サンタなんかじゃない

的射 梓

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悠李は俺のなんだから

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 とろりとしたローションにコーティングされたかっちゃんの手で、後孔が開かれ湿しめらされてく。
 暖かいのに、少し時間が経つと冷ややかに感じる。
 ゆっくりと足を持ち上げられて、かっちゃんにかつがれた。
 持ち上げた下の後蕾に、ふくれ上がったかっちゃんの雄芯ゆうしんが添えられて。

れるぞ」
「焦らさ、ないで……」

 かっちゃんの角度が一段と上がった。

「……っ!! 変にびなくても悠李は可愛いから」
「あは。……っ!」

 これまでになく丁寧に、かっちゃんのが、入り込んできて……。
 焦らすみたいにじっくりと穿たれて、かっちゃんがより奥に進むたびにむずがゆいような感覚がい上がってくる。
 このまま深いところまで繋がるのかなと思ったら、浅いところで慣らすように出入りさせてきて。
 ゆるふわっとした気持ちよさに、気づかないうちに体がたかぶって来てる……!

「悠李……エロい顔してる」
「……っ!!」

 ぼーっとしているうちにヘンな顔をしてたみたいで、慌てて顔を隠した。
 いつも後ろからだったから、顔を合わせてするエッチなんて初めてだ。
 ずっとぼくだけのこと見てて欲しいと思ってたけど……実際にそうなると、やっぱ恥ずかしい。

「っは、そう締めるなって」
「だって、締まっちゃうんだってば」

 かっちゃんの雄芯は幾度いくどとなくぼくの後蕾のナカを行き来していて、だんだんそれが深くなる。
 ゆるゆるとゆるやかに深まって来てたのが、いきなり最奥さいおうまでつらぬかれて。

「ふぁ……!」

 ぼくは思わずのどを突き出してった。
 かっちゃんとは体だけなら何度も繋がったのに、なのにこれまでとは全然と違う衝撃が体中をけ巡った。
 ぼくの中に……ぼく以外の誰でもなくてぼく自身の中に、かっちゃんの中心を受け入れられてる……!

「すまん、痛かったか?」
「痛くはない。えっと……気持ちよかった」
「なら、もっと気持ちよくしてやるよ」
「っあ、……ぁ、ん……っ」

 深く穿たれて浅く引き戻されるたびに、かっちゃんの雄芯に引っ掛けられたところからも言われぬ痺れが突っ走る。
 けれど、何度か深く貫かれたあとは、また浅いところを集中して責められた。
 こすられて気持ちいいというよりは、かっちゃんと確かに繋がっているっていう感覚が気持ちいい。
 それと。
 ぼくの中で、かっちゃんが気持ちよくなってくれてるっていうのが、幸せで……。じわっと、胸の中に暖かいものが広がってく。

 それだけでもぼくは充分気持ちよかったのに……!

「悠李は、外派だな」
「ソコダメ、ダメだってば! んっふぁ、ハァ……っ!」

 かっちゃんと繋がる感覚に反り返ってしまっているぼくの花茎の先を、まれた。
 包皮を解かれてさえぎるもののないその尖端から、電流が走って思わずうめく。
 かっちゃんは手の腹でそっと撫でてくれてるんだろうけど、その手がちょっと動くたびに壊れそうなくらい神経を刺激されていて。

「うっくっ、ちょっと締めすぎ」
「かっちゃん、かっちゃん、それ、ヘンだから!うッああッ!!」
「ヘンになっていいぞ。感じている悠李のカオ、可愛い」

 もだえるような快感の波に耐えるのが精一杯で、顔隠していられなくて。
 花茎の先を責められる感覚が強すぎて痛いくらい……だけど、だんだんかっちゃんの手つきが優しくなってく。
 それが後蕾を貫通するかっちゃんの雄芯からの感覚と釣り合うくらいに穏やかになると、心地よい快感に変わって。
 でも、かっちゃんはきっと後ろでシたことないから分からないんだ。前も後ろもで、頭、だりそう……!

