2 / 77
第2話 A級(笑)シーカーとS級サポーター
しおりを挟む
「おでましですね」
落とし穴を回避し数分で、斧を持った牛人ミノタウロスが現れる。
「ガアアアアッ!!」
「まったく、下品な顔ですこと」
その巨体と迫力に美亜は一切怯まない。
美亜は腰に差した騎士剣を抜く。
「この階層では最も強大な敵ですが、私の相手ではございません」
――雷剣“イナヅチ”。
効果は単純、雷を操る剣だ。
突きを出せば直線に雷が飛び、薙げばソードビームが如く雷が発射される。
そして何より、イナヅチは魔物特効兵器である“オーパーツ”だ。
オーパーツは選ばれし者にのみ使える武器。シーカーにとっては必須で、俺が持ちえない才能だ。
アレが無いとモンスターに有効打は与えられない。天地がひっくり返っても、アレが無いとシーカーには……なれない。
「【突竜鎖】」
俺は手から鎖を出す魔法を発動。ミノタウロスに鎖を巻き付け、鎖を引っ張り縛り上げる。
「フオオオオオオオオオオオッッ!!」
ミノタウロスは暴れて鎖を解こうとするが、無駄だ。俺のパワーの方が上。
魔力を闘力に変換し、体に循環させ肉体を強化する“強化術”で俺の身体能力は底上げされている。
美亜は隙だらけのミノタウロスに雷撃を浴びせ、焼き尽くす。ミノタウロスが消えた後に出てきた魔石を手に取ると、俺に向かって投げる。『バッグに入れとけ』ってことだろう。他にもミノタウロスの角がドロップしていたので拾っておく。
「はい、おしまい」
それからも探索は滞りなく進み、
「52階に続く転移ゲートでーす」
目の前には赤く歪んだ空間。次元の裂け目、とでも言うのか。これが転移ゲート、上の階へ繋がる扉である。このゲートに飛び込むと上の階へ転移する。
「今日の配信はここまで! チャンネル登録よろしくお願いしまーす!」
こうして配信が終わる。
さてさて、ここからがまた面倒だ。
「ここ湿気やっば! あっついなぁ! ドリンク! 早く!」
「ああ」
バッグからペットボトルの水を取り出し、美亜に渡す。
「タオル」
「はい」
「転移クリスタルの準備、早くして!」
転移クリスタルは魔力を込めることで迷宮を脱出できるアイテムだ。
「……言われなくてもわかってるって」
俺がちょっと強めの言葉遣いをすると、美亜はきつく睨んできた。
「なにその態度? アンタ、自分がどれだけ恵まれているかわかってる!?」
「……」
始まった。いつもの癇癪だ。
「右腕のない、無能で1人じゃ何もできないアンタを、幼馴染の縁だからって私が面倒見てあげていること、忘れてないでしょうねっ!」
右腕側、だらーんと伸びた袖を左手で握る。
俺には右腕がない。俺には彼女のように1人で魔物を倒す力がない。まさに無能……言い返せない。
「アンタなんか本来C級だってパートナーにしたがらないわよ。A級の私と組めていることがどれだけ幸福なことかわかってる? ねぇ!」
「……助かってるよ。おかげで俺は人並みの収入を手に入れられているからな」
「わかってるならいいのよ。復唱しなさい! 『僕は1人じゃ何もできません。美亜さんにはいつも助けられています』。――はい!」
屈辱だ。
でも、ここで逆らえば俺は……路頭に迷うことになる。
逆らえない。
「ぼ、僕は1人じゃ何もできません……美亜さんにはいつも助られています」
「よろしい」
俺は唇を噛み、転移クリスタルを2個用意する。
転移クリスタル高いんだよな……美亜の分も俺が買ってるし、コイツ、アイテム費用出さないから。
財布がキツい。でも全部我慢だ。プライドで食い扶持を潰すわけにはいかない……。
---動画コメント欄---
《普通にシーカーとしてやれそうだけど無理なん?》
《オーパーツ無しじゃ流石に無謀。だけど魔法レベルとステータスの高さはトップレベルだから対人戦はクソ強いと思う。片腕無しとはいえ》
《美亜ちゃん、かわゆいけどA級としては下位レベルよな》
《だからサポーターの腕が光るんだろ? シーカーが優秀過ぎたらサポーターやること少なくなるし。サポーター君目当てで見てるんだからシーカーはこれぐらいでちょうどいい》
《S級とのコンビも見てみたい気もする》
《アビスちゃん辺りと組んだら敵なしよな》
《マジこの動画勉強になる。全サポーター&シーカー見るべき》
落とし穴を回避し数分で、斧を持った牛人ミノタウロスが現れる。
「ガアアアアッ!!」
「まったく、下品な顔ですこと」
その巨体と迫力に美亜は一切怯まない。
美亜は腰に差した騎士剣を抜く。
「この階層では最も強大な敵ですが、私の相手ではございません」
――雷剣“イナヅチ”。
効果は単純、雷を操る剣だ。
突きを出せば直線に雷が飛び、薙げばソードビームが如く雷が発射される。
そして何より、イナヅチは魔物特効兵器である“オーパーツ”だ。
オーパーツは選ばれし者にのみ使える武器。シーカーにとっては必須で、俺が持ちえない才能だ。
アレが無いとモンスターに有効打は与えられない。天地がひっくり返っても、アレが無いとシーカーには……なれない。
「【突竜鎖】」
俺は手から鎖を出す魔法を発動。ミノタウロスに鎖を巻き付け、鎖を引っ張り縛り上げる。
「フオオオオオオオオオオオッッ!!」
ミノタウロスは暴れて鎖を解こうとするが、無駄だ。俺のパワーの方が上。
魔力を闘力に変換し、体に循環させ肉体を強化する“強化術”で俺の身体能力は底上げされている。
美亜は隙だらけのミノタウロスに雷撃を浴びせ、焼き尽くす。ミノタウロスが消えた後に出てきた魔石を手に取ると、俺に向かって投げる。『バッグに入れとけ』ってことだろう。他にもミノタウロスの角がドロップしていたので拾っておく。
「はい、おしまい」
それからも探索は滞りなく進み、
「52階に続く転移ゲートでーす」
目の前には赤く歪んだ空間。次元の裂け目、とでも言うのか。これが転移ゲート、上の階へ繋がる扉である。このゲートに飛び込むと上の階へ転移する。
「今日の配信はここまで! チャンネル登録よろしくお願いしまーす!」
こうして配信が終わる。
さてさて、ここからがまた面倒だ。
「ここ湿気やっば! あっついなぁ! ドリンク! 早く!」
「ああ」
バッグからペットボトルの水を取り出し、美亜に渡す。
「タオル」
「はい」
「転移クリスタルの準備、早くして!」
転移クリスタルは魔力を込めることで迷宮を脱出できるアイテムだ。
「……言われなくてもわかってるって」
俺がちょっと強めの言葉遣いをすると、美亜はきつく睨んできた。
「なにその態度? アンタ、自分がどれだけ恵まれているかわかってる!?」
「……」
始まった。いつもの癇癪だ。
