思った気がする。師匠より私の方がまだまだ子供なのは確かだけど、もう少しで大人になるんだからそんな事思わないでほしいなと思った。
「師匠、そろそろ帰ろ?皆心配するし…」
「そうだな」
それから数十分経つと、私はちらりと師匠の方を見てそろそろ帰ろうと言えば師匠は軽く頷き、城に向かって歩き出した。私は、師匠の後を追い掛けるように後ろから着いて歩いていく。冷たい空気の中瞬く星達を時折見上げながら、明日も平和でありますようにと祈った。
end
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
婚約破棄?それならこの国を返して頂きます
Ruhuna
ファンタジー
大陸の西側に位置するアルティマ王国
500年の時を経てその国は元の国へと返り咲くために時が動き出すーーー
根暗公爵の娘と、笑われていたマーガレット・ウィンザーは婚約者であるナラード・アルティマから婚約破棄されたことで反撃を開始した
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
それは思い出せない思い出
あんど もあ
ファンタジー
俺には、食べた事の無いケーキの記憶がある。
丸くて白くて赤いのが載ってて、切ると三角になる、甘いケーキ。自分であのケーキを作れるようになろうとケーキ屋で働くことにした俺は、無意識に周りの人を幸せにしていく。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる