めいたんてい金田二郎の事件簿

新宮シロ

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第一話 大西琥珀の事件

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 その姿は、おとぎばなし出てくる眠り姫のようだった。
 大西琥珀(おおにし こはく)は自室のベッドで布団を掛けずに眠っていた。5階建マンションの2階。間取りは1K。一人暮らしの大学生が暮らすには十分な広さだ。3月9日水曜日。死亡が確認された彼女はその日を最期に部屋を後にした。
「探偵、どうだ?」家主を失った部屋でスーツの男が言った。学生時代はスポーツに打ち込んだと窺えるガッシリした体躯。
「真犯人は分かったのか?犯行のトリックは?」日本では少し窮屈さを覚える長身のために今は柳の様にしなり、目の前にいる小柄な男へ挑発的に問う。
日付は3月10日木曜日。熱い視線を注がれている男は茶色いスーツのポケットに両手を入れ全員からの注目を高め、伏せた顔をスッと上げた。
「お教えしましょう!大西琥珀さん殺害のトリックは…」芝居がかった身振り手振りで言い放つ。これが彼のスタイル。
「アナフィラキシーショックです!!」歌舞伎ののように見栄を切る!
 決まった…!そして悦にいる。それがこの男、金田二郎の生き様だ。



 “その男、金田二郎(かねだ じろう)33歳 フリーの探偵。
 高校時代に近所で起きた変死事件の謎を解いたことにより、天才高校生探偵と呼ばれるようになった。以来彼が通える地域内で事件が起きる度に呼び出されるようになり今ではフリーの探偵として生計を立てている。”
 “一方、枝垂れ柳の体制で目を丸くしている彼は江藤新一郎(えとう しんいちろう)。金田が高校生のとき隣町の大学に通っていた。当時からの夢だった警部になり日々事件を追っている。金田に対し何かにつけて勝負を挑む。そして見事に負け越している。”
 “絵に描いたような[は?]の表情で固まる江藤の隣で目を輝かせているのは森六郎(もり ろくろう)。江藤の後輩で駆け出しの刑事。何故か金田を崇拝し事件の情報を提供している。”
 “そして自身の推理に酔う金田の横で白目を剥いているのは多摩川龍之介(たまがわ りゅうのすけ)。探偵補佐のバイトをしている大学生。金田曰く、採用の決め手となったのは多摩川家の五男だったから。多摩川五男。なんか江戸川コナンに響きが似てるから即採用とした。”
 “金田二郎の名推理?と多摩川龍之介のアシストでどんな難事件も解決していくかもしれない。これはそんな事件記録の一部である。”



