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第四章 王都防衛戦
114.テレパシー?
宿に着いた4人。3人部屋と1人部屋のふた部屋を確保し荷物を置くとエイシェルとフラムは夕飯を食べに外出した。最初は4人で行こうと考えていたのだが流石に昼にフードファイトをしたアリスとフルームはまだ食べられないとの事で宿で休んでいる。
「エイシェルと二人っきりって初めてね。いつも一緒にいるのはアリスだし、船の上ではフルームと練習してたものね」
「そうだな……。改めてありがとうな。さっきのは……その、良くなかったなと……」
エイシェルは服屋での出来事を思い出していた。フラムについていくだけの状態になっており負担をかけたことを気にしていたのだ。ただ、分かっていることと行動を変える事は必ずしも紐付かない。その時は頭では分かっていたが動けなかったのだ。
「ほんとよ!……と言いたいところだけど、服屋を提案したのは私だから頭ごなしに文句は言えないけどね。でも大変だったんだからちゃんと誠意を見せてよね?」
「せ、誠意ってなんだ!?」
一体何をすればいいんだとエイシェルが慌て始める。その様子が面白くフラムは笑ってしまった。
「な、なんだよ……」
「ふふふ……。ごめん、面白かったから……。メルカさんから何か貰ってるんでしょ?」
「な!?何故それを!?」
「やっぱり。何も気付いてないのアリスくらいよ」
そうなのだ。エイシェルはメルカに2つのお願いをしていたのだ。1つめはエイシェルが話した通りの料理セット。そして、2つ目がど本命である。話を訊いたメルカですらにやけてしまうような内容。そのメルカの反応からフラムはピンときたのだ。
「ズバリ、あの白いワンピースね」
「ぐぁ!?」
「分かりやすすぎるのよ。私が分かるくらいだからフルームも絶対気付いてるわよ?」
「う、ご、ごめん」
エイシェルは隠していた事やアリスへのプレゼントを密かにメルカに頼んでいた事、フラムやフルームへは特に何も用意していない事など複雑な心境で謝った。しかし、フラムの言葉は予想を裏切るものだった。
「ん?謝ることないわよ?むしろよくやったと思ってるところよ!」
「へ?」
「いつまでも焦ったいのよ。見てる分には面白かったけど、そろそろ覚悟決めてくっつきなさい。誠意を見せてっていうのはそういうことよ」
いきなり難題を突きつけてきた。エイシェルとしては応援してくれる分にはとてもありがたかったが、いかんせん急なのだ。プレゼントを用意したものの全く心の準備が出来ていない。
当然、そんな状態だからエイシェルはどうにかして回避しようと必死になる。
「いやいやいや。まだ心の準備が……それに、アリスの気持ちもあるし……どう思われてるのか……」
「……はぁ。それ本気で言ってるの?」
エイシェルの反応を見たフラムは呆れて溜め息を吐く。どう見ても両想いなのに本人達は勇気が出せないでいるのだ。かくいうフラムも恋愛経験など無いわけだがそれでも分かるほどバレバレである。
(好きでもない相手にキスとかしないでしょうに……。ほんとふたりきりになった時のアリスって大胆になるんだから。それを私からエイシェルな言うのも野暮よね…………ん?今ってアリスにはフルームが付いてるんだっけ?……それならフルームがアリスをけしかけるはず!ちょうどいいわね!エイシェルにはきっかけを作ってもらいましょう!)
