30 / 39
仇討ち
しおりを挟む
チーム半妖が打ち合わせしているときに、ナナは思い切って一緒に行きたいと提案してみた。エイトは驚いた顔をして、反対した。
「私の思いを見届けたい。そうしないと、きっと怨みは終わることはないと思うの」
「仇討ちが終わっても、怨みが終わることはないと思うよ」
樹が優しく諭す。みんなが悲しそうな顔をしてナナをみつめている。それは、人間が立ち入れない領域に踏み込むべきではないという表情だった。たくさんの怨みと向き合ってきた半妖たちだからこそ、人間の欲深さ、傲慢さ、強欲でわがままな部分を知り尽くしているのだろう。そして、人が持つ怨みの根深さや執着心を知り尽くしているというのが半妖なのだろう。人間が持つ一番嫌な汚い部分を見続けなければいけない半妖たちは辛い運命を持っている。それをエイトの父親がなくすように動いてくれていることは救いだと思う。
「加害者は80歳の無職男性。元々会社員で温厚でまじめな性格。最近は足腰が悪く、車で外出することが多いとの情報だ」
鬼山が資料を読み上げた。
「高齢であるが故のアクセルとブレーキの踏み間違えという最近よくある事故だな」
少し怒りの表情のエイト。
「でも、悪気はないと思う。ただ、運が悪かったとしか言いようがないのよ。その人にも家族がいるわけだし、孫もいて高齢の妻と静かに暮らしている幸せな家庭みたいよ」
愛沢は被害者を庇った表現をする。どんなに人柄が良い人だとしても、私たちにとっては敵であり、忘れられない事故だ。時間が風化させるなんてありえない。絶対にない。
「足腰が悪いから車で移動するという考え方は間違っていると思う」
足腰が悪ければ、ブレーキを踏むタイミングが遅れることだってあるし、他人に迷惑をかける可能性である年齢であることをわかっていながら、平然とハンドルを握ることは許せない事実だった。もちろんベテランで、長年無事故無違反だったとしても、判断力の低下や認知機能の低下は訪れる。若い人だって、そういったことはあるだろうが、ニュースになり高齢ドライバーの問題がとりだたされていた。自分は大丈夫だと思っていたから、運転して事故を起こしたのだろう。もちろん、お詫びの言葉や謝罪は充分にされたと思う。でも、母が帰って来ることはない。
「でも、私のたった一人しかいない母親は死んでしまった」
「今は不幸かもしれない。でも、そのおかげでこうやって楽しく暮らしている現実もある。だから、無理に仇を討つ必要もないと思う」
樹が諭す。樹は穏やかな緑の癒しパワーを持つ半妖だ。だからなのか、いつも緑のオーラに囲まれた穏やかな空気を放つ。彼の性格はとても温厚だと思う。でも、やっぱり、誰が正論を言おうと怒りや憎しみは消えない。教科書どおり、道徳的なことで片づけられる問題ではないことが世の中にはあると思う。たとえば、身内や大切な人を傷つけられたり、消された場合は、顕著だと思う。
「もし、その相手から怨みを買って仇討ちされる可能性もあるかもしれない」
鬼山は、日に当たらない痩せた顔で、表情を変えずに諭す。できればそういったことをナナにはしてほしくないのかもしれない。
エイトは重い口を開く。
「俺がナナの立場ならば、仇討ちを望む気持ちはわかる。そして、婚約者が殺されたならば、仇を取りたいと思うのが普通だ。しかし、俺は自分の意志で仇を取ったり、仲間に依頼はできない。だから、ずっと我慢していた。怨みは自分に返ってくると言われている。もし、この先自分が不幸になったとしても仇討ちを実行するか?」
「私、幸せになりたいけれど、そのために、エイトの分も仇を討ちたい。どうしても、相手が普通に生活しているなんて許せないの。人間ってどす黒い部分があるよね。自分でも初めて気づいた。自分が怖い……。どんな不幸の見返りがあるんだろう?」
ナナは自分の腹黒い部分に気づき、とても嫌悪感を感じる。そんな自分が大嫌いだけれど、嫌な部分を切り離せるはずもなく、自分として生きていかなければいけない。仇を討ったことも全部ひっくるめて自分の人生として背負っていかなければいけないと思っている。
「実際悪いことをすれば自分に返ってくると言われているが、ほとんど迷信だ。それは、半妖の俺たちが良く知っているよ。実際怨みを果たした人が全員不幸になったという話は聞かない。因果応報っていうのは半ば都市伝説レベルの話だ」
「私も参加させて。見てるだけでいいから」
ナナは無理を言って仇討ちに参加を望んだ。
「人間は参加するの禁止なんだよねぇ」
サイコは困った顔をした。しかし、エイトはその申し出に対して許容する。
「覚悟があるならば、特例として付き添ってみている分にはかまわねー。俺と一緒に仇を討ったという事実を受け止めて、背負って生きていく覚悟はあるか?」
「覚悟は決めたよ。エイトが今までやらなければいけなかったさだめを私も一緒に背負って生きていきたい」
その言葉の重みと真剣な表情に誰一人文句を言うものはいない。
「さて、今夜は仇討ちだ。今日は、店はいつもどおりやってくれ。漫画のアシスタントの仕事もいつも通りやってほしい。特別な仇討ちとなるのだから俺一人でやる」
「せんせぇが一人でやるの? サイコもやりたかったぁ。考えただけで、わくわくするねぇ。どんな方法で葬るんだい? 寿命は半分残すとしても高齢なんだろ。あまり寿命は残っていないと思うけどねぇ」
サイコは人の不幸をわくわく楽しんでいるあたり、サイコパスと言われている理由も納得する。悪い人ではないと思うけれど、そのあたりは一般人とは感覚が違うと思う。
「それなんだけどな、相手は高齢だ。早めにあの世に行くことになるだけだが、ナナは苦しめたいか? 入院するような外傷を負わせたいか?」
「私のお母さんと同じことを味わってほしいの」
「でも、即死は半妖の力ではできないけどな」
「恐怖を味わってほしい。でも、罪を背負い、恐怖を覚えていたまま生きていてほしいの」
「交通事故に遭わせるということか?」
「遭わせるけれど、ケガはさせないよ。その人、ちゃんと警察に連絡して、相応の対応をしてくれたし、免許は取り消しになっているし」
「相手もその時、驚いただろうし、恐怖を味わったと思う。でも、ケガをさせないけれど、車が衝突するかもしれない恐怖を味わってほしいの。私、性格悪いかな?」
「そうか、今夜は俺とナナだけで行こう。トラックは幻想の術で見えるように本物のように見せることができるからな」
銀色に輝くエイトを久しぶりに見た。死神モードとなったとき、髪の毛が金色から銀色に変わる。もちろん、金色は脱色しているだけで、本来は黒い髪の毛なのだろうけれど。銀色は死神である父親譲りの純粋な髪色だ。これが妖怪である彼の部分を顕著に表している。彼からみなぎる銀色のオーラは体全体をつつむ。彼は半妖仲間の中でも妖力が高いらしく、この姿を見た半妖はみんな一様に従うらしい。生死を扱う仕事が定めとなる半妖には死神の力がとても魅力的なのだろう。
日が落ちてきたこの時間にエイトは加害者の男性の元に向かう。どうやら散歩しているらしく、いつも通るという道が半妖にはわかるらしい。
「ここで待っていれば、奴は来る」
銀色になると、髪が長くなり、別人のような雰囲気になる。エイトは、だまっていると本当に美しい。そして、恐ろしさと特別な力を兼ね備えた最強の何者かになる。それは、依頼者にとってはヒーローかもしれないし、仇討ちされた側からすれば、悪役かもしれない。でも、それは人によって感じ方が変わるので、何者かとしか言えない。
死神だけれど、半分だけという不思議なポジション。この人の死神としての仕事を依頼し、立ち会うこととなる。初めての瞬間だ。
「私の思いを見届けたい。そうしないと、きっと怨みは終わることはないと思うの」
「仇討ちが終わっても、怨みが終わることはないと思うよ」
樹が優しく諭す。みんなが悲しそうな顔をしてナナをみつめている。それは、人間が立ち入れない領域に踏み込むべきではないという表情だった。たくさんの怨みと向き合ってきた半妖たちだからこそ、人間の欲深さ、傲慢さ、強欲でわがままな部分を知り尽くしているのだろう。そして、人が持つ怨みの根深さや執着心を知り尽くしているというのが半妖なのだろう。人間が持つ一番嫌な汚い部分を見続けなければいけない半妖たちは辛い運命を持っている。それをエイトの父親がなくすように動いてくれていることは救いだと思う。
「加害者は80歳の無職男性。元々会社員で温厚でまじめな性格。最近は足腰が悪く、車で外出することが多いとの情報だ」
鬼山が資料を読み上げた。
「高齢であるが故のアクセルとブレーキの踏み間違えという最近よくある事故だな」
少し怒りの表情のエイト。
「でも、悪気はないと思う。ただ、運が悪かったとしか言いようがないのよ。その人にも家族がいるわけだし、孫もいて高齢の妻と静かに暮らしている幸せな家庭みたいよ」
愛沢は被害者を庇った表現をする。どんなに人柄が良い人だとしても、私たちにとっては敵であり、忘れられない事故だ。時間が風化させるなんてありえない。絶対にない。
「足腰が悪いから車で移動するという考え方は間違っていると思う」
足腰が悪ければ、ブレーキを踏むタイミングが遅れることだってあるし、他人に迷惑をかける可能性である年齢であることをわかっていながら、平然とハンドルを握ることは許せない事実だった。もちろんベテランで、長年無事故無違反だったとしても、判断力の低下や認知機能の低下は訪れる。若い人だって、そういったことはあるだろうが、ニュースになり高齢ドライバーの問題がとりだたされていた。自分は大丈夫だと思っていたから、運転して事故を起こしたのだろう。もちろん、お詫びの言葉や謝罪は充分にされたと思う。でも、母が帰って来ることはない。
「でも、私のたった一人しかいない母親は死んでしまった」
「今は不幸かもしれない。でも、そのおかげでこうやって楽しく暮らしている現実もある。だから、無理に仇を討つ必要もないと思う」
樹が諭す。樹は穏やかな緑の癒しパワーを持つ半妖だ。だからなのか、いつも緑のオーラに囲まれた穏やかな空気を放つ。彼の性格はとても温厚だと思う。でも、やっぱり、誰が正論を言おうと怒りや憎しみは消えない。教科書どおり、道徳的なことで片づけられる問題ではないことが世の中にはあると思う。たとえば、身内や大切な人を傷つけられたり、消された場合は、顕著だと思う。
「もし、その相手から怨みを買って仇討ちされる可能性もあるかもしれない」
鬼山は、日に当たらない痩せた顔で、表情を変えずに諭す。できればそういったことをナナにはしてほしくないのかもしれない。
エイトは重い口を開く。
「俺がナナの立場ならば、仇討ちを望む気持ちはわかる。そして、婚約者が殺されたならば、仇を取りたいと思うのが普通だ。しかし、俺は自分の意志で仇を取ったり、仲間に依頼はできない。だから、ずっと我慢していた。怨みは自分に返ってくると言われている。もし、この先自分が不幸になったとしても仇討ちを実行するか?」
「私、幸せになりたいけれど、そのために、エイトの分も仇を討ちたい。どうしても、相手が普通に生活しているなんて許せないの。人間ってどす黒い部分があるよね。自分でも初めて気づいた。自分が怖い……。どんな不幸の見返りがあるんだろう?」
ナナは自分の腹黒い部分に気づき、とても嫌悪感を感じる。そんな自分が大嫌いだけれど、嫌な部分を切り離せるはずもなく、自分として生きていかなければいけない。仇を討ったことも全部ひっくるめて自分の人生として背負っていかなければいけないと思っている。
「実際悪いことをすれば自分に返ってくると言われているが、ほとんど迷信だ。それは、半妖の俺たちが良く知っているよ。実際怨みを果たした人が全員不幸になったという話は聞かない。因果応報っていうのは半ば都市伝説レベルの話だ」
「私も参加させて。見てるだけでいいから」
ナナは無理を言って仇討ちに参加を望んだ。
「人間は参加するの禁止なんだよねぇ」
サイコは困った顔をした。しかし、エイトはその申し出に対して許容する。
「覚悟があるならば、特例として付き添ってみている分にはかまわねー。俺と一緒に仇を討ったという事実を受け止めて、背負って生きていく覚悟はあるか?」
「覚悟は決めたよ。エイトが今までやらなければいけなかったさだめを私も一緒に背負って生きていきたい」
その言葉の重みと真剣な表情に誰一人文句を言うものはいない。
「さて、今夜は仇討ちだ。今日は、店はいつもどおりやってくれ。漫画のアシスタントの仕事もいつも通りやってほしい。特別な仇討ちとなるのだから俺一人でやる」
「せんせぇが一人でやるの? サイコもやりたかったぁ。考えただけで、わくわくするねぇ。どんな方法で葬るんだい? 寿命は半分残すとしても高齢なんだろ。あまり寿命は残っていないと思うけどねぇ」
サイコは人の不幸をわくわく楽しんでいるあたり、サイコパスと言われている理由も納得する。悪い人ではないと思うけれど、そのあたりは一般人とは感覚が違うと思う。
「それなんだけどな、相手は高齢だ。早めにあの世に行くことになるだけだが、ナナは苦しめたいか? 入院するような外傷を負わせたいか?」
「私のお母さんと同じことを味わってほしいの」
「でも、即死は半妖の力ではできないけどな」
「恐怖を味わってほしい。でも、罪を背負い、恐怖を覚えていたまま生きていてほしいの」
「交通事故に遭わせるということか?」
「遭わせるけれど、ケガはさせないよ。その人、ちゃんと警察に連絡して、相応の対応をしてくれたし、免許は取り消しになっているし」
「相手もその時、驚いただろうし、恐怖を味わったと思う。でも、ケガをさせないけれど、車が衝突するかもしれない恐怖を味わってほしいの。私、性格悪いかな?」
「そうか、今夜は俺とナナだけで行こう。トラックは幻想の術で見えるように本物のように見せることができるからな」
銀色に輝くエイトを久しぶりに見た。死神モードとなったとき、髪の毛が金色から銀色に変わる。もちろん、金色は脱色しているだけで、本来は黒い髪の毛なのだろうけれど。銀色は死神である父親譲りの純粋な髪色だ。これが妖怪である彼の部分を顕著に表している。彼からみなぎる銀色のオーラは体全体をつつむ。彼は半妖仲間の中でも妖力が高いらしく、この姿を見た半妖はみんな一様に従うらしい。生死を扱う仕事が定めとなる半妖には死神の力がとても魅力的なのだろう。
日が落ちてきたこの時間にエイトは加害者の男性の元に向かう。どうやら散歩しているらしく、いつも通るという道が半妖にはわかるらしい。
「ここで待っていれば、奴は来る」
銀色になると、髪が長くなり、別人のような雰囲気になる。エイトは、だまっていると本当に美しい。そして、恐ろしさと特別な力を兼ね備えた最強の何者かになる。それは、依頼者にとってはヒーローかもしれないし、仇討ちされた側からすれば、悪役かもしれない。でも、それは人によって感じ方が変わるので、何者かとしか言えない。
死神だけれど、半分だけという不思議なポジション。この人の死神としての仕事を依頼し、立ち会うこととなる。初めての瞬間だ。
0
あなたにおすすめの小説
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
後宮恋歌 ―皇帝になる男と、ただ一人の妃―
佳乃こはる
キャラ文芸
大陸の宗主国・夏は、覇王と呼ばれる皇帝の支配のもと、栄華を誇っていた。
北の辺境国・胡から人質同然に送られ、百人目の妃として後宮に入った少女・小蘭は、ある夜、奔放で掴みどころのない皇子・蒼龍と出会う。
軽薄な言動の裏に、皇帝となる宿命と深い孤独を抱える蒼龍。
そして、理不尽な運命に翻弄されながらも、自ら選び取る強さを失わない小蘭。
守るために距離を取ろうとする皇子と、後宮で生き抜く覚悟を決めた少女。
嫉妬と陰謀が渦巻く後宮の中枢で、二人の想いは甘く、しかし危うく惹かれ合っていく。
立場も未来も違う二人が、互いを信じ、運命へ抗うーーそんな後宮の物語。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる