反転の書〜異界の扉が開いた現実世界を生きるという事

Fragment Weaver

文字の大きさ
34 / 118
第12章

採石場の魔女

しおりを挟む





その黒い門の前にはこちらに背を向けたまま影法師のように佇んでいる一つの人影があった。
ここまでの道のりで誰とも出会わなかっただけに、少しばかり躊躇しながらも恐る恐る歩を進めると、やがてこちらの気配に気付いたのかその影法師がこちらの方を向くと声を掛けてきた。
「案内人は無事務めを果たしたようですね。再び会えるこの時を長いこと待ち侘びておりました」

吸い込まれるような無音で満ちたこの広場にあって彼女の声はやけにハッキリと耳に残った。
彼女の額にも三本の角が煌びやかに輝いていたが、一つ一つは小指の先程の小さな紫色のもので角というよりも額飾りといった方がしっくりくる形状だった。

その声に聞き覚えがあるような気がして顔を改めて確認するが誰かは思い出せない。

「君は?此処で何を?」

しかし彼女はこちらの質問には答えず何処かホッとした面持ちでこちらの顔を見つめて来る。

「もうお気付きでしょう?」

「?」

「あなたは死んだのです」

彼女は僅かに微笑みながらそう告げた。

その声は冷ややかで、けれど何故か遠足当日を待ち侘びている子供のように
何処か浮かれているような無邪気な様子だった。
その様子に何処か薄気味の悪さを感じて、少し腰が引き気味になる。
「き、聞き間違いかな?それとも何かの冗談?」

「まさか、私が嘘をつくとでも?」

「いや、そもそも初対面で急にそんな事を言われても…」

「初対面ですって?」
彼女は急に呆れたような声を上げる。

「私の事を忘れてしまったのですか?」

そんな事を急に言われても見当がつかない。

「悪いけど思い出せないんだ…」
少しバツが悪くなる。
「そうですか…残念です。ならば、私は自身に課せられた本来の役目を粛々と全うしましょう」

「役目…?君は一体何者なんだ?」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...