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言ノ葉
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皆は、知らないだろう。オレが、この世界の作者だということを、そして、オレがこの世から居なくなることも。
オレが、生まれたのは雨が降る街ではなく、言葉が一つ一つ雨のように降りしきる街だ。そんな不思議な街で育ったオレは、物心がついた頃から沢山の物語を書いてきた。
ある時は悲しい恋の話を、ある時は騙しい合う人達の話を、ある時は悪魔にも天使にもなれなかった青年と雨の中捨てられた少女の話を。
色んな話を書いてきたが、どれ一つとして完成した物語はない。
だが、今執筆している物語だけはオレの命が終わるその日まで書き続けようと思っている。もし万が一、書き終える前にオレの命が終わったのならその時は彼奴にオレの仕事を引き継がせよう。簡単に了承してくれるとは思わんが、彼奴に託す他ないんだから。
「…そういえば、今は桜の季節か。」
誰に言うでもなくオレは独り言を呟いた。その呟きは、オレ以外誰もいない小さな部屋にほんの少しだけ大きく響いたが、直ぐに静けさを戻していった。オレは、心が少しだけ痛み寂しく感じたが目の前にある原稿に文字を書いていく。この物語はあまり時系列通りに書きたくなかったから、時系列通りには書いていない。それを、面白いとか面白くないとかっていう感想や評価は読み手自身が付けるものであって書き手が付けるものじゃない。だから、オレはオレの好きな様に書き進めていくだけだ。
この世に、言葉の雨が降り続ける限り。
end
オレが、生まれたのは雨が降る街ではなく、言葉が一つ一つ雨のように降りしきる街だ。そんな不思議な街で育ったオレは、物心がついた頃から沢山の物語を書いてきた。
ある時は悲しい恋の話を、ある時は騙しい合う人達の話を、ある時は悪魔にも天使にもなれなかった青年と雨の中捨てられた少女の話を。
色んな話を書いてきたが、どれ一つとして完成した物語はない。
だが、今執筆している物語だけはオレの命が終わるその日まで書き続けようと思っている。もし万が一、書き終える前にオレの命が終わったのならその時は彼奴にオレの仕事を引き継がせよう。簡単に了承してくれるとは思わんが、彼奴に託す他ないんだから。
「…そういえば、今は桜の季節か。」
誰に言うでもなくオレは独り言を呟いた。その呟きは、オレ以外誰もいない小さな部屋にほんの少しだけ大きく響いたが、直ぐに静けさを戻していった。オレは、心が少しだけ痛み寂しく感じたが目の前にある原稿に文字を書いていく。この物語はあまり時系列通りに書きたくなかったから、時系列通りには書いていない。それを、面白いとか面白くないとかっていう感想や評価は読み手自身が付けるものであって書き手が付けるものじゃない。だから、オレはオレの好きな様に書き進めていくだけだ。
この世に、言葉の雨が降り続ける限り。
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