「右腕のない、無能で1人じゃ何もできないアンタを、幼馴染の縁だからって私が面倒見てあげていること、忘れてないでしょうねっ!」
右腕側、だらーんと伸びた袖を左手で握る。
俺には右腕がない。俺には彼女のように1人で魔物を倒す力がない。まさに無能……言い返せない。
「アンタなんか本来C級だってパートナーにしたがらないわよ。A級の私と組めていることがどれだけ幸福なことかわかってる? ねぇ!」
「……助かってるよ。おかげで俺は人並みの収入を手に入れられているからな」
「わかってるならいいのよ。復唱しなさい! 『僕は1人じゃ何もできません。美亜さんにはいつも助けられています』。――はい!」
屈辱だ。
でも、ここで逆らえば俺は……路頭に迷うことになる。
逆らえない。
「ぼ、僕は1人じゃ何もできません……美亜さんにはいつも助られています」
「よろしい」
俺は唇を噛み、転移クリスタルを2個用意する。
転移クリスタル高いんだよな……美亜の分も俺が買ってるし、コイツ、アイテム費用出さないから。
財布がキツい。でも全部我慢だ。プライドで食い扶持を潰すわけにはいかない……。
---動画コメント欄---
《普通にシーカーとしてやれそうだけど無理なん?》
《オーパーツ無しじゃ流石に無謀。だけど魔法レベルとステータスの高さはトップレベルだから対人戦はクソ強いと思う。片腕無しとはいえ》
《美亜ちゃん、かわゆいけどA級としては下位レベルよな》
《だからサポーターの腕が光るんだろ? シーカーが優秀過ぎたらサポーターやること少なくなるし。サポーター君目当てで見てるんだからシーカーはこれぐらいでちょうどいい》
《S級とのコンビも見てみたい気もする》
《アビスちゃん辺りと組んだら敵なしよな》
《マジこの動画勉強になる。全サポーター&シーカー見るべき》
136
あなたにおすすめの小説
転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜
ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。
アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった
騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。
今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。
しかし、この賭けは罠であった。
アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。
賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。
アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。
小説家になろうにも投稿しています。
なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。
お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~
山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。
与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。
そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。
「──誰か、養ってくれない?」
この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。
『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!
IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。
無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。
一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。
甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。
しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--
これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話
複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。
アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。
それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。
するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。
それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき…
遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。
……とまぁ、ここまでは良くある話。
僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき…
遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。
「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」
それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。
なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…?
2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。
皆様お陰です、有り難う御座います。
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる