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宇宙からの新参者
未知の病
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ーーー星は遠くから眺めてこそ美しい。
家にある光学望遠鏡から覗いて見るぐらいが丁度良い。
かつて宇宙が大好きだった少年は成長し、いつからかそう思うようになっていた。
輝く星々の瞬きも、神秘的に見えるのは遠くから眺めている間だけ。
近寄ればそこにあるのは鉱石や岩石、またはガスや氷や土塊だったりする。
近くから見てもそこに遠くから眺めていた頃の面影は何処にもありはしない。
かつて未知のヴェールで覆われ神話の世界でしかなかった星空の神秘も、人類の叡智の結晶たる最先端科学の前においては無惨に砕け散るのである。
今ではネットの情報は昔より更に均一化し、一般人でも危険の無い分野であればAI検索で効率的に教育機関のデータベースから膨大な専門知を引き出す事が出来るようになっている。
彼はかつて初めてネットへのアクセスが許される年齢に達した日、自らの知る世界が一瞬で崩壊する音を確かに聞いた。
だが、
突如夕暮れの空が突如明るく照らし出される。
一瞬のうちに轟音と共に飛来した火球が遥か前方に落下し、衝撃と共に数メートル身体が吹き飛ばされて
命からがら瓦礫の中で意識を取り戻し立ち上がった彼の前には
巨大なクレーターが空き、その中心には明らかに自然のものでは無さそうな丸みを帯びた近くに転がっている乗用車の倍ほどの大きさの奇妙な物体が在った。
周囲は灼け爛れ、焦げ臭い匂いが充満している。
周囲の生存者達の中にはその存在に気付き恐る恐るといった感じで近づくもの達もいる。
と、その時
虫の羽音を増幅したらそうなるだろうというような
鈍い振動音がしばらく鳴り響き、そしてぱたりと音が無くなる。
戸惑いながら、なおも様子を眺めていると
その奇岩に最も近寄っていた男の様子に異変が起き始める。
やがて、その男の身体に斑点模様が急速に広がり始め、
崩れ落ちるように倒れたかと思うと、異様な速度で身体が膨張を始め、身体の内側から変異し突き出た器官が姿を現わすと、瞬く間に
その男だった者の痙攣する身体の外皮を覆い尽くし、気が付けば節足動物のような外殻に包まれた4足の生物と成っていた。
あまりにも異様で、しかも数分の内に男が異形と化したので周囲はパニックに見舞われた。
その光景を見ながら彼もまた混乱の只中にあった。
(この地球上にはもはや未知の生物など居ないはずだ)
細菌であれ、ウイルスであれ、あのような症状は見た事も聞いた事もない。
あの人々の症状は地球で知られているどの病や疾患とも異なる。
ウイルスや微生物等を原因とする重篤な免疫系疾患への対策としての遺伝子治療は既に各国に義務付けられて久しい。
定期的なワクチン接種と組み合わせる事で人類は数少ない先天性の難病等を除けば病を克服したはずだった。
そうしている間にも一人、また一人と人間が最初の男と同じような発作を起こし、やがて彼自身も発作に見舞われる。
ーーーかつて私はこの世に神秘などありはしないと思い知らされたのである。未踏の地は暴かれ、生命の神秘も調べ尽くされ未知のヴェールは剥ぎ取られた。
しかし、今ここにあまりにも想像を超えた不可解な現象を目の当たりにして彼は頭の片隅でこう思っていた。
ーーーああ、この世に生命の神秘はあったのだ、と。
家にある光学望遠鏡から覗いて見るぐらいが丁度良い。
かつて宇宙が大好きだった少年は成長し、いつからかそう思うようになっていた。
輝く星々の瞬きも、神秘的に見えるのは遠くから眺めている間だけ。
近寄ればそこにあるのは鉱石や岩石、またはガスや氷や土塊だったりする。
近くから見てもそこに遠くから眺めていた頃の面影は何処にもありはしない。
かつて未知のヴェールで覆われ神話の世界でしかなかった星空の神秘も、人類の叡智の結晶たる最先端科学の前においては無惨に砕け散るのである。
今ではネットの情報は昔より更に均一化し、一般人でも危険の無い分野であればAI検索で効率的に教育機関のデータベースから膨大な専門知を引き出す事が出来るようになっている。
彼はかつて初めてネットへのアクセスが許される年齢に達した日、自らの知る世界が一瞬で崩壊する音を確かに聞いた。
だが、
突如夕暮れの空が突如明るく照らし出される。
一瞬のうちに轟音と共に飛来した火球が遥か前方に落下し、衝撃と共に数メートル身体が吹き飛ばされて
命からがら瓦礫の中で意識を取り戻し立ち上がった彼の前には
巨大なクレーターが空き、その中心には明らかに自然のものでは無さそうな丸みを帯びた近くに転がっている乗用車の倍ほどの大きさの奇妙な物体が在った。
周囲は灼け爛れ、焦げ臭い匂いが充満している。
周囲の生存者達の中にはその存在に気付き恐る恐るといった感じで近づくもの達もいる。
と、その時
虫の羽音を増幅したらそうなるだろうというような
鈍い振動音がしばらく鳴り響き、そしてぱたりと音が無くなる。
戸惑いながら、なおも様子を眺めていると
その奇岩に最も近寄っていた男の様子に異変が起き始める。
やがて、その男の身体に斑点模様が急速に広がり始め、
崩れ落ちるように倒れたかと思うと、異様な速度で身体が膨張を始め、身体の内側から変異し突き出た器官が姿を現わすと、瞬く間に
その男だった者の痙攣する身体の外皮を覆い尽くし、気が付けば節足動物のような外殻に包まれた4足の生物と成っていた。
あまりにも異様で、しかも数分の内に男が異形と化したので周囲はパニックに見舞われた。
その光景を見ながら彼もまた混乱の只中にあった。
(この地球上にはもはや未知の生物など居ないはずだ)
細菌であれ、ウイルスであれ、あのような症状は見た事も聞いた事もない。
あの人々の症状は地球で知られているどの病や疾患とも異なる。
ウイルスや微生物等を原因とする重篤な免疫系疾患への対策としての遺伝子治療は既に各国に義務付けられて久しい。
定期的なワクチン接種と組み合わせる事で人類は数少ない先天性の難病等を除けば病を克服したはずだった。
そうしている間にも一人、また一人と人間が最初の男と同じような発作を起こし、やがて彼自身も発作に見舞われる。
ーーーかつて私はこの世に神秘などありはしないと思い知らされたのである。未踏の地は暴かれ、生命の神秘も調べ尽くされ未知のヴェールは剥ぎ取られた。
しかし、今ここにあまりにも想像を超えた不可解な現象を目の当たりにして彼は頭の片隅でこう思っていた。
ーーーああ、この世に生命の神秘はあったのだ、と。
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