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一年生編

幼馴染みと鍋を囲む

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 ……重い……。
 一度帰り、親に紅羽の家でご飯を食べてくるといったらこんなに持たされてしまった。
 酒やつまみ、全部親父の秘蔵品だった。
 ……後で高いつまみ、奢ってあげよう。
 シクシクなく、親父の姿が目に浮かんだ。
 っというか、この状況でおまわりさんに声を掛けられたら補導確定だ。
 酒とつまみ……完全に高校生が買うものでもないし、酒に関しても買える物でもない。

 まぁ、堂々としていれば大丈夫だろう。
 そうして紅羽の家に着くと、青羽さんがとても嬉しそうな表情を浮かべていた。

「いいの!? 本当に!?」
「はい、両親からなので」
「ありがとう~」

 そう言って袋を受け取ると、青羽さんはそっちのけで冷蔵庫の方向へ向かって行った。

「ごめんね、あれお義父さんのでしょ?」
「うん、まぁ帰りにつまみでも買って帰ることにするよ」
「ささ、上がって上がって……」

そう言われ僕は食卓へ向かうと、既に準備は整っていた。
お手洗い等を済ませ、僕は席に着く。

「誠一は何がいい?」

 並べられたのはペットボトルの山と持ってきたビールだった。

「じゃ、ビールで」
「馬鹿じゃないの」

素の顔で紅羽に突っ込まれてしまった。
その、氷のように蔑む目はやめてもらえませんかね?
僕の心のHPが少しずつ毒のように削られていく。

「冗談でその目は、マジでドM以外は心に来るからやめてくれ」
「え、お兄ちゃんってそうじゃないの?」

 美優ちゃんが僕の心を下から上に切り返してくる。
 何なの、振り下ろしからの切り替えし……どこかの剣豪なのか、貴様ら。

「僕のそんな趣味はない」
「え、そうなの!?」

 君ら姉妹、僕の事を何だと思っているのだろう。
 っというか、紅羽は本当に僕の事が好きなのだろうか?
 怪しくなってきた。

「とにかく、冗談で精神削られるのは不本意なのでやめていただきたい」
「もっとやれって事かな?」
「多分……」
「聞こえてるぞ」
「乙女の秘密を盗み聞ぎなんて趣味が悪いよ、お兄ちゃん」

 僕が悪いのか?

「とりあえず、ジンジャエールで」
「どうぞ、旦那~」
「どこの代官様だ僕は……」

美優ちゃんの言葉に突っ込みを入れてる。
 そうして、僕らはいただきますと言って料理を食べる。
 今日の鍋はキムチ鍋だ。
 キムチ鍋の素に野菜や肉が溢れそうなくらいぶち込んである。

「いや、肉や野菜は少しずつ入れろよ」
「面倒くさい!!」

 そうだった、こいつは料理に関しては凄く大雑把だった。
 まぁ、鍋なので大丈夫だろう。

「紅羽」
「うん?」
「本選出場おめでとう」
「「おめでとう」」

 そう言うと僕らは鍋を囲み、楽しく過ごした。
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