『婚約破棄されたので北の港を発展させたら

ふわふわ

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【第17話 再会の約束】

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【第17話 再会の約束】

北方のクレスト公爵邸。

応接室には静かな空気が流れていた。

窓の外には広大な草原が広がっている。

その中央で、私は紅茶を口に運んでいた。

「王都からの使者は?」

執事アルフレッドが答える。

「到着しております」

「通して」

数分後。

王家の紋章をつけた騎士が部屋に入ってきた。

彼は緊張した様子で頭を下げる。

「クレスト公爵令嬢アリアベル様」

「王太子殿下より書状を預かっております」

封蝋には王家の紋章。

私はそれを受け取り、ゆっくりと開いた。

部屋は静まり返る。

手紙の内容は簡潔だった。

――会いたい。

ただそれだけ。

私は読み終え、静かに笑った。

「ずいぶん簡単な内容ですわね」

騎士は恐縮した様子で言う。

「殿下は直接お話ししたいと」

アルフレッドが口を開く。

「お嬢様、いかがなさいますか」

私は椅子にもたれた。

そして小さく呟く。

「本当に今さらですわね」

婚約破棄。

公開断罪。

追放同然の扱い。

すべて終わったはずの話だ。

それなのに。

今さら会いたい?

私は騎士を見る。

「場所は?」

「北方港です」

「殿下自ら来られると」

少しだけ驚いた。

王太子がここまで来る。

つまり――

かなり追い詰められている。

私は紅茶を一口飲む。

そして言った。

「いいでしょう」

騎士の顔が明るくなる。

「では殿下に――」

「ただし」

私は言葉を続けた。

「護衛は最小限」

「会談は屋外」

「時間は一刻」

騎士は慌ててうなずいた。

「承知しました」

「それから」

私は微笑む。

「交渉ではありません」

騎士は戸惑う。

「……はい?」

「ただの再会です」

アルフレッドは小さく笑った。

騎士は深く頭を下げた。

「必ずお伝えいたします」

彼が去ると、部屋は再び静かになった。

アルフレッドが言う。

「お嬢様」

「何か?」

「殿下はおそらく謝罪に来ます」

私は窓の外を見る。

「でしょうね」

「お許しになりますか」

私は即答した。

「いいえ」

アルフレッドは少しだけ口元を緩めた。

「でしょうね」

その頃。

王都の王宮。

カルディオンは報告を聞いていた。

「北方港で会う……?」

騎士がうなずく。

「はい」

「条件付きですが」

カルディオンは腕を組む。

「会ってくれるだけでも十分だ」

その隣でエルネスタが微笑んだ。

「よかったですね、殿下」

カルディオンは自信を取り戻したように言う。

「アリアベルは賢い女だ」

「王太子の価値を理解している」

エルネスタは静かに頷く。

「ええ、きっと」

しかし。

彼女の心の中では、別の計算が動いていた。

(もし復縁したら)

(私はどうなるのかしら)

その時、カルディオンが言う。

「お前も来るか?」

エルネスタは少し驚いた。

「私も?」

「婚約者だからな」

「……」

一瞬、沈黙。

しかし彼女はすぐに笑顔を作る。

「ええ、もちろん」

その夜。

北方港。

灯台の灯りが海を照らしていた。

私は埠頭を歩いていた。

波の音。

船のきしむ音。

すべてが穏やかだ。

アシュレイが隣に立つ。

「本当に会うのか」

「ええ」

「危険かもしれない」

私は笑う。

「大丈夫です」

そして海を見る。

「王太子は」

「もう何もできません」

アシュレイは静かに言った。

「それでも」

「過去は消えない」

私は少しだけ黙った。

そして。

小さく答える。

「ええ」

「だからこそ」

私は灯台の光を見る。

「終わらせるのです」

遠くの海。

王都からの船が、ゆっくりと近づいていた。
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