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ホワイトデーの朝⓵
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朝、布団の中。
もう姉はいなかった。
布団を畳んで押入れにしまう。
服を着替えていると、僕を呼ぶ声がした。
玄関の前。
スーツを着た僕と実母、父と母に改めて挨拶した。
家の前にはタクシー。
姉の姿がない。
「じゃあ、飛行機の時間もあるから」
実母が僕の肩を叩く。
その時だった。
「悠!」
上から声が聞こえた。
二階の僕らの部屋の窓。
姉が顔を出している。
上と下。
僕ら、少し離れてる。
だけど僕の目には・・・
ハッキリ見えたんだ・・・
リップを塗った小さな唇・・・
ラメをつけた目元・・・
僕のあげた化粧品だった・・・
姉が僕に向け、そっとなにかを落とした。
両手で受け取る。
白いハンカチで包まれてる。
中身は箱みたい。
「一ヶ月前、渡すはずだったバレンタインプレゼント」
姉が笑った。
でも涙声だった。
「行きましょう」
実母が肩を叩く。
タクシーの後部座席に座る。窓を開け、十六年過ごした家を見つめる。そしてずっと一緒だった姉のことを・・・
姉からのバレンタインプレゼント。
二枚の白いハンカチで包まれてる。
ハンカチをはずしたら、赤い包装紙に包まれた平べったい箱。
もう姉はいなかった。
布団を畳んで押入れにしまう。
服を着替えていると、僕を呼ぶ声がした。
玄関の前。
スーツを着た僕と実母、父と母に改めて挨拶した。
家の前にはタクシー。
姉の姿がない。
「じゃあ、飛行機の時間もあるから」
実母が僕の肩を叩く。
その時だった。
「悠!」
上から声が聞こえた。
二階の僕らの部屋の窓。
姉が顔を出している。
上と下。
僕ら、少し離れてる。
だけど僕の目には・・・
ハッキリ見えたんだ・・・
リップを塗った小さな唇・・・
ラメをつけた目元・・・
僕のあげた化粧品だった・・・
姉が僕に向け、そっとなにかを落とした。
両手で受け取る。
白いハンカチで包まれてる。
中身は箱みたい。
「一ヶ月前、渡すはずだったバレンタインプレゼント」
姉が笑った。
でも涙声だった。
「行きましょう」
実母が肩を叩く。
タクシーの後部座席に座る。窓を開け、十六年過ごした家を見つめる。そしてずっと一緒だった姉のことを・・・
姉からのバレンタインプレゼント。
二枚の白いハンカチで包まれてる。
ハンカチをはずしたら、赤い包装紙に包まれた平べったい箱。
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