 玄関を抜け一枚の扉を開けると十畳程の部屋がある。白を基調とした簡素な内装。ローテーブルにシングルベッド、衣装ケース、と全体的に整理された空間だ。
 今回も金田の崇拝者、森六郎からの要請を受け探偵達は現場に来ている。
「被害者は大西琥珀さん21歳。3月6日(日)の回覧板が途絶えた為、大家さんが訪問するも応答無し」渡された事件メモを見ながら事件の概要を説明するのは助手の役割だ。
「その後も連絡が取れないので本日3月9日。マスターキーを使い部屋に入ると…」
「そこには変わり果てた姿の彼女がいた」金田が考える人のようなポーズで探偵然として続ける。
「二郎さん。何か閃きますか?」
「う~ん。中々の難問ですね」さっきまで被害者の寝ていたベッドを見ていると、後ろから、ガンっ!と何かがぶつかる音がした。が、金田も多摩川も微動だにしない。
「何か言えよ!」小汚い声が部屋に響いた。
「いやもう慣れちゃいましたよ」多摩川が応える。「っていうか、警部わざとやってます?」
「何のためにだよ!いてえんだぞ、こっちは」
「いや、知らないですよ」
「まあいい。おい探偵。今回ばかりは流石のお前でも解くの骨が折れるだろうな」両手をポッケに入れ肩で風を切るよう進み、威圧する。もはやチンピラ。
「あ、どうも工藤新一さん」
「江藤新一郎な。いつまでこのネタ擦る気なんだよ」
「あれ、警部今日はなんか良い匂いしますね。香水でもつけましたか?」
「話聞けよ!…まあいい。このスーツな、昨日クリーニングから受け取ったばかりなんだ。だからその匂いだろう」
「なるほど。警部は見る度に同じスーツなのでついに新調したのかと思いました」
「んな金ねえよ」自虐っぽく笑いながら答える。
「まあそんなことより、この事件だ」視線を部屋へと移す。もう警部としての顔になっているのだから流石の切り替えだ。
「詳しいことはもうすぐ鑑識の結果が出てから分かるだろうが、被害者の大西さんは恐らく寝ている間に襲われたのだと思われる。その証拠に、遺体発見時彼女はベッドで寝ていた。そして外傷の無いことから恐らくは、体内になにかしらの毒物を注入された可能性がある。そして何より厄介なのが、ここが密室だということだ」
「確かに。玄関はもちろん、窓もしっかり鍵がかかっていましたからね」多摩川がベッドの奥を指す。ベッドサイドから垂直に1メートル程の所に窓がある。
「因みに死亡時刻ってのはいつなんでしょうか?」再びメモを開きペンを出す。
「まだはっきりしてないが、被害者の状態、そしてSNSでの最終書き込み日を考慮して、3月2日(水)だと思われる」
「さあどうする名探偵?このトリックが暴けるか?え?」またもやチンピラの登場だ。だがやはり金田はこれを意に返さず、真剣な表情で腕を組む。
「難しいですね」少し雲ったトーンで俯く。
「ですが、死因がはっきりすれば自ずと答えは出るはずです。そうすれば後はするすると事件の紐が解けていきます」不安な色を出しながらもその眼には炎が宿っていた。名探偵のスイッチが入ったのだ。
「そうですね」多摩川の声にも熱が入る。
その現場の熱量に負けないパワーで森が駆け込んでくる。
「出ました!」
「おお、どうだった?」
「死因は…」言い出した瞬間、江藤の影に隠れた男の姿を捉え…ドンッ!
「ガフッ!」新人に突き飛ばされる先輩。
「か、金田さん!お疲れ様ですっ!」瞳をキラキラ輝かせ名探偵を見つめる男。森六郎だ。
「うむ。いつも情報提供ありがとう。六郎くん」
「いえ、名探偵金田二郎さんのお役に立てて光栄です!」
「警察の役にも立てー!」江藤が二人の間を割り、喝を入れる。
 少ししょげた後、すみません。と呟く。
「えと、それで死因は蜂によるアナフィラキシーショックだと判明しました。死亡時刻は3月1日(火)~3月2日(水)の間です」
「蜂ですか」
 はい、と答えメモ帳をめくる。
「被害者の腕から蜂の針が見つかっております。
恐らく何かの拍子に部屋に入ってしまい、気がつかずに寝ていた被害を刺したのだと思います」
「で、その犯人…。いえ、犯蜂は?」多摩川が、犯蜂?という顔をしていると、森の後ろから……。
「お?こいつじゃないか?」警察の感か野性の感か、鑑識が逃したはずの[それ]をひょいと掴んで見せた。そこにはお尻の針が折れた1匹のスズメバチが生前の躍動感を残しつつ眠っていた。
「と、いうことは…?」多摩川の言葉を切るように江藤が手を叩いた。
