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瑠奈と寝顔。
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『うぅ、身体痛い...』
『本当にごめんなさい』
蓮太郎が呟くと瑠奈が申し訳なさそうにこちらの様子を伺っている。
『大丈夫だよ。こちらこそごめんね。一人暮らしが長かったからついつい声に出ちゃうんだよね』
『痛いから声に出てるんですよ?もう本当に今日から気を付けますので.,.』
先ほどからこの有様である。
何度大丈夫と伝えても全然理解してくれていない。
一度納得してもらうのを諦め話題を変える。
『瑠奈ちゃんは映画好きなの?』
昨日の動画配信サービスへの食いつきが良かった。おそらく映画が好きなのだろうと思い聞いてみる。
『そーですね。観に行くのは好きじゃないですけど...映画は好きかもしれないです』
(?歯切れが悪いな)
『友達とかと見に行かないの?』
『行かないですね』
蓮太郎が口にすると瑠奈が抑揚もなく淡々と告げる。
昨日からこの手の話題になると淡々と、まるで他人のような受け答えをされてしまっている。
(最近の子は難しい...)
もうここに来て何度も思ったことだ。
それとも自分が瑠奈の地雷を踏み抜いているのかもしれない。
2年程、ほぼ毎日顔を合わせていたと言っても基本的には蓮太郎の話を聞いてくれていて、瑠奈の話を聞く機会は殆どなかった。
『瑠奈ちゃん。正直に言うと僕は君のことをあまり知らない。だから教えて欲しい。何が好きで何が嫌いなのか、どんな事が楽しくてつまらないのかを』
そこで一度言葉を区切る。
というより、区切らされてしまう。
瑠奈は蓮太郎の言葉を受け目を見開き、固まってしまっている。
(そんなに驚くことかな。瑠奈ちゃんの事を知りたい男なんて同じ学校に腐る程居るだろうに)
浮かんで来た疑問を内に押し留め、再度口を開く。
『だからさ、瑠奈ちゃんがどんな人なのかをこれから僕に教えてくれないかな。勿論無理にとは言わない』
言い終えて尚、瑠奈の時は止まったままだ。
『瑠奈ちゃん?』
『あっ、はい、すいません。驚いてしまって』
ワタワタとしている彼女。
大人びた雰囲気のいつもの彼女と違い年相応、いや年齢より幼い行動につい口許が緩む。
『蓮太郎。今絶対バカにしてますよね?』
『いや。可愛いなって思ってさ。ほら今まで僕が知っていた瑠奈ちゃんって大人びた印象が強かったからさ』
ジト目でこちらを見ている彼女に必死に弁明する。が、全然納得してくれて無いどころか日に油を注いでしまった様だ。
『それ普通に子供っぽいって言ってますからね。もう』
『ごめんよ。でも僕はこの通り君のことを何にも知らない。だからさ、これから知っていきたいと思った。良いかな?』
謝ると同時にこちらの要望を伝える。
もしかしたらこの共同生活はすぐに終わるのかも知らない。
それでも僕が。僕自身がこの1人の少女の事を知りたいと願ってしまっている。
『分かりました。私も蓮太郎さんに私の事を知ってもらいたいかもしれないですっ』
『ありがとう』
顔を真っ赤にしながらも。柔らかな笑みでこちらを見つめてくれている彼女。
(恥ずかしくなってつい、素っ気なく返しちゃった。みたいな顔してる)
これでようやく、お互いが素の自分で一歩相手に歩み寄ることが出来た。
『瑠奈ちゃん、この服変じゃ無いかな』
買い物へ出かける為に着替えたのだが、隣を歩く彼女から見てどうなのか...と心配になってしまった。
『変では無いんですけど...よく考えるとちゃんとした私服を見るの初めてですね?』
『確かに...パジャマとかは見られてるのにね...』
言われて気が付いたが、彼女の私服姿も初めてだったので、ついマジマジと見入ってしまう。
オーバーサイズの柔らかそうな生地の白いシャツはボタンを四つほど開けダボっと着崩し、胸元からはレース素材のキャミソールがチラ見え。それに黒のタイトスカートを合わせることで、大人っぽく見える。
モデル顔負けの彼女の可愛らしさとスタイルを充分に引き立てられている。
『あの...そんなに見られるとその、恥ずかしいですよ?』
『あっごめん。可愛くてね、つい過ぎちゃった』
『...........そうですか』
彼女に言われ慌てて弁明しようとしたが素直に伝える方が良いと思ったのだが、失敗してしまったようだ。
俯きプルプルと小刻みに震えてしまっている。
『その...本当ごめんね?』
『いえ、大丈夫です。蓮太郎さんもかっこいいですよっ』
『えっ、あ、ありがとう』
ご機嫌を取ろうと再度謝ると、途端に顔を上げた彼女から反撃をうけてしまった。
気持ち悪がられてるのかと思ったのだが、杞憂だったようだ
『蓮太郎さんは普段からそういう格好が多いんですか?』
彼女から質問されたところで、改めて自分の今の格好に目を向ける。
黒のチェフパンツと薄めのジャケットのセットアップの中にカーキの少し丈の長いTシャツ。これに黒の革靴を合わせるのだから面白みの無い格好をしている自覚はある。
『そーだね。基本今みたいにシンプルな服を合わせる感じかな』
『清潔感も落ち着きがあってとても良いと思いますよ』
優しい声に表情。心から思ってくれてるのだろう。
『柄とか入れてるお洒落な感じもやってみたいんだけどね』
『うーーーーん...』
蓮太郎が言い終えると瑠奈は顎に手を添え考え込む。おそらく柄シャツなどを着ている自分を想像しているのだろう。
『今のパンツになら控えめな柄シャツとかなら合いそうですね。今日一緒にショップ見てみましょう?』
『いいの?服選ぶの苦手だから助かるよ...』
『私に任せてください』
腰に手を当て、胸を張る姿の彼女からは自信のほどが窺える。これは期待して良いだろう。
『一緒に瑠奈ちゃんの仕事の服も見よっか』
『あっ。蓮太郎さんに汚されちゃったやつですね。お願いしますっ』
口角を釣り上げ、まるで獲物を見るかのような視線を向けられてしまう。弱肉強食。ついそんな言葉がよぎってしまう。
『.....ごめん』
成す術もなく、ただ謝り倒すのだつた。
『そういえばさ、瑠奈ちゃん朝から少し顔赤いけど体調悪かったりする?』
『えっ?』
朝食を用意してもらい、食べ始めたところで朝から気になっていた事を聞いてみたのだが気付いて無かったようだ。
顔をペチペチと何度も触っている。
『体調悪いなら今日僕一人...』
『大丈夫ですっ』
『そ、そうか』
彼女を心配し、口を開いたのだが食い気味にへんじをされてしまう。
『念のため後で熱測ってみますね?』
『うん』
朝食を摂り終え瑠奈が熱を測ると、平熱だったのでお互いに準備をして家を出るのだった。
***********************
私は起きてからずっと羞恥に苛まれている。
事の発端は遡ること2時間前目を覚ました時の事だ。
『え、何で蓮太郎さんの部屋?』
目を覚ますと、自分の部屋のモノとは違う天井。慌てて室内を見回すと部屋の隅に段ボールが積み重ねられ、机にノートパソコンが置かれているだけ。
何度見ても間違いなく蓮太郎に貸した部屋だ。
昨夜蓮太郎と挨拶を交わし、自室へと逃げ込む彼を見送ってから少しすると外国人の話し声がリビングまで聞こえて来た。
(映画見てるのかな?行ってみよう)
音量はここまで聞こえてくるけど、迷惑なほどでは無いがどうしても気になってしまう。
早足に彼の部屋までいき、ゆっくり扉を開くと蓮太郎は床に座り1人洋画をみていた。
(入っても怒られないよね...)
どうしても気になる。確認も取らず部屋へ押し入り彼の後ろで映画を鑑賞させてもらった。
その後は勿論気付かれて他にも映画を見せてもらうのだったが、その先の記憶がなく今に至る。
『寝顔...見られちゃったよね』
誰もいない部屋でつい言葉が漏れてしまう。
寝顔を見られた、これは乙女にとって一大事である。
交際相手や旦那さんにしか見せないその顔は本人ですら、どんなモノか分からない。故に良くない事ばかりが頭によぎってしまう。
つい、最悪ケース(涎を垂らして寝ている)を想像してしまいゲンナリと肩を落とす。
『幻滅されてないかな......』
今ここで考えていても埒が明かない。
怖いけど確認するしか方法が無いので、扉に手をかけリビングへと向かうのだった。
『おはよう、瑠奈ちゃん。よく寝れた?』
リビングの扉を開けると悩みのタネである蓮太郎に笑顔で出迎えられる。
『おはようございます。すいません。ベット占領してしまっ...』
『気にしないで。僕は大丈夫だから』
優しく、諭すように伝えてくれる。
その言葉が温かくて優しくて、更に申し訳なくなってしまう。
『それでその...私の寝顔変じゃなかったですか?』
『ん?』
善は急げと本題を口にしてしまうと、蓮太郎は首を傾げている。
私はこれから審判を受ける罪人の様な気分(想像)で彼を見つめることしか出来ない。
『寝顔...可愛かったよ?幼い印象が強かったな...』
『えっ?』
蓮太郎の言葉を受け、無意識に力を入れていた全身から一気に力が抜けていくのを感じる。
『そうですか...』
『うん?なんかあったの?』
『いえ、なんでもありません』
こちらの様子がおかしい事に気付き顔を覗き込む蓮太郎の視線から逃れ、ホッと一息付く。
『私先着替えて来ちゃいますね』
早口に告げ、返事も待たずに自室へ駆け込み、そのままの勢いでベットへダイブ。
(寝顔も可愛いって....もう)
そのまま1人数分間ベットの上で悶えてしまうのだった。
***********************
『瑠奈ちゃんもー出れる?』
持っていくものを用意し今日買うものリストのチェックを終え、洗面所で最終チェックをすると言っていた瑠奈へと声をかける。
『ごめんなさい、あと2分くださ~い』
(女の子は色々と大変だな...)
と、扉の向こうから慌ただしい返事を受け、つい笑みが溢れてしまう。
『お待たせしましたっ』
少し待つと、洗面所から瑠奈がぴょっんと飛び出し早足にこちらへ向かってくる。
『今日はよろしくね。行こうか』
『はいっ』
感謝を伝えると、笑顔で応えてくれた瑠奈を伴い家を出るのだった。
__________________________________
最後まで読んでいただきありがとうございます。
作者のモチベになりますので、よろしければお気に入り、コメントなどお待ちしております。
次回の更新、お待ちくださいませ。
『本当にごめんなさい』
蓮太郎が呟くと瑠奈が申し訳なさそうにこちらの様子を伺っている。
『大丈夫だよ。こちらこそごめんね。一人暮らしが長かったからついつい声に出ちゃうんだよね』
『痛いから声に出てるんですよ?もう本当に今日から気を付けますので.,.』
先ほどからこの有様である。
何度大丈夫と伝えても全然理解してくれていない。
一度納得してもらうのを諦め話題を変える。
『瑠奈ちゃんは映画好きなの?』
昨日の動画配信サービスへの食いつきが良かった。おそらく映画が好きなのだろうと思い聞いてみる。
『そーですね。観に行くのは好きじゃないですけど...映画は好きかもしれないです』
(?歯切れが悪いな)
『友達とかと見に行かないの?』
『行かないですね』
蓮太郎が口にすると瑠奈が抑揚もなく淡々と告げる。
昨日からこの手の話題になると淡々と、まるで他人のような受け答えをされてしまっている。
(最近の子は難しい...)
もうここに来て何度も思ったことだ。
それとも自分が瑠奈の地雷を踏み抜いているのかもしれない。
2年程、ほぼ毎日顔を合わせていたと言っても基本的には蓮太郎の話を聞いてくれていて、瑠奈の話を聞く機会は殆どなかった。
『瑠奈ちゃん。正直に言うと僕は君のことをあまり知らない。だから教えて欲しい。何が好きで何が嫌いなのか、どんな事が楽しくてつまらないのかを』
そこで一度言葉を区切る。
というより、区切らされてしまう。
瑠奈は蓮太郎の言葉を受け目を見開き、固まってしまっている。
(そんなに驚くことかな。瑠奈ちゃんの事を知りたい男なんて同じ学校に腐る程居るだろうに)
浮かんで来た疑問を内に押し留め、再度口を開く。
『だからさ、瑠奈ちゃんがどんな人なのかをこれから僕に教えてくれないかな。勿論無理にとは言わない』
言い終えて尚、瑠奈の時は止まったままだ。
『瑠奈ちゃん?』
『あっ、はい、すいません。驚いてしまって』
ワタワタとしている彼女。
大人びた雰囲気のいつもの彼女と違い年相応、いや年齢より幼い行動につい口許が緩む。
『蓮太郎。今絶対バカにしてますよね?』
『いや。可愛いなって思ってさ。ほら今まで僕が知っていた瑠奈ちゃんって大人びた印象が強かったからさ』
ジト目でこちらを見ている彼女に必死に弁明する。が、全然納得してくれて無いどころか日に油を注いでしまった様だ。
『それ普通に子供っぽいって言ってますからね。もう』
『ごめんよ。でも僕はこの通り君のことを何にも知らない。だからさ、これから知っていきたいと思った。良いかな?』
謝ると同時にこちらの要望を伝える。
もしかしたらこの共同生活はすぐに終わるのかも知らない。
それでも僕が。僕自身がこの1人の少女の事を知りたいと願ってしまっている。
『分かりました。私も蓮太郎さんに私の事を知ってもらいたいかもしれないですっ』
『ありがとう』
顔を真っ赤にしながらも。柔らかな笑みでこちらを見つめてくれている彼女。
(恥ずかしくなってつい、素っ気なく返しちゃった。みたいな顔してる)
これでようやく、お互いが素の自分で一歩相手に歩み寄ることが出来た。
『瑠奈ちゃん、この服変じゃ無いかな』
買い物へ出かける為に着替えたのだが、隣を歩く彼女から見てどうなのか...と心配になってしまった。
『変では無いんですけど...よく考えるとちゃんとした私服を見るの初めてですね?』
『確かに...パジャマとかは見られてるのにね...』
言われて気が付いたが、彼女の私服姿も初めてだったので、ついマジマジと見入ってしまう。
オーバーサイズの柔らかそうな生地の白いシャツはボタンを四つほど開けダボっと着崩し、胸元からはレース素材のキャミソールがチラ見え。それに黒のタイトスカートを合わせることで、大人っぽく見える。
モデル顔負けの彼女の可愛らしさとスタイルを充分に引き立てられている。
『あの...そんなに見られるとその、恥ずかしいですよ?』
『あっごめん。可愛くてね、つい過ぎちゃった』
『...........そうですか』
彼女に言われ慌てて弁明しようとしたが素直に伝える方が良いと思ったのだが、失敗してしまったようだ。
俯きプルプルと小刻みに震えてしまっている。
『その...本当ごめんね?』
『いえ、大丈夫です。蓮太郎さんもかっこいいですよっ』
『えっ、あ、ありがとう』
ご機嫌を取ろうと再度謝ると、途端に顔を上げた彼女から反撃をうけてしまった。
気持ち悪がられてるのかと思ったのだが、杞憂だったようだ
『蓮太郎さんは普段からそういう格好が多いんですか?』
彼女から質問されたところで、改めて自分の今の格好に目を向ける。
黒のチェフパンツと薄めのジャケットのセットアップの中にカーキの少し丈の長いTシャツ。これに黒の革靴を合わせるのだから面白みの無い格好をしている自覚はある。
『そーだね。基本今みたいにシンプルな服を合わせる感じかな』
『清潔感も落ち着きがあってとても良いと思いますよ』
優しい声に表情。心から思ってくれてるのだろう。
『柄とか入れてるお洒落な感じもやってみたいんだけどね』
『うーーーーん...』
蓮太郎が言い終えると瑠奈は顎に手を添え考え込む。おそらく柄シャツなどを着ている自分を想像しているのだろう。
『今のパンツになら控えめな柄シャツとかなら合いそうですね。今日一緒にショップ見てみましょう?』
『いいの?服選ぶの苦手だから助かるよ...』
『私に任せてください』
腰に手を当て、胸を張る姿の彼女からは自信のほどが窺える。これは期待して良いだろう。
『一緒に瑠奈ちゃんの仕事の服も見よっか』
『あっ。蓮太郎さんに汚されちゃったやつですね。お願いしますっ』
口角を釣り上げ、まるで獲物を見るかのような視線を向けられてしまう。弱肉強食。ついそんな言葉がよぎってしまう。
『.....ごめん』
成す術もなく、ただ謝り倒すのだつた。
『そういえばさ、瑠奈ちゃん朝から少し顔赤いけど体調悪かったりする?』
『えっ?』
朝食を用意してもらい、食べ始めたところで朝から気になっていた事を聞いてみたのだが気付いて無かったようだ。
顔をペチペチと何度も触っている。
『体調悪いなら今日僕一人...』
『大丈夫ですっ』
『そ、そうか』
彼女を心配し、口を開いたのだが食い気味にへんじをされてしまう。
『念のため後で熱測ってみますね?』
『うん』
朝食を摂り終え瑠奈が熱を測ると、平熱だったのでお互いに準備をして家を出るのだった。
***********************
私は起きてからずっと羞恥に苛まれている。
事の発端は遡ること2時間前目を覚ました時の事だ。
『え、何で蓮太郎さんの部屋?』
目を覚ますと、自分の部屋のモノとは違う天井。慌てて室内を見回すと部屋の隅に段ボールが積み重ねられ、机にノートパソコンが置かれているだけ。
何度見ても間違いなく蓮太郎に貸した部屋だ。
昨夜蓮太郎と挨拶を交わし、自室へと逃げ込む彼を見送ってから少しすると外国人の話し声がリビングまで聞こえて来た。
(映画見てるのかな?行ってみよう)
音量はここまで聞こえてくるけど、迷惑なほどでは無いがどうしても気になってしまう。
早足に彼の部屋までいき、ゆっくり扉を開くと蓮太郎は床に座り1人洋画をみていた。
(入っても怒られないよね...)
どうしても気になる。確認も取らず部屋へ押し入り彼の後ろで映画を鑑賞させてもらった。
その後は勿論気付かれて他にも映画を見せてもらうのだったが、その先の記憶がなく今に至る。
『寝顔...見られちゃったよね』
誰もいない部屋でつい言葉が漏れてしまう。
寝顔を見られた、これは乙女にとって一大事である。
交際相手や旦那さんにしか見せないその顔は本人ですら、どんなモノか分からない。故に良くない事ばかりが頭によぎってしまう。
つい、最悪ケース(涎を垂らして寝ている)を想像してしまいゲンナリと肩を落とす。
『幻滅されてないかな......』
今ここで考えていても埒が明かない。
怖いけど確認するしか方法が無いので、扉に手をかけリビングへと向かうのだった。
『おはよう、瑠奈ちゃん。よく寝れた?』
リビングの扉を開けると悩みのタネである蓮太郎に笑顔で出迎えられる。
『おはようございます。すいません。ベット占領してしまっ...』
『気にしないで。僕は大丈夫だから』
優しく、諭すように伝えてくれる。
その言葉が温かくて優しくて、更に申し訳なくなってしまう。
『それでその...私の寝顔変じゃなかったですか?』
『ん?』
善は急げと本題を口にしてしまうと、蓮太郎は首を傾げている。
私はこれから審判を受ける罪人の様な気分(想像)で彼を見つめることしか出来ない。
『寝顔...可愛かったよ?幼い印象が強かったな...』
『えっ?』
蓮太郎の言葉を受け、無意識に力を入れていた全身から一気に力が抜けていくのを感じる。
『そうですか...』
『うん?なんかあったの?』
『いえ、なんでもありません』
こちらの様子がおかしい事に気付き顔を覗き込む蓮太郎の視線から逃れ、ホッと一息付く。
『私先着替えて来ちゃいますね』
早口に告げ、返事も待たずに自室へ駆け込み、そのままの勢いでベットへダイブ。
(寝顔も可愛いって....もう)
そのまま1人数分間ベットの上で悶えてしまうのだった。
***********************
『瑠奈ちゃんもー出れる?』
持っていくものを用意し今日買うものリストのチェックを終え、洗面所で最終チェックをすると言っていた瑠奈へと声をかける。
『ごめんなさい、あと2分くださ~い』
(女の子は色々と大変だな...)
と、扉の向こうから慌ただしい返事を受け、つい笑みが溢れてしまう。
『お待たせしましたっ』
少し待つと、洗面所から瑠奈がぴょっんと飛び出し早足にこちらへ向かってくる。
『今日はよろしくね。行こうか』
『はいっ』
感謝を伝えると、笑顔で応えてくれた瑠奈を伴い家を出るのだった。
__________________________________
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