11 / 33
11
「僕がサーカス団に入っていたのは八年前なんです。そこの団はもう解散してしまいました。」
「そうか…。分からないか。」
ラザウェル様はがっかりしている。
「そこのサーカスの団長はトゥノク、と言いましたね?」
「あぁ。申請書を見てきた。」
オズベルト様が答えた。
「他に何かサーカス団に繋がる情報はありますか?」
「特にないが…。そうだ。」
ラザウェル様が胸ポケットの内側から紙を取り出した。虹色に光るキレイな紙だ。ラザウェル様の大きな手のひらによりも二回りほど小さい。
「これはサーカスのチケットの半券だ。」
虹色の紙は長方形で片側に破った跡がある。ピエロやゾウやライオンの可愛い絵が印刷されていた。カナン様が裏返したり、明かりにすかしたりしてじっと見ている。
「ビンセント、これ。」
「あぁ。」
二人はチケットの裏側に興味があるようだ。表は虹色で可愛い絵が印刷してあるが、裏側は白黒の文字だけだ。サーカスの説明と注意事項が簡単に書いてある。
「リト様は夜中にうなされることがあるんですね?」
「あぁ。」
「ラザウェル様、これは『夢魔』の仕業かもしれません。」
「「「『夢魔』?」」」
むまって何?食べ物?あ、僕だけ知らない?
「ルーファス、『夢魔』だよ。その土地土地でいろんな姿形をしていて、性質も違う。淫魔、と言われることもあるし、東の国では悪夢を見せたり、夢を食べたりすると言われているんだ。」
え?怖い。それがリト様に取り憑いているの?
僕は震え上がってレオナルド様にしがみついた。レオナルド様は優しく抱きしめて頭を撫でてくれる。
「トゥノクは東の国の言葉で獏を意味するんです。」
「獏?」
「はい。獏は夢を食べると言われている動物です。それがほらここに…。」
カナン様はチケットの裏側をみんなに見せた。端に小さな動物の絵が描かれている。
「これが獏?」
「そう。」
「どうやったら目覚める?」
「もし本当に夢魔のせいなら食べられたり取られたりした夢を返してもらうか、夢魔を退治するか。あとはどこかに夢魔が取り憑いている痕跡があるはずです。」
「よし分かった。すぐにグリーンレイクに戻ろう。」
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「旦那、早い出航ですね。」
「急がせてすまない。金はいくらかかっても良い。」
「了解しました!」
操舵手のサウルさんだ。急いで船員さんをかき集めてくれた。
カナン様とビンセント先生は船を買ったことに驚いている。
僕も驚きましたよ。
「料理は僕も手伝っているんです。」
厨房でカナン様と食事の準備を始めた。
ジンさんが魚の下処理をしてくれたのでそれを使う。
「カナン様は料理も作れるんですね。」
「任せてくれ!」
僕はパンの担当だ。薄切りにしたパンにトマトとチーズ、ハム、バジルの葉挟んでフライパンで焼く。重石で押し付けて焼くとパンがカリカリして美味しい。宿の女将さんに教えてもらったレシピだ。
カナン様は大鍋に魚や野菜を入れている。自分の鞄から葉っぱを取り出して入れていた。何を作っているのかな?
出来上がった料理を見て青くなった。
何か、その、控えめに言って泥だ。
カナン様の作る煎じ薬を思い出した。
テーブルに出されたカナン様の料理を見てみんなも無言になってしまった。
「カナン、こ、この料理は?」
「魚の薬膳スープです。身体に良いですよ。」
見た目はちょっとアレだけど味は良いかもしれない。
僕たちは意を決してひと口食べてみた。
………見た通りの味だった。
その後、カナン様は二度と厨房に入れてもらえなかった。
「ルーファス、セックスしたい…。死んじゃう。」
「ダメです。エルーナに戻ったらしましょう。」
あと二日でエルーナに着く予定だ。
僕は船の旅が気に入ったけどレオナルド様は辛いみたい。
今日もベッドの中で硬いアレを押し付けてくる。
「じゃあ乳首…。」
「ダメです。」
「エルーナに戻ったらエッチなこといっぱいしても良い?」
「え…はい。例えば?」
「ん?ルーファスの身体にハチミツを垂らして舐めたり、ルーファスの精子をコップにたくさん出して、それを飲みながらセックスして中に射精したり…。まだまだいっぱいあるよ。」
ははは…。聞かなければ良かった。
何とか宥めて寝てもらった。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
エルーナ港に着いて船員さんとお別れする。いろんな美味しい料理を教えてもらった。
リト様が元気になったら食べてもらうぞ!
今日はそのままエルーナの別荘に泊まり、明日グリーンレイクに出発する。
「ルーファス…。やっとだね。」
「は、はい…。」
こ、怖い。目がギラギラしてる。
「今日はこれを着て?」
渡された布を広げた。
あ、オズベルト様がくれた寝巻きだ。透け透け…。
観念した僕は服を脱いで寝巻きに着替えようとした。
「ここで脱いだら…!ダメだよ!」
「あっ!レオナルド様⁉︎」
ガバッと飛び掛かってきたレオナルド様にあっという間に脱がされる。あの寝巻きを着ることなく押し倒されてしまった。
「はぁはぁ、もう、私の奥さんはすぐに夫を誘惑するんだから。」
「あ、これは?」
寝巻きを見せるが、後でと言われてベッドの下に放り投げられた。
「ルーファス、何てエッチなんだ!朝までお仕置きだよ!」
「えーーっ?何でですか?」
「夫をこんなに骨抜きにして、メロメロにして。許さないよ!ちゃんと責任とってね。」
そんな~。レオナルド様が性欲魔獣なんですよ~。
朝までお仕置きされてしまった。
冤罪です!
「そうか…。分からないか。」
ラザウェル様はがっかりしている。
「そこのサーカスの団長はトゥノク、と言いましたね?」
「あぁ。申請書を見てきた。」
オズベルト様が答えた。
「他に何かサーカス団に繋がる情報はありますか?」
「特にないが…。そうだ。」
ラザウェル様が胸ポケットの内側から紙を取り出した。虹色に光るキレイな紙だ。ラザウェル様の大きな手のひらによりも二回りほど小さい。
「これはサーカスのチケットの半券だ。」
虹色の紙は長方形で片側に破った跡がある。ピエロやゾウやライオンの可愛い絵が印刷されていた。カナン様が裏返したり、明かりにすかしたりしてじっと見ている。
「ビンセント、これ。」
「あぁ。」
二人はチケットの裏側に興味があるようだ。表は虹色で可愛い絵が印刷してあるが、裏側は白黒の文字だけだ。サーカスの説明と注意事項が簡単に書いてある。
「リト様は夜中にうなされることがあるんですね?」
「あぁ。」
「ラザウェル様、これは『夢魔』の仕業かもしれません。」
「「「『夢魔』?」」」
むまって何?食べ物?あ、僕だけ知らない?
「ルーファス、『夢魔』だよ。その土地土地でいろんな姿形をしていて、性質も違う。淫魔、と言われることもあるし、東の国では悪夢を見せたり、夢を食べたりすると言われているんだ。」
え?怖い。それがリト様に取り憑いているの?
僕は震え上がってレオナルド様にしがみついた。レオナルド様は優しく抱きしめて頭を撫でてくれる。
「トゥノクは東の国の言葉で獏を意味するんです。」
「獏?」
「はい。獏は夢を食べると言われている動物です。それがほらここに…。」
カナン様はチケットの裏側をみんなに見せた。端に小さな動物の絵が描かれている。
「これが獏?」
「そう。」
「どうやったら目覚める?」
「もし本当に夢魔のせいなら食べられたり取られたりした夢を返してもらうか、夢魔を退治するか。あとはどこかに夢魔が取り憑いている痕跡があるはずです。」
「よし分かった。すぐにグリーンレイクに戻ろう。」
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「旦那、早い出航ですね。」
「急がせてすまない。金はいくらかかっても良い。」
「了解しました!」
操舵手のサウルさんだ。急いで船員さんをかき集めてくれた。
カナン様とビンセント先生は船を買ったことに驚いている。
僕も驚きましたよ。
「料理は僕も手伝っているんです。」
厨房でカナン様と食事の準備を始めた。
ジンさんが魚の下処理をしてくれたのでそれを使う。
「カナン様は料理も作れるんですね。」
「任せてくれ!」
僕はパンの担当だ。薄切りにしたパンにトマトとチーズ、ハム、バジルの葉挟んでフライパンで焼く。重石で押し付けて焼くとパンがカリカリして美味しい。宿の女将さんに教えてもらったレシピだ。
カナン様は大鍋に魚や野菜を入れている。自分の鞄から葉っぱを取り出して入れていた。何を作っているのかな?
出来上がった料理を見て青くなった。
何か、その、控えめに言って泥だ。
カナン様の作る煎じ薬を思い出した。
テーブルに出されたカナン様の料理を見てみんなも無言になってしまった。
「カナン、こ、この料理は?」
「魚の薬膳スープです。身体に良いですよ。」
見た目はちょっとアレだけど味は良いかもしれない。
僕たちは意を決してひと口食べてみた。
………見た通りの味だった。
その後、カナン様は二度と厨房に入れてもらえなかった。
「ルーファス、セックスしたい…。死んじゃう。」
「ダメです。エルーナに戻ったらしましょう。」
あと二日でエルーナに着く予定だ。
僕は船の旅が気に入ったけどレオナルド様は辛いみたい。
今日もベッドの中で硬いアレを押し付けてくる。
「じゃあ乳首…。」
「ダメです。」
「エルーナに戻ったらエッチなこといっぱいしても良い?」
「え…はい。例えば?」
「ん?ルーファスの身体にハチミツを垂らして舐めたり、ルーファスの精子をコップにたくさん出して、それを飲みながらセックスして中に射精したり…。まだまだいっぱいあるよ。」
ははは…。聞かなければ良かった。
何とか宥めて寝てもらった。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
エルーナ港に着いて船員さんとお別れする。いろんな美味しい料理を教えてもらった。
リト様が元気になったら食べてもらうぞ!
今日はそのままエルーナの別荘に泊まり、明日グリーンレイクに出発する。
「ルーファス…。やっとだね。」
「は、はい…。」
こ、怖い。目がギラギラしてる。
「今日はこれを着て?」
渡された布を広げた。
あ、オズベルト様がくれた寝巻きだ。透け透け…。
観念した僕は服を脱いで寝巻きに着替えようとした。
「ここで脱いだら…!ダメだよ!」
「あっ!レオナルド様⁉︎」
ガバッと飛び掛かってきたレオナルド様にあっという間に脱がされる。あの寝巻きを着ることなく押し倒されてしまった。
「はぁはぁ、もう、私の奥さんはすぐに夫を誘惑するんだから。」
「あ、これは?」
寝巻きを見せるが、後でと言われてベッドの下に放り投げられた。
「ルーファス、何てエッチなんだ!朝までお仕置きだよ!」
「えーーっ?何でですか?」
「夫をこんなに骨抜きにして、メロメロにして。許さないよ!ちゃんと責任とってね。」
そんな~。レオナルド様が性欲魔獣なんですよ~。
朝までお仕置きされてしまった。
冤罪です!
あなたにおすすめの小説
当たり前の幸せ
ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。
初投稿なので色々矛盾などご容赦を。
ゆっくり更新します。
すみません名前変えました。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
白金の花嫁は将軍の希望の花
葉咲透織
BL
義妹の身代わりでボルカノ王国に嫁ぐことになったレイナール。女好きのボルカノ王は、男である彼を受け入れず、そのまま若き将軍・ジョシュアに下げ渡す。彼の屋敷で過ごすうちに、ジョシュアに惹かれていくレイナールには、ある秘密があった。
※個人ブログにも投稿済みです。
【完結】選ばれない僕の生きる道
谷絵 ちぐり
BL
三度、婚約解消された僕。
選ばれない僕が幸せを選ぶ話。
※地名などは架空(と作者が思ってる)のものです
※設定は独自のものです
※Rシーンを追加した加筆修正版をムーンライトノベルズに掲載しています。
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
完結しました!ありがとうございました。
金の野獣と薔薇の番
むー
BL
結季には記憶と共に失った大切な約束があった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
止むを得ない事情で全寮制の学園の高等部に編入した結季。
彼は事故により7歳より以前の記憶がない。
高校進学時の検査でオメガ因子が見つかるまでベータとして養父母に育てられた。
オメガと判明したがフェロモンが出ることも発情期が来ることはなかった。
ある日、編入先の学園で金髪金眼の皇貴と出逢う。
彼の纒う薔薇の香りに発情し、結季の中のオメガが開花する。
その薔薇の香りのフェロモンを纏う皇貴は、全ての性を魅了し学園の頂点に立つアルファだ。
来るもの拒まずで性に奔放だが、番は持つつもりはないと公言していた。
皇貴との出会いが、少しずつ結季のオメガとしての運命が動き出す……?
4/20 本編開始。
『至高のオメガとガラスの靴』と同じ世界の話です。
(『至高の〜』完結から4ヶ月後の設定です。)
※シリーズものになっていますが、どの物語から読んでも大丈夫です。
【至高のオメガとガラスの靴】
↓
【金の野獣と薔薇の番】←今ココ
↓
【魔法使いと眠れるオメガ】
【完結】end roll.〜あなたの最期に、俺はいましたか〜
みやの
BL
ーー……俺は、本能に殺されたかった。
自分で選び、番になった恋人を事故で亡くしたオメガ・要。
残されたのは、抜け殻みたいな体と、二度と戻らない日々への悔いだけだった。
この世界には、生涯に一度だけ「本当の番」がいる――
そう信じられていても、要はもう「運命」なんて言葉を信じることができない。
亡くした番の記憶と、本能が求める現在のあいだで引き裂かれながら、
それでも生きてしまうΩの物語。
痛くて、残酷なラブストーリー。
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。