「事件は解決だ!さあ撤収撤収!」何故か勝ち誇った笑みを金田に見せつけ踵を返す。大手を振って玄関へ向かう背中に…。
「待ってください!」
 大柄の警部が振り返ると小柄の探偵が被害者が寝ていたベッドを見つめていた。
「なんだよ探偵?もう答えは出たじゃねえか?」
「そうですよ、今回は大人しく帰りましょう」多摩川が続く。
 しかしポーズを変えず一点を見続ける探偵の普段とは違う何かを感じたのか、たった一人の親衛隊が声をかける。
「もしかして二郎さん。何か引っかかるんですか?」その、いかにもな台詞に名探偵はゆっくり頷く。
「ええ。この事件。あまりに単純すぎる。そして、何か匂う」
「警部さんの事ですか?」
「だからおれの匂いはクリーニングのせいだって!」
「ちなみに警部、事件当日、3月1日から2日のアリバイは?」高層ビルを眺めるように見上げる。その目には名探偵の威光が宿っている。
「なぜ俺を疑う?」その輝きに圧されたか、江藤の瞳孔が僅かに揺らいだ。その心の機微を確証とし、名探偵、金田二郎は答える。
「匂うからです」
「それは関係ないだろーい!」今にも折れそうな柳がその枷を外されたかのごとく身体を目一杯反らせ叫ぶ。
「ですよねー」多摩川が力無く応じる。
「大西さんが無くなったのは火曜の夜から水曜の朝方。江藤さんは火曜と日曜が非番なので勤務中ですね」森が諳んじる。
「おい!」更に曲がる腰。
「一応アリバイはあるようですね」メモしておいてくれと多摩川に促す。
「なぜ一応なんだ」バネのような勢いで前屈みになりメンチを切る。
「ちなみに1日火曜日はどこで何をしていたんですか?」
「家でゲームしてた」
「それを証明できる人は?」
「いるか!独身だぞ!」
「ますます怪しいですね」
「なぜだー!?」
 凛としたまま言葉を紡ぐ金田。警察の威厳などは皆無の姿で喚く江藤。今この瞬間名探偵と犯人の推理バトルを目の当たりにしているかのように緊迫した表情で少年のようなキラキラした熱視線を送り見守る森。今にも魂が抜けそうな顔で立ちつくす多摩川。迷探偵はこの状況をも自身のフィールドとする。キッ!と江藤を睨み…。
「真犯人は江藤警部。あなただ!!」
 チーン。
 江藤新一郎と多摩川龍之介の脳内で鳴り響いた。王道のミステリーであれば、ドンッ、と締まりの良い音が鳴り周囲の人から驚きや悲しみ、悔しさといったさまざまな表情の変化が見て撮れるはず。だがこの数秒間で二人はピクリとも動かずただ大口を開け続けるだけだった。
「やっぱり…、そうだったんですね」唯一の盲信者、森六郎だけが悲嘆の色を浮かべ固まる上司に問いかける。
「いやいや、おかしいだろ!そして、なにがやっぱり…、だ!」フリーズ状態から回復した江藤の舌はよくまわる。
「だって、金田さんが…」
「おい探偵、俺がどうやって殺したって言うんだ?」
「それは。なんか、特殊な笛か何かで蜂を操り大西さんを刺したんです。そう、恐らく警部はヘビ使いならぬ、蜂使いなんです!」真っ直ぐな瞳で言い切った横で多摩川が真っ白になった。
「バカバカしい!それにその推理じゃ密室の謎が解けてないじゃないか!」
「…!それは盲点でした」
「いや忘れとんかい!」現世に復帰した多摩川が飛ぶように言い放った。
「てか、そもそも蜂使いってのに無理があるでしょ!」
「そして残念ながら被害者の書き込みが水曜の午前中にされていたので、江藤さんには難しいと思います。残念ながら」涙目のままメモを見ながら森が言った。
「何が残念なんだ!?ってか知ってたんなら最初から言え!」叫び過ぎて汗だくになりながらも尚、江藤は叫ぶ。
「くそう。こうなったら足を使うぞ。龍之介くん!」言いながら玄関の方へ走り出す。
「なんでそうなるんですかー?」
 偶然蜂が部屋に入って刺した。これでこの事件は解決だと誰もが思っている中、どこかで火がついた探偵魂をメラメラと燃やしながら振り返り、言った。
「目に見えるものだけが真実じゃないんだよ。龍之介くん」
「なんでドヤ顔なんですか」
 多摩川のツッコミに笑顔で応え、ドアに手をかけるともう一度助手の方を見た。
「さあ行くぞ。真実を見つけに!」取手を下ろし扉を開けると赤紫色の光が部屋の中に入り込んだ。
「ったくもうー」呆れながらも彼の後に続く。
 動き出したのは名探偵か迷探偵か。間違いないのは金田二郎の心はこの空のように赤く燃えていることだ。