閃いたとばかりにフラムはエイシェルに指示を出した。
「エイシェル。ワンピース渡したらデートにでも誘って行ってきなさい」
「で、デート!?」
「そう、デート。誘えたら誠意を見せたってことにするわ」
その後も抵抗するエイシェルを叩き潰すフラム。それくらいは誠意を見せろと頑なにエイシェルに言い続けるのだ。夕飯を食べながらもフラムの説教が続いた為、エイシェルはデートの事で頭がいっぱいになり食事の味が分からなくなるほどとなっていた。
~~~アリス・フルーム視点~~~
エイシェルとフラムが夕飯を食べに行っている間、アリスとフルームは部屋で休んでいた。
「夕飯が食べられないなんて……不覚」
「まぁ分かっていた事だけどねー。それにしても食べ切れてよかったよ。正直危ないところだった」
「フルームはそんな事なかったじゃない?わたしは最後のカレーが辛くて時間ギリギリになっちゃったし危なかったわ……」
フードファイトの反省会をする2人。最初の揚げ物が美味しかったとか、カキ辺りから辛くなってきたとか。もっとペースを上げて食べれば余裕があったのでは無いかなど話している。途中、カキから出てきた真珠を思い出し洗って大切にしまう。改めて見ても歯で噛んだとは思えないほど綺麗な見た目だった。そして話は食後の服屋での出来事に移る。
「そういえば、あのワンピースの紐、緩く結んでたよね?」
「……フルームなら分かるでしょ?食べ過ぎてお腹出ちゃってたんだもん……」
「そこまで分からないと思うけどなー」
やはりバレていた。誰も何も突っ込まなかった為バレていないものだと思っていたのに何という恥ずかしさ。そう考えた時にハッとした。
「もしかして!エイシェルにもバレてた!?」
突然あわあわし出すアリス。エイシェルにバレないように必死に考えた苦肉の策であった為、バレているのであればなんで滑稽な事か。そう考えたがフルームからフォローが入る。
「いや、多分エイシェル気づいてないよ。……ていうかアリスに見惚れてたし」
「んなっ!?」
フルームがそんな事を言った為顔が真っ赤になるアリス。アリスは試着した姿を見せている時に自分のことで精一杯であった為、エイシェルの様子を伺うことが出来なかったのだ。まさかそんな状態になっていたのかと思い出し恥ずかしくなったのだ。
「さ、流石に言い過ぎでしょ!ワンピースが可愛かったから服に目がいったんじゃないの!?」
「うーん?素直に喜べばいいのに……」
エイシェルが見惚れていたと言ってもアリスは頑なに認めようとしない。その為フルームはちょっと呆れていた。お互いに好き合ってるのだから早くくっつけば良いのにくらいに思っている。
「そんなに可愛い服ならまた着ればいいんじゃない?」
「だって!あの服金貨1枚と銀貨2枚もするのよ?流石に高すぎるわ……」
そう、あの時買う話が出なかったのは値段が高かったからだ。店員に茶化されて一刻も早く逃げ出したかったことも理由だが、そもそも手が出せないと考えていた。
そんな事は百も承知で話を振ったフルーム。フルームの中に眠る恋愛策士が急に目覚め暴れ始めた。
「まぁそうだよねー。そんな高い服自分では買えないよ。……もしさ、エイシェルがプレゼントしてくれたらどうする?」
「流石に出来ないでしょ?だって高いし」
「いや、エイシェルなら用意するよ。どうするの?」
「えっ!?」
「どうするー?」
フルームの言葉に驚き思考が止まるアリス。想像の斜め上の質問が来た為回答に窮した。
アリスは今までの事もありフルームとの会話は少し警戒する様にしている。主にエイシェル関連で見事に心を乱してくるのだ。今回も来たかと思い、予め考えていた質問と回答をしていたが、突然全く想像できないパターンが返ってきたのだ。
アリスの頭の中に出てくるべき"なぜ?"や"どうやって?"という思考が吹き飛び"どうする?"という質問に答えようと必死になってしまった。それはフルームの巧みな言葉によるものだ。最初にどうするかを聞き、結果 否定される。相手の思考ではその否定した事で全てが終わっているのだ。しかし、その否定を自信満々に否定する事によって相手に動揺が生まれる。そこで相手が余計な事を考える前に再度畳み掛けるのだ。"どうする?"と。その結果、もともと心に余裕なんてないアリスはまんまとフルームの策略という沼にハマったのだ。
「ど、どうしよう……」
そしてその沼は底無し沼の如くハマったものを引きずり込む……
「考えてみて、気の無い相手にあの服は送らないよ?その流れでデートに誘われるんじゃ無いかな?そして、アリスは自分の気持ちに正直になればいいんだよ」
「ち、ちょっと待って!?デート!?じ、自分の気持ちに正直にって……?」
「そう、デートだよ。気持ちは最初に思ったことが正解だから。直感を信じるとよろし」
完全に胡散臭い占い師のように振る舞うフルーム。もはやアリスはフルームの術中にはまっており、フルームの言うことを聞こうという思考になっている。
ここまで来ればフルームの仕事はお仕舞いだ。
(あとは……予想通りならエイシェルはワンピースを持っているはず……。きっとお姉ちゃんがエイシェルを焚き付けるから……告白は無理でもデートに誘うくらいには持っていけるかな?ふっふっふ……どうなるかなー)
フルームはそんな事を思い悪い顔をしてほくそ笑むのだった。
こうして姉妹のテレパシーの如き予想は奇跡的な噛み合わせを生み出すのだった。
「エイシェルと二人っきりって初めてね。いつも一緒にいるのはアリスだし、船の上ではフルームと練習してたものね」
「そうだな……。改めてありがとうな。さっきのは……その、良くなかったなと……」
エイシェルは服屋での出来事を思い出していた。フラムについていくだけの状態になっており負担をかけたことを気にしていたのだ。ただ、分かっていることと行動を変える事は必ずしも紐付かない。その時は頭では分かっていたが動けなかったのだ。
「ほんとよ!……と言いたいところだけど、服屋を提案したのは私だから頭ごなしに文句は言えないけどね。でも大変だったんだからちゃんと誠意を見せてよね?」
「せ、誠意ってなんだ!?」
一体何をすればいいんだとエイシェルが慌て始める。その様子が面白くフラムは笑ってしまった。
「な、なんだよ……」
「ふふふ……。ごめん、面白かったから……。メルカさんから何か貰ってるんでしょ?」
「な!?何故それを!?」
「やっぱり。何も気付いてないのアリスくらいよ」
そうなのだ。エイシェルはメルカに2つのお願いをしていたのだ。1つめはエイシェルが話した通りの料理セット。そして、2つ目がど本命である。話を訊いたメルカですらにやけてしまうような内容。そのメルカの反応からフラムはピンときたのだ。
「ズバリ、あの白いワンピースね」
「ぐぁ!?」
「分かりやすすぎるのよ。私が分かるくらいだからフルームも絶対気付いてるわよ?」
「う、ご、ごめん」
エイシェルは隠していた事やアリスへのプレゼントを密かにメルカに頼んでいた事、フラムやフルームへは特に何も用意していない事など複雑な心境で謝った。しかし、フラムの言葉は予想を裏切るものだった。
「ん?謝ることないわよ?むしろよくやったと思ってるところよ!」
「へ?」
「いつまでも焦ったいのよ。見てる分には面白かったけど、そろそろ覚悟決めてくっつきなさい。誠意を見せてっていうのはそういうことよ」
いきなり難題を突きつけてきた。エイシェルとしては応援してくれる分にはとてもありがたかったが、いかんせん急なのだ。プレゼントを用意したものの全く心の準備が出来ていない。
当然、そんな状態だからエイシェルはどうにかして回避しようと必死になる。
「いやいやいや。まだ心の準備が……それに、アリスの気持ちもあるし……どう思われてるのか……」
「……はぁ。それ本気で言ってるの?」
エイシェルの反応を見たフラムは呆れて溜め息を吐く。どう見ても両想いなのに本人達は勇気が出せないでいるのだ。かくいうフラムも恋愛経験など無いわけだがそれでも分かるほどバレバレである。
(好きでもない相手にキスとかしないでしょうに……。ほんとふたりきりになった時のアリスって大胆になるんだから。それを私からエイシェルな言うのも野暮よね…………ん?今ってアリスにはフルームが付いてるんだっけ?……それならフルームがアリスをけしかけるはず!ちょうどいいわね!エイシェルにはきっかけを作ってもらいましょう!)
