ジェミニ 〜魂の契約者達〜

えいりす

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第三章 王都への旅

57.薬草収集

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エイシェルとアリスをランクBへ上げるために依頼を受けることにした4人。
4人は依頼ボードの前に立って依頼を吟味していた。

「さて、どれからやろうか……魔物討伐に薬草の収集とかやれば稼げるか?」

「薬草の収集なら……げ……何この条件……」

「ん?どれ?」

エイシェルがどうすれば効率よく依頼をこなせるか考えたところにフルームが薬草収集の依頼を見つけ、フラムも覗き込む

「摘みたて1時間以内の薬草を3kg……しかもそれで銅貨5枚って……」

「あ……それ」

「何この依頼、わりに合わないわね……」

「……そうなの?」

アリスが町に来た時に見た依頼だった。
フルームが読み上げアリスが声を上げようとしたがフラムが声を挟む。
そして、わりに合わないと言われたのでアリスは理由が気になった。

「えぇ、まず薬草が生えている場所まで行くのに時間がかかる。しかも3kg分摘むのも時間がかかるから複数人で行かなきゃ厳しいわね。……それに、摘んでから1時間だけど、届けた時にちゃんと依頼者が居てくれるかも分からないし……。正直他の依頼を探す方が気楽ね」

「そうだったのね……わたし、この町に来る途中に薬草たくさん生えたところ通ってきたんだけど……確かに遠かったわね……」

最初の方はアリスも考えたことだ。正直アリスの足だと間に合わないと分かっていたためすぐ諦めていた。

「……これ受けてみないか?」

「「「えぇ!?」」」

エイシェルの提案に思わずみんな声をそろえて驚く。問題だらけと言っていたばかりであった為尚更だ。

「条件が1時間以内に採取したものの納品。裏を返せばこの依頼自体1時間で終わせることができる」

「でも時間足りなくない?」

「そこは走って向かえば少しは余裕ができるんじゃないか?人数もいるしすぐ集まると思う」

「えっと……ごめん。たぶんわたしはまた足を引っ張っちゃうと思う……」

エイシェルが走れば間に合うと言ったのに対し、アリスは正直に意見を述べる。
アリスだって今までの経験から自分では無理だと分かっていた。

「大丈夫。アリスには別の大事な役割があるから」

「別の大事な役割……?」

「あぁ、アリスは依頼人がどこかに行かないように、おれたちが帰ってくるまで依頼人の相手をしてもらいたい」

「……なるほどね。私とフルームとエイシェルなら走って行って帰る分の体力はある。逆に私には説得とか難しい事は苦手だからアリスの方が適任かも」

「説得って何するのよ?ただおしゃべりしてればいいんじゃないの?」

「アリス……考えてみて。こんな無茶な依頼出す人に私達の常識が通じると思う?」

「……フルームってときどき的確過ぎるわよね……」

アリスはたまにフルームが怖く感じる。全てを見透かされてるんじゃないかと不安になるのだ。
とは言え味方につけばとても頼りになる仲間である。
簡単じゃないかもしれないと事前に構えられただけでも、アリスはアリスの役割を全うする為の心づもりが十分にできた。

「分かったわ。やりましょう!まずはみんなで依頼者がちゃんといるか確認してから出発しましょ?」

アリスもやる気になり依頼を受けることにした。



「セラスさん、この依頼受けようと思います」

エイシェルが依頼の紙を受付に出し、書類仕事をしていたセラスが顔を上げる。

「あら?あなた達、今度は何を受けるのかしら?」

「……あの?口調いいんですか?」

あまりにも自然に素で反応するセラスに逆に違和感を覚え、アリスはたまらず聞いてしまった。

「あ、これ?いやー今さっきフラターがさぁ、身内くらいは勘弁してくれっていうもんだから、わたしもあなた達には素で行こうかなって」

セラスは4人が買取カウンターを離れた瞬間にフラターに詰め寄っていたのだ。
身内くらいは勘弁してほしいというフラターの気持ちも分かるので、仕方なく許可したのだ。
そして、何故かセラス自身も4人には素で接するようにしたのだ。

…….決して4人と普通に話していたフラターが羨ましいとかではない。はずである。


「……なんか逆に違和感ね……」

「いつものカチカチなのにね」

1ヶ月間やり取りしてたフラムとフルームはもはや丁寧な口調のセラスのイメージが染み付いている。そのためエイシェルとアリス以上に違和感しかないのだ。


「い、いいじゃない!わたしだってたまには自然体で話したいの!それで?依頼内容は……と」

セラスは本音をぶちまけると依頼内容の確認に入る

「あら黒紙……げふんげふん。……あなた達この依頼受けてくれるの?……依頼達成してもらえたらすごく嬉しいけど……過去にやろうとしてくれた人は結局渡す時に依頼人が見つけられなかったとか言ってたわ……だから気をつけてね?」

「……あの、黒紙ってなんですか?」

「世の中には知らない方が幸せなこともあるんだぞ」

セラスはわざとらしくウインクする。
黒紙とはギルド内の隠語でつけ置き依頼であった。条件が悪い、難易度が高いなどの理由で誰も受けないような依頼。それこそ余程の物好きしか受けないようなものだった。

そして、その依頼をやめた方が良いとは決して言わないセラス。
セラスとしてはこういったつけ置き依頼をどんどん無くしたいのだ。

エイシェルは気にしても仕方がないと思い依頼の受注を進めるのだった。
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