RECALL

星野響

文字の大きさ
上 下
1 / 1

RECALL

しおりを挟む
ただ黙ったまま
色を失った街を見下ろした
わかっていたよ
人間なんて 世の中なんて
こんなものだろう
私の背中は
きっと震えているんだろう
慰める人ももういないのに

まだ見ぬあなたの名を叫ぶ
何度裏切られても 傷つけられても
再び呼び出す その影を
手負いの痛みも忘れては
一縷の望みも見ないまま
あなたの名前を泣き叫ぶよ
怪物だらけのこの世界に
頬を濡らしつつ
またね
今夜も日は沈む

ただ口つぐんで
色を失った街を見下した
冷たい瞳だ
人間なんて 世の中なんて
探しても光はない
私の背中は
きっと小さいんだろう
慰める人ももういないのに

消えないみたいな名を叫ぶ
幾度手を伸ばしても 届かないね
何度も何度も 消えぬ影
手負いの痛みも忘れては
希望の幻も見ない今
あなたの名前を泣き叫ぶよ
手の届かないこの世界に
握れぬ拳を振り上げた
またね
今日も月は沈む

拭いきれない罪と涙は
誰にも癒せぬメランコリー
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...