閃いたとばかりにフラムはエイシェルに指示を出した。
「エイシェル。ワンピース渡したらデートにでも誘って行ってきなさい」
「で、デート!?」
「そう、デート。誘えたら誠意を見せたってことにするわ」
その後も抵抗するエイシェルを叩き潰すフラム。それくらいは誠意を見せろと頑なにエイシェルに言い続けるのだ。夕飯を食べながらもフラムの説教が続いた為、エイシェルはデートの事で頭がいっぱいになり食事の味が分からなくなるほどとなっていた。
~~~アリス・フルーム視点~~~
エイシェルとフラムが夕飯を食べに行っている間、アリスとフルームは部屋で休んでいた。
「夕飯が食べられないなんて……不覚」
「まぁ分かっていた事だけどねー。それにしても食べ切れてよかったよ。正直危ないところだった」
「フルームはそんな事なかったじゃない?わたしは最後のカレーが辛くて時間ギリギリになっちゃったし危なかったわ……」
フードファイトの反省会をする2人。最初の揚げ物が美味しかったとか、カキ辺りから辛くなってきたとか。もっとペースを上げて食べれば余裕があったのでは無いかなど話している。途中、カキから出てきた真珠を思い出し洗って大切にしまう。改めて見ても歯で噛んだとは思えないほど綺麗な見た目だった。そして話は食後の服屋での出来事に移る。
「そういえば、あのワンピースの紐、緩く結んでたよね?」
「……フルームなら分かるでしょ?食べ過ぎてお腹出ちゃってたんだもん……」
「そこまで分からないと思うけどなー」
やはりバレていた。誰も何も突っ込まなかった為バレていないものだと思っていたのに何という恥ずかしさ。そう考えた時にハッとした。
「もしかして!エイシェルにもバレてた!?」
突然あわあわし出すアリス。エイシェルにバレないように必死に考えた苦肉の策であった為、バレているのであればなんで滑稽な事か。そう考えたがフルームからフォローが入る。
「いや、多分エイシェル気づいてないよ。……ていうかアリスに見惚れてたし」
「んなっ!?」
フルームがそんな事を言った為顔が真っ赤になるアリス。アリスは試着した姿を見せている時に自分のことで精一杯であった為、エイシェルの様子を伺うことが出来なかったのだ。まさかそんな状態になっていたのかと思い出し恥ずかしくなったのだ。
「さ、流石に言い過ぎでしょ!ワンピースが可愛かったから服に目がいったんじゃないの!?」
「うーん?素直に喜べばいいのに……」
エイシェルが見惚れていたと言ってもアリスは頑なに認めようとしない。その為フルームはちょっと呆れていた。お互いに好き合ってるのだから早くくっつけば良いのにくらいに思っている。
「そんなに可愛い服ならまた着ればいいんじゃない?」
「だって!あの服金貨1枚と銀貨2枚もするのよ?流石に高すぎるわ……」
そう、あの時買う話が出なかったのは値段が高かったからだ。店員に茶化されて一刻も早く逃げ出したかったことも理由だが、そもそも手が出せないと考えていた。
そんな事は百も承知で話を振ったフルーム。フルームの中に眠る恋愛策士が急に目覚め暴れ始めた。
「まぁそうだよねー。そんな高い服自分では買えないよ。……もしさ、エイシェルがプレゼントしてくれたらどうする?」
「流石に出来ないでしょ?だって高いし」
「いや、エイシェルなら用意するよ。どうするの?」
「えっ!?」
「どうするー?」
フルームの言葉に驚き思考が止まるアリス。想像の斜め上の質問が来た為回答に窮した。
アリスは今までの事もありフルームとの会話は少し警戒する様にしている。主にエイシェル関連で見事に心を乱してくるのだ。今回も来たかと思い、予め考えていた質問と回答をしていたが、突然全く想像できないパターンが返ってきたのだ。
アリスの頭の中に出てくるべき"なぜ?"や"どうやって?"という思考が吹き飛び"どうする?"という質問に答えようと必死になってしまった。それはフルームの巧みな言葉によるものだ。最初にどうするかを聞き、結果 否定される。相手の思考ではその否定した事で全てが終わっているのだ。しかし、その否定を自信満々に否定する事によって相手に動揺が生まれる。そこで相手が余計な事を考える前に再度畳み掛けるのだ。"どうする?"と。その結果、もともと心に余裕なんてないアリスはまんまとフルームの策略という沼にハマったのだ。
「ど、どうしよう……」
そしてその沼は底無し沼の如くハマったものを引きずり込む……
「考えてみて、気の無い相手にあの服は送らないよ?その流れでデートに誘われるんじゃ無いかな?そして、アリスは自分の気持ちに正直になればいいんだよ」
「ち、ちょっと待って!?デート!?じ、自分の気持ちに正直にって……?」
「そう、デートだよ。気持ちは最初に思ったことが正解だから。直感を信じるとよろし」
完全に胡散臭い占い師のように振る舞うフルーム。もはやアリスはフルームの術中にはまっており、フルームの言うことを聞こうという思考になっている。
ここまで来ればフルームの仕事はお仕舞いだ。
(あとは……予想通りならエイシェルはワンピースを持っているはず……。きっとお姉ちゃんがエイシェルを焚き付けるから……告白は無理でもデートに誘うくらいには持っていけるかな?ふっふっふ……どうなるかなー)
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