「うぁ……ん……それくらいだと、気持ちいい……っふぁッ」
「悠李のエロいとこ、濡れてきたな。……っく、俺も……悠李……」

 後蕾ではかっちゃんの切っ先をくわえこんで押し出し貫かれて。
 けど、ぼくのもかっちゃんに撫でられて気持ちよくって。
 一緒に気持ちよくなってるっていう感覚が胸の中で弾けて、ぶるりと体が震える。それが全身へ伝わっていくようで……。

「イキそう、かも……!」
「へへッ、今度も俺の勝……ッ!!」

 からだの奥に突き刺さるようにかっちゃんの雄芯がえぐりこまれて、そこで止まった。
 感極まった表情のかっちゃんは、とても気持ちよさそうだ。
 けど、ぼくも冷静ではいられなくて……!

「ふああ……ッ!」

 噴き上がった快感の波がびちゃっと体に降り注ぐ。
 目の前にバチバチッと火花が散るその瞬間はとても至福に包まれていて……。
 でも、ぼくもゴムしたほうが良かったかもしれないとちょっと思う。

「……っ、うっあっあっ!?」

 かっちゃんの雄芯を押し出す感覚が異常なまでに強くなってて、ビリビリと腰を打つ。
 頭がくらくらしてくるほど感じてしまっていた。
 寝返りをうったりしているときに少し敏感なところがこすれただけで、バカみたいに甘苦しいしびれが広がる。
 夢かうつつか分からなくなるくらいの悦楽の波をふらふらとただよっていた。

  * * *

「っあ……はぁ……」

 意識がはっきりしてくると、横に寝そべるかっちゃんに抱きしめられていることに気づく。
 ……暖かい。

「落ち着いたか?」
「なんとか……っう……」

 まだまだ鼓動が落ち着かない。なので息が苦しい。
 だけどかっちゃんの大きな体に包まれていると安心できて。

「ん……っ」

 かっちゃんはうなじにキスを落とすと、行為で汚れた体をいてくれた。
 なんでか、どうしていいか分からなくて。かっちゃんのぼくを綺麗にしてくれるのを、ぼくは息をひそめてただ待っていた。
 終わると、かっちゃんは再び寄り添ってくれる。

「悠李、大好きだ」

 裸のままのかっちゃんに強く抱きしめられる。

「ぼくも……」

 それ以上は、やっぱりまだ応えられない。……好き。それだけの言葉なのに。

「ん……」

 軽く触れるだけのキス。それを何度も繰り返す。かっちゃんからくれるのも……ぼくからも。
 向き合って愛を確かめ合える関係は、とても幸せだ。

「次のデート、悠李はどこ行きたい?」
「そっか……デートになるんだ」
「当たり前だろ、悠李は俺の……俺の、なんだから」

 単に「俺の」のあとに当てはまる言葉が見つからなかっただけなんだろうけど、かっちゃんのものになったんだって思うと、胸が熱くなる。

「明治神宮がいいかな。初詣の時期だし。あ、新宿御苑でもいいな」
「明治神宮? 渋いな……。でも年明けまでまだだいぶあるぞ」

 ごめん、全然渋くないんだ……。趣味は小出しにしたほうがいいよね。

「初詣の時期になると混んじゃうから、その前に行っておきたいと思って」
「? 初詣に行きたいんじゃないのか? 別に構わないが」
「かっちゃん、えっと……デート中女装しててもいい? 現地で着替えるけど」
「男同士のデートはいっぱいしたしな、いいよ。楽しみにしてる」

 無意識に見つめ合ってるのに気づいてしまって目をそらすした。
 頬に手を添えられて、かっちゃんの唇が重なる。ぼくは目を瞑って、キスに身をたゆたわせて。

 次はもう、一年も待たなくていい。
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