大人気ダンジョン配信者のサポーターをやっていたけど、あまりにパワハラが酷いから辞めることにする。ん? なんか再生数激オチしているけど大丈夫?

空松蓮司

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第49話 奇襲

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 如月と一緒に入り口広間へ訪れる。
 やはり、入り口広間は人で溢れかえっていた。背の低い如月は前の様子を見ようとぴょんぴょん跳ねる。

「おい! 封鎖っていつまですんだよ!!」
「詳細を聞かせろ詳細を!!」

 ゲートの前はテープで仕切られ、テープの前にはギルド協会の制服を着た人たちが立ち塞がっている。ドラマとかで見る、事件や事故現場で警察が現場を仕切っている絵面に似ているな。

「この様子だと一般シーカーには詳しい情報を知らせてないっぽいな」
「ですね。おとなしく帰りますか?」
「うーん、もうちょい様子を見てみようと思う。なんか胸騒ぎというか、嫌な予感がするんだ……」

 何とか前に進もうとしたところで、ポケットに入れていたスマホが鳴り出した。
 画面を見てみるとアビスの名前があった。恐らくこのゲート封鎖の件だろう。俺は電話に出る。

「はいもしもし」
『葉村君か。その通話越しに聞こえる喧騒から察するに、入り口広間にいるのかな?』
「正解だ」
『じゃあいまアマツガハラが封鎖されていることは知っているね?』
「ああ。戦死者と行方不明者が続出したとかなんとか言ってな。お前、何か詳しいこと知らないか?」
『知ってる。だから電話した。S級シーカーはこういう異常事態には駆り出される存在だからね。S級シーカー全員に詳細は送られている』
「……聞かせてもらえるか?」

 機密情報だろうけど……。

『うん。いいよ。そのために電話したんだし。如月ちゃんも一緒に聞いてほしいんだけど』
「わかった」

 俺は屈み、如月の耳元までスマホを持ってくる。さすがにこんな場所でスピーカーにはできないからな。

「大丈夫だ、話してくれ」
『異常が起き始めたのは2日前、A級中位のシーカーとサポーターのコンビが突如行方不明になったそうだ。そして昨日、そのシーカーが所属するギルドがA級シーカー3人、B級シーカー8人、サポーター11人で大捜索を行ったらしい。その結果、全員が行方不明ないし戦死した』
「え!?」
「階層は?」
『……23階層だ』
「23!?」

 そんな低レベルの階層で、A級シーカーがやられたのか!?

『他にも下層・中層・上層関係なしにシーカーが姿を消す事態が続出した。ゲート封鎖の判断は正しいね。明らかに異常事態だ』
「異常の正体については何もわからない感じか?」
『それがね、さっき話したギルドの人間……彼らが蹂躙されるとこを遠目に見ていたC級シーカーがいたんだ。そのシーカーによると、彼らはたった1体の魔物にやられたらしい。魔物は斧を持った、三ツ目の怪人だったそうだ』
「三ツ目の怪人か。トロール的なやつかな」
『うん。身長は成人男性の倍あったらしいよ。およそ3メートル30~4メートルってところかな。でもまぁ問題はそこじゃなくてね、その三ツ目トロールが使っていた斧が問題なんだ。なんとコレ……』

 アビスは声色を下げ、

『大きさが自在に変わる斧だったらしい』
「へぇ、まるで……」
「飯塚さんのオーパーツですね」

 アビスの言葉が止まる。

「どうした?」
『いやいや、まさか……僕が言いたいことに気づいていないのかい?』

 アビスは呆れたように言う。
 気づく? なにに? 

「オーパーツのような武器を扱う特異体……」

 俺の頭に浮かんだのはオーパーツを使っていたミノタウロスだ。
 ……まさかな。

「……飯塚だって言うのか? その三ツ目が」
『僕はそう睨んでいる』
「え? え?? どういうことです???」
「悪い如月。説明は後だ。今は俺の疑問を優先させてもらう」

 クソ。嫌な汗が出てきやがった……。

「飯塚の足取りは?」
『飯塚敦は1週間前から行方不明になっている。どうもウル君が手配した病院に行った後から消息を絶っているそうだ』

 あの赤眼のミノタウロスはC級シーカー・荒木習蓮が何者かの手によって変えられた姿だと聞いている。
 つまりアビスはこう言いたいのだ。

 飯塚も荒木と同じく何者かの手によって改造され、魔物になったと――

 俺は声量を絞り、

「……だとしたら、ウルが魔物化をおこなっているのか……?」
『もしも三ツ目が飯塚敦なら、間違いなく関わっているだろうね』
「……どうする気だ?」
『今日の夜、オッドキャットともう1つのS級シーカーがギルドマスターのギルドで合同調査を行う手はずになっている。君もその調査に参加してほしい』
「わかった。ひとまずオッドキャットの本部に行けばいいか」
『そうしてほしい』

 スマホの通話を切る。
 色々とまだ混乱しているが……焦らず、冷静に対処していこう。

「どういうことですか? 飯塚さんが、三ツ目のトロールって……」
「わかってる。ちゃんと説明する。とりあえず本部に戻ろう――」

 そう言って、出入り口の方を振り返った時だった。
 眼前に、赤いグローブを嵌めた手が迫ってきていた。

 このグローブは……!!

「ウル……!!」

 もう、回避不可能な距離だ。

「彼との約束なのでね……あなた達を送り届けると」

 顔に、グローブが触れる。
 グローブに触れた俺は野次馬たちの頭上を飛び、ギルド協会員の頭上を飛び、ゲートへと――入ってしまった。





―――――――

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