追放された令嬢ですが、隣国公爵と白い結婚したら溺愛が止まりませんでした ~元婚約者? 今さら返り咲きは無理ですわ~

ふわふわ

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第16話 「なんであの女が注目されてるのよ!?」

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第16話 「なんであの女が注目されてるのよ!?」

王国・王太子宮。

金細工が施されたティーカップが、
カーン! と甲高い音を立ててテーブルに叩きつけられた。

「“隣国公爵領の守り神”?
“公爵夫人は聖女様”?
はぁああああああああ!?!?」

怒りで頬を紅潮させているのは──
もちろんリーザである。

侍女たちは青ざめ、後ずさりながら囁いた。

「り、リーザ様……落ち着いて……」
「もう王宮中に声が響いております……」

「落ち着けるわけないでしょう!!」

リーザは金髪を振り乱し、机の上に広げられた新聞を指差した。

見出しにはこう書かれている。

> 《隣国公爵夫人エテルナ──領民を癒す奇跡の力》
《“元王太子婚約者”が、今や聖女と呼ばれる存在に》



そしてリーザの名前はどこにもない。

「なんであの女が……!!
追放されて“終わりのヒロイン”であるはずのエテルナが……!!
どうして私より人気なのよ!!」

(※全部あなたが煽って追放させた結果です)

侍女たちは口が裂けても言えない事実を胸にしまい込む。


---

そこへ、間の悪いことにアレクシオン王太子が部屋に入ってきた。

「リーザ、騒がしいぞ。どうしたんだ」

「アレクシオン様!! 聞いてくださいまし!!」

リーザは勢いよく新聞を突きつける。

「ご覧ください!
エテルナが“聖女だ”“公爵領の宝だ”なんて言われているんですよ!?
おかしくありませんか!?」

王太子は新聞をざっと眺める。

「ふむ……なるほど。
しかし、これはあくまで隣国での話だろう」

「そうじゃありません!!」

リーザの瞳がぎらりと光る。

「エテルナが注目されているのが、嫌なんです!!
私より評価されるなんて耐えられません!!」

アレクシオンは呆れながらも、
彼女を宥めるように肩に手を置いた。

「リーザ……お前は今や王太子妃候補だ。
小さなことにいちいち取り乱すな」

「小さなこと!? これのどこが小さいのですか!?」

リーザは再び新聞を突きつけ──

そのままビリビリに破り始めた。

「エテルナなんて! 田舎に追い出されたくせに!
どうして光を浴びてるのよ!?」

(※光を浴びせたのもあなたです)

侍女の誰一人、ツッコめなかった。


---

リーザは荒い息をつきながら叫ぶ。

「アレクシオン様!!
エテルナの噂を消してください!!」

王太子は苦い顔をした。

「……無理だ。隣国の領主の領内の噂だぞ?
それに、追放したのはこちらの国だ。口出しなどできない」

リーザはカッと目を見開いた。

「じゃあ……取り返せばいいんですわ!!」

「……は?」

「“王太子の元婚約者”として、王家がエテルナを保護する!
と宣言すればいいのです!!」

侍女たちが絶句する。

(※いや、それただのストーカーだから)

しかしリーザは止まらない。

「エテルナがあっちで目立つと、私が霞むのです!!
早く取り返してくださいまし!!
妃教育もろくに進んでいないのに、エテルナの噂ばかり……!」

アレクシオンはため息をついた。

「リーザ、お前は少し……落ち着きが足りない」

「落ち着きは妃教育で習うんです!!
今は怒って当然なんですっ!!」

(意味不明だ……)

王太子は天井を仰ぎたくなった。

そして、ある考えが浮かぶ。

「……まぁいい。
一度、隣国に問い合わせをしてみるか。
“エテルナを保護する意思がある”と伝えれば──」

リーザは花が咲くように笑った。

「さすがアレクシオン様!!
やっぱり私の味方ですわね!」

──しかしこの判断が後々、
“王国側の破滅”への第一歩となることを
二人はまだ知らなかった。


---

こうしてリーザの嫉妬は、
王国を巻き込む“暴走”へと変わりはじめた。

隣国ではそのころ──
アレストがエテルナの看病をしていた。

二人の静かな時間とは裏腹に、
王国では確実に嵐が育ちつつあった。


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