 被害者、大西琥珀の交友関係。彼女の病歴や持病等の調査。そしてマンション周辺での動向。それらを僅か半日で行い、現在3月10日の昼下がり。再び被害者の自宅を訪れている。
 金田から少しでも不審な点があれば伝えるようにと言われているが、状況は芳しく無い。やはり鑑識の人たちはプロの仕事をこなしたのだろう。
 やはりこれは不幸な事故死だと確信し玄関の探偵に視線を送る。いつもと同じ茶色のスーツを身にまとい手には白のグローブ。パイプを咥えようものならベタベタのベタになりそうだ。
「二郎さ…」白旗を求め弱々と発した言葉の最後は彼の瞳に宿ったそれにより空白の音となり部屋に消えた。
 ほんの少しのブランク。素人目にも分かる明白な光が期待を与えた。
「なるほど。これが真実か」ほとんど空気のような音量でそっと呟く。
「えっ?まさか真犯人が…?」体中の血が駆け巡る。その一言で傷心の助手の脳内にバチバチと電流が走った。
「ふふふ。龍之介くん。皆んなをこの部屋に集めてくれ」変わらず一点だけを見つめていた。
 ごくり。渇き始めた喉を少し潤してから多摩川龍之介はポケットからスマホを取り出した。



 日が落ち始めた頃、大西琥珀の部屋には遅めの昼食を済ませた金田と多摩川。助手に呼び出された江藤と森がいる。相変わらず挑発的な視線を金田に向けながら口火を切った。
「探偵、俺たちを集めてどうするつもりだ?まさか真犯人が見つかって、その推理を披露しようとか言うんじゃないだろうな?」
「そのまさかですよ。警部」金田のいつもと変わらない口調に目を剥く。横を見るといつもとは違う、自信ありげな表情で頷く助手の姿。それら不思議な圧により怯んだ江藤の後方から森が小走りで抜けていった。
「マジですか!じゃあ密室の謎も解けたってことですか?」
「もちろんだとも」
「凄い!さすが名探偵金田二郎さん!!」
「で、その真犯人とやらは一体どんなトリックを使ったんだ?」二人の間を割って江藤が問う。彼も少し興奮しているようだ。
「簡単なことですよ。皆さんは最も基本的なことを見落としています」
「基本的なこと?」
「そう。この建物は…オートロックなんです!」
 少しの沈黙。
「そ、そういえば…!」破ったのは江藤。
「いや…あれ?」鳩が豆鉄砲を食ったように多摩川の表情に狼狽の色が浮かぶ。
「えっと、オートロックだからどうなんですか?」ゆっくり右手を挙げ、首を傾げ訊ねる。
「つまりだね六郎くん」指差しポーズを決め、歩き出す。
「どこから侵入しても部屋から外に出ればそれだけで密室が完成する訳ですよ」
「て、天才だ…!」
「いや当たり前…それがオートロックだし」歯切れ悪くツッコむ多摩川。
「ってことはやっぱり江藤さんが犯人…?」
「おい、それまだ言うのか」
「いえ、残念ながら1日から2日の防犯カメラを調べたところ、警部の姿は映っていませんでした」
「ほらどうだ!ざまあみろー!ハハハハー!!」
「そんなに喜ばんでも」若干引き気味の多摩川。
「じゃあ二郎さん。真犯人は…?」
「そうだ探偵。答えが分かったんだよな?」
 二人の言葉に目で返答する。まあそう焦らずに、と。全員に目線を送り深呼吸するように息を吸い込む。
「お答えしましょう!大西琥珀さん殺害の真相は…」
「偶然入り込んだ蜂に刺されてアナフィラキシーショックを起こしたからです!!」
「おお!流石名探偵金田二郎さん…あれ?」
「いや最初に言ってたーー!!時間返せーー!!」堰を切ったように叫び上げる多摩川。
「いやあ意外にも真実は意外と近くにあるものですね龍之介くん」
「序盤の序盤からあったわい!」
「さあ撤収だ龍之介くん。帰って午後のティータイムと洒落込もうじゃないか」
「もう夜だし!ってか空振りでも今日のお給料はもらいますからね!」
「ははははは~」
「笑って誤魔化さない!」
 やはりこの人は名探偵ではなく迷探偵だ、その思いが確信に変わる。
 目が点の二人に気持ちばかりの一礼をし金田の後を追う。既に空は黒く染まり街灯が道を照らしている。今回の事件を振り返りながら事務所へと帰るのだった。

 つづく。



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