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 「はぁ~」
 
 「ため息ばかりよくないぞ亜美!」

 (誰のせいだと思ってんだ畜生)

 あれから三日完全ではないが少しずつ心の整理ができてきた


 「それにしてもこの迷宮大きいな」

 「前までここにはこんなものなかったのにね…」

 入り口らしきものが見える

 (受け付けはこちら…ん?)

 入口の看板にはこの世界の言葉と私が見慣れた言葉の日本語で書かれていた…

 同じ異世界召喚者ってことかな…

 この世界にどれくらいいるかはわからないが彼方の世界の人間ならば話をしてみたいと思うけど…

 「アミさん行きますよ…」

 「あぁ…うん、今行く…」

 レキに言われ歩いていくと大きい部屋に着く…

 「いらっしゃい!今日はどんなご用件で?」

 受付の女性は元気よく挨拶してくる

 「シーフじゃないか…元気そうで何よりだ!」

 シーフと呼ばれた女性は閉じていた眼を開く

 「げ…ラウラ…」

 (うわぁ~完全に嫌そうな顔をして)

 「こんなところで何している?」

 「用心棒だよ…ある人が気に入ってな頼み込んでさせてもらっている」

 「ほう…お前が気に入るなんて珍しいな…男か?…」

 「残念ながらその人は女性だ…男なら猛アタックしてたぜ!」

 「その主人って方は?」

 「ん?誰だ?」

 「あ、私は亜美って言います迷宮女王と呼ばれる方にお会いしたいのですが…」

 「あぁ…咲のことか…」

 (名前は咲っていう名前なんだ…)

 「主人に何の用だ?」

 後ろの大剣に手をかける

 (あれ置物じゃないんだ…)

 彼女より大きな大剣を軽々しく持ち上げているその姿は異質そのものだった…

 「やめておけ…お前じゃ負けるぞ?」

 「あ?」

 シーフはラウラを睨みつける

 「お?私とやるか?」

 「それもいいがここではやめておけ…皆の迷惑になる…」

 「そうだよ…ここで暴れて見つかったらどうすんの?」

 「何か事情がありそうだな…よし、ここが閉まる夕方に来い主人に面談できるようにお願いしてみる…」

 「私は迷宮に…」

 「残念ながらここにはお前の求める物はないぜ諦めな…」

 「そうか、ちっ…」


 不満な顔をしながら引き下がる


 「それで都合はつけれますか?」

 「あぁ…夕方にはここが閉まる…その時に出来るよう話しつけておく…」

 「わかりました…今日の夕方日本人の亜美という女性が来るとお伝えください…」
 
 「了解した!」

 私は迷宮と呼ばれる場所を後にした

 
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