42 / 44
一年生編
幼馴染み妹と先輩
しおりを挟む
「さて、そろそろ始めよか」
彼女が言っているのは一セット六ゲームの試合をしようと言っているのだ。
「え、今日は楽しんでやろうよ。 誠一や美優ちゃんもいるんだから」
「ええやん、皆で試合しよや」
そう言って僕らを見る。
「二人もええやろ?」
そう言われても、美優ちゃんは体力の限界だろう。
「久しぶりに先輩と戦うのもいいですね~」
意外にも美優ちゃんは好戦的だった。
そういえば、美優ちゃんも紅羽が卒業するまで部活をしていた。
「お、それじゃあ決まりやな」
僕の意見は完全無視ですか、そうですか。
「それじゃあ、対戦票はどうしよう」
「私と紅羽、中村と美優でええんちゃう?」
あからさまな対戦票。
それ、君が紅羽とやりたいだけなのでは?
「いいえ、私と綾辻さんでお姉ちゃんとお兄ちゃんです」
「それなら、僕を除く総当たり戦にしたら?」
正直、これが一番いい。
それぞれがやりたいなら、これが最も効率いい。
「なんや、もうええんか?」
「うん、僕は審判でもしとくよ」
「ほな、それで……暁姉妹もええか?」
「誠一がいいなら」「お兄ちゃんがいいなら」
「ほな、ルールはどうする?」
「時間もあるし、三ゲーム選手でどう?」
時間は残り四十分ほど、丁度いい時間だろう。
「時間もあるし、それでええ」
そう言うと、綾辻さんは美優ちゃんを見る。
「それじゃあ、美優やろか」
「……はい」
そう言って美優ちゃんと綾辻さんの試合を開始する。
サービスゲームは美優ちゃんからだ。
「さぁ、かかってきぃ」
「……」
そう言うと、彼女はカットサーブでサービスラインぎりぎりに打つ。
「うぉ」
綾辻さんは意表を突かれたのか、必死に追いかけクロスロブで何とか返す。
しかし、対応が遅れたせいで外に追いやられてしまう。
スピンロブで体勢を立て直そうとするが、美優ちゃんはそれをバウンドしたと同時に打つ。
ライジングショット。
普通、球筋の頂点で打つことが基本だが、スピンロブは頂点で打つことは無理なため落ちてくる所で打つ。
だけど、彼女の打ったライジングショットは跳ね上がった時に、打つため自分で打点を決めることが出来る。
タイミングは難しいが、出来ればタイミングを変えることが出来るのだ。
美優ちゃんの球を追いかけず、彼女はその場に立ち止まる。
追いかけてもあの距離は追いつけないので、追いかけるのをやめた。
「あれ、先輩が諦めるなんて珍しい」
確かに、彼女はどんな時でも喰らいつくテニスだった。
追いつけないとわかっていても必死に追いかけ、時にはそれで窮地を脱したことが多い。
「やるやないか」
今までの彼女とは少し違う感じがした。
美優ちゃんの挑発にニヤリと笑みを浮かべる。
そうして、試合は進んでいく。
サービスゲームは美優ちゃんがとり、1-0になった。
彼女が言っているのは一セット六ゲームの試合をしようと言っているのだ。
「え、今日は楽しんでやろうよ。 誠一や美優ちゃんもいるんだから」
「ええやん、皆で試合しよや」
そう言って僕らを見る。
「二人もええやろ?」
そう言われても、美優ちゃんは体力の限界だろう。
「久しぶりに先輩と戦うのもいいですね~」
意外にも美優ちゃんは好戦的だった。
そういえば、美優ちゃんも紅羽が卒業するまで部活をしていた。
「お、それじゃあ決まりやな」
僕の意見は完全無視ですか、そうですか。
「それじゃあ、対戦票はどうしよう」
「私と紅羽、中村と美優でええんちゃう?」
あからさまな対戦票。
それ、君が紅羽とやりたいだけなのでは?
「いいえ、私と綾辻さんでお姉ちゃんとお兄ちゃんです」
「それなら、僕を除く総当たり戦にしたら?」
正直、これが一番いい。
それぞれがやりたいなら、これが最も効率いい。
「なんや、もうええんか?」
「うん、僕は審判でもしとくよ」
「ほな、それで……暁姉妹もええか?」
「誠一がいいなら」「お兄ちゃんがいいなら」
「ほな、ルールはどうする?」
「時間もあるし、三ゲーム選手でどう?」
時間は残り四十分ほど、丁度いい時間だろう。
「時間もあるし、それでええ」
そう言うと、綾辻さんは美優ちゃんを見る。
「それじゃあ、美優やろか」
「……はい」
そう言って美優ちゃんと綾辻さんの試合を開始する。
サービスゲームは美優ちゃんからだ。
「さぁ、かかってきぃ」
「……」
そう言うと、彼女はカットサーブでサービスラインぎりぎりに打つ。
「うぉ」
綾辻さんは意表を突かれたのか、必死に追いかけクロスロブで何とか返す。
しかし、対応が遅れたせいで外に追いやられてしまう。
スピンロブで体勢を立て直そうとするが、美優ちゃんはそれをバウンドしたと同時に打つ。
ライジングショット。
普通、球筋の頂点で打つことが基本だが、スピンロブは頂点で打つことは無理なため落ちてくる所で打つ。
だけど、彼女の打ったライジングショットは跳ね上がった時に、打つため自分で打点を決めることが出来る。
タイミングは難しいが、出来ればタイミングを変えることが出来るのだ。
美優ちゃんの球を追いかけず、彼女はその場に立ち止まる。
追いかけてもあの距離は追いつけないので、追いかけるのをやめた。
「あれ、先輩が諦めるなんて珍しい」
確かに、彼女はどんな時でも喰らいつくテニスだった。
追いつけないとわかっていても必死に追いかけ、時にはそれで窮地を脱したことが多い。
「やるやないか」
今までの彼女とは少し違う感じがした。
美優ちゃんの挑発にニヤリと笑みを浮かべる。
そうして、試合は進んでいく。
サービスゲームは美優ちゃんがとり、1-0になった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
10
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる