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八.新学期
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新学期が始まった。始業式の日、一学期と変わらないみんなと会えた。でも、僕と佐野君の中では、この夏休みで何かが変わっていた。
「みんな、おはよう!」
「竹原、久しぶり!プールにもラジオ体操にも来ないで、何してたん?」
「いやぁ、今年は夏休みの宿題を一気に終わらせてしまおうと思って」
僕はにっと笑った。みんなは、ポンがいた頃と同じように元気な僕に安心している様子だった。
その放課後。
ポッケのふくろを首から下げた僕と佐野君は、涼子ちゃんを呼んで校舎裏に来た。
『ポン』と書いたかまぼこ板が立てられている。
「ポン、新しい親友が二人もできたんだ。涼子ちゃんと、フクロモモンガのポッケ。でも、ポンのことは、僕はずっと忘れないよ」
涼子ちゃんがシロツメクサの首飾りをカマボコ板の前に置き、三人で手を合わせた。
校舎の花壇には少し気の早いコスモスが色とりどりに咲いていて、オレンジ色の空と鮮やかなハーモニーを奏でていた。西向きの校舎裏には、きれいな夕陽が射してきて、ポンが笑っているようだった。
夕暮れの太陽の光を浴びたふくろの中で、僕たちにとってかけがえのない『親友』のポッケは、すやすやと気持ちよさそうに眠っていたのだった。
「みんな、おはよう!」
「竹原、久しぶり!プールにもラジオ体操にも来ないで、何してたん?」
「いやぁ、今年は夏休みの宿題を一気に終わらせてしまおうと思って」
僕はにっと笑った。みんなは、ポンがいた頃と同じように元気な僕に安心している様子だった。
その放課後。
ポッケのふくろを首から下げた僕と佐野君は、涼子ちゃんを呼んで校舎裏に来た。
『ポン』と書いたかまぼこ板が立てられている。
「ポン、新しい親友が二人もできたんだ。涼子ちゃんと、フクロモモンガのポッケ。でも、ポンのことは、僕はずっと忘れないよ」
涼子ちゃんがシロツメクサの首飾りをカマボコ板の前に置き、三人で手を合わせた。
校舎の花壇には少し気の早いコスモスが色とりどりに咲いていて、オレンジ色の空と鮮やかなハーモニーを奏でていた。西向きの校舎裏には、きれいな夕陽が射してきて、ポンが笑っているようだった。
夕暮れの太陽の光を浴びたふくろの中で、僕たちにとってかけがえのない『親友』のポッケは、すやすやと気持ちよさそうに眠っていたのだった。
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ポンのお墓を作り、お供え物をして手を合わせたクラスのみんな、生前のぽんの様子を次々と思い出す洋介(僕)。悲しいけれど、ポンがみんなから愛されていたことが伝わって、じんわりしました。
そして佐野君、良い友達ですね。
新たに迎えることになったモモンガのポッケ。赤ちゃんの頃は袋の中で過ごすのかぁ……だからフクロモモンガなんですね。
初めは大変だったお世話も根気よく続け、ポッケと仲良くなっていく様子にわくわくしました。
涼子ちゃんは家族のことで悩んでいたけれど、お互い正直な気持ちを話し、良い方向に解決して良かったです。
ポンのところへ報告にいくラストも、温かくていいなと思いました。