運命には抗えない〜第二幕〜

みこと

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「僕がサーカス団に入っていたのは八年前なんです。そこの団はもう解散してしまいました。」

「そうか…。分からないか。」

ラザウェル様はがっかりしている。

「そこのサーカスの団長はトゥノク、と言いましたね?」

「あぁ。申請書を見てきた。」

オズベルト様が答えた。

「他に何かサーカス団に繋がる情報はありますか?」

「特にないが…。そうだ。」

ラザウェル様が胸ポケットの内側から紙を取り出した。虹色に光るキレイな紙だ。ラザウェル様の大きな手のひらによりも二回りほど小さい。

「これはサーカスのチケットの半券だ。」

虹色の紙は長方形で片側に破った跡がある。ピエロやゾウやライオンの可愛い絵が印刷されていた。カナン様が裏返したり、明かりにすかしたりしてじっと見ている。

「ビンセント、これ。」

「あぁ。」

二人はチケットの裏側に興味があるようだ。表は虹色で可愛い絵が印刷してあるが、裏側は白黒の文字だけだ。サーカスの説明と注意事項が簡単に書いてある。

「リト様は夜中にうなされることがあるんですね?」

「あぁ。」

「ラザウェル様、これは『夢魔』の仕業かもしれません。」

「「「『夢魔』?」」」

むまって何?食べ物?あ、僕だけ知らない?

「ルーファス、『夢魔』だよ。その土地土地でいろんな姿形をしていて、性質も違う。淫魔、と言われることもあるし、東の国では悪夢を見せたり、夢を食べたりすると言われているんだ。」

え?怖い。それがリト様に取り憑いているの?
僕は震え上がってレオナルド様にしがみついた。レオナルド様は優しく抱きしめて頭を撫でてくれる。

「トゥノクは東の国の言葉で獏を意味するんです。」

「獏?」

「はい。獏は夢を食べると言われている動物です。それがほらここに…。」

カナン様はチケットの裏側をみんなに見せた。端に小さな動物の絵が描かれている。

「これが獏?」

「そう。」

「どうやったら目覚める?」

「もし本当に夢魔のせいなら食べられたり取られたりした夢を返してもらうか、夢魔を退治するか。あとはどこかに夢魔が取り憑いている痕跡があるはずです。」

「よし分かった。すぐにグリーンレイクに戻ろう。」


♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


「旦那、早い出航ですね。」

「急がせてすまない。金はいくらかかっても良い。」

「了解しました!」

操舵手のサウルさんだ。急いで船員さんをかき集めてくれた。
カナン様とビンセント先生は船を買ったことに驚いている。
僕も驚きましたよ。

「料理は僕も手伝っているんです。」

厨房でカナン様と食事の準備を始めた。
ジンさんが魚の下処理をしてくれたのでそれを使う。

「カナン様は料理も作れるんですね。」

「任せてくれ!」

僕はパンの担当だ。薄切りにしたパンにトマトとチーズ、ハム、バジルの葉挟んでフライパンで焼く。重石で押し付けて焼くとパンがカリカリして美味しい。宿の女将さんに教えてもらったレシピだ。
カナン様は大鍋に魚や野菜を入れている。自分の鞄から葉っぱを取り出して入れていた。何を作っているのかな?

出来上がった料理を見て青くなった。
何か、その、控えめに言って泥だ。
カナン様の作る煎じ薬を思い出した。

テーブルに出されたカナン様の料理を見てみんなも無言になってしまった。

「カナン、こ、この料理は?」

「魚の薬膳スープです。身体に良いですよ。」

見た目はちょっとアレだけど味は良いかもしれない。
僕たちは意を決してひと口食べてみた。

………見た通りの味だった。

その後、カナン様は二度と厨房に入れてもらえなかった。






「ルーファス、セックスしたい…。死んじゃう。」

「ダメです。エルーナに戻ったらしましょう。」

あと二日でエルーナに着く予定だ。
僕は船の旅が気に入ったけどレオナルド様は辛いみたい。
今日もベッドの中で硬いアレを押し付けてくる。

「じゃあ乳首…。」

「ダメです。」

「エルーナに戻ったらエッチなこといっぱいしても良い?」

「え…はい。例えば?」

「ん?ルーファスの身体にハチミツを垂らして舐めたり、ルーファスの精子をコップにたくさん出して、それを飲みながらセックスして中に射精したり…。まだまだいっぱいあるよ。」

ははは…。聞かなければ良かった。
何とか宥めて寝てもらった。


♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


エルーナ港に着いて船員さんとお別れする。いろんな美味しい料理を教えてもらった。
リト様が元気になったら食べてもらうぞ!
今日はそのままエルーナの別荘に泊まり、明日グリーンレイクに出発する。


「ルーファス…。やっとだね。」

「は、はい…。」 

こ、怖い。目がギラギラしてる。

「今日はこれを着て?」

渡された布を広げた。
あ、オズベルト様がくれた寝巻きだ。透け透け…。
観念した僕は服を脱いで寝巻きに着替えようとした。

「ここで脱いだら…!ダメだよ!」

「あっ!レオナルド様⁉︎」

ガバッと飛び掛かってきたレオナルド様にあっという間に脱がされる。あの寝巻きを着ることなく押し倒されてしまった。

「はぁはぁ、もう、私の奥さんはすぐに夫を誘惑するんだから。」

「あ、これは?」

寝巻きを見せるが、後でと言われてベッドの下に放り投げられた。

「ルーファス、何てエッチなんだ!朝までお仕置きだよ!」

「えーーっ?何でですか?」

「夫をこんなに骨抜きにして、メロメロにして。許さないよ!ちゃんと責任とってね。」

そんな~。レオナルド様が性欲魔獣なんですよ~。
朝までお仕置きされてしまった。
冤罪です!
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