赤ちゃん魔王様は日々苦労している

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第零章 異世界の起源

これは序章に過ぎない

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 約八千年前……

『惑星アース』、この星では、四種族が、互いに干渉し合う事なく、平和に生息していた。
 人間の大陸『ハーバス』、天使の大陸『アミロイド』、精霊の大陸『ジストロ』、魔族の大陸『カリアス』
 だが……一つの種族が、永きに続いた平和を崩壊させた。

 その種族……人間である。
 否、一人の人間によってである。

 その男は、今ある平和を破壊する『禁忌の領域』に足を踏み入れてしまった。
 この力が、世界を破滅へと導くとも知らずに。
 人間がこの力を利用しない訳がない。

 言い忘れていた事がある。
 三種族は争い事が一切無く、平和に暮らしていた。
 だが……人類は違った。

 人は弱く、醜い種族であった。
 人間同士は常に争っていた。
 土地、金、食料などを巡り、日々殺し合いをしていた。

 干渉し合う事なく、平和に暮らしていた?
 違う。
 多種族に向ける力、余裕などが一切無かったのだ。

 争い事を好む種族が、強大な力を手にすればどうなる?
 答えは一つ。
 その力を利用し、戦争をする。
 自分達が手にしていない物を他者が持っていたらどうするか?
 力尽くでも奪う。

 人間とは、その様な生き物である。

 話を戻そう。
 禁忌の領域に踏み込んでしまった、男の強大な力。
 その強大な力は一つしか存在しない。
 これをどうするか?

 人間は考えた。
 永きに渡って考えた。
 人という存在は不思議な生物だ。
 他者を貶める事に限って、自ら協力するものだ。
 その間、争い事は皆無となった。

 本当に不思議な生き物だ。

 力を手に入れた男の話をしよう。
 彼はとても優しい人間だった。
 彼は弟と二人で平和に暮らしていた。
 彼の親は戦争に行き、そのまま帰って来なかった。

 だがある時、強大な力を手にしてしまった。
 そんな力を放って置く程、周りの人間はバカで無かった。

 人間の王は、彼に多種族に戦争を仕掛けてこい、と命令した。
 戦争で親を無くし、一人の大切な弟の事を考え、断った。
 だが……王は、簡単に諦める筈も無く、命令し続けた。
 それでも断り続ける男であったが、戦いに行かなければならなくなった。

 次に断ったら、お前の弟を殺す。
 そう言われたのだ。
 男の力を持ってすれば、王を簡単に殺す事など、容易かった。

 何故殺さなかったのか?
 出来なかったのである。
 目の前で弟が人質に囚われていたのである。

 男は悔しかった筈だ。
 自分のせいで、愛する弟が命の危険に晒されている。
 怒りをぐっと堪え、命令に従った。

 そして、三種族に戦争を仕掛けた。
 涙を流しながら、戦い続けた。
 何故、戦わなければならないのか?
 全てはこの力のせいだ。
 こんな力さえ無ければ、弟と二人で平和に暮らせた。

 そんな事を考えながら……戦い続けた。
 こんな事になってしまった、元凶となる力を使って……

 そして男は、こう考える様になった。
 囚われている弟を救い出そうと。

 すぐさま行動に移し、ハーバス人間の大陸に向かったが……
 弟はもうこの世に居ないと告げられた……

 怒り狂った男は、全てを恨んだ。
 男が次に取った行動はたった一つだ。

 全てを滅ぼした。
 人間、文明、住んでいた家も含め全て……

 男は泣かなかった。
 いや泣けなかった。
 涙など、とうの昔に枯れていた。
 それ程、戦うのが嫌だったのである。

 全ては弟の為。

 全ては平和の為。

 だが……望んだ物は何一つ手に出来なかった。
 残ったのは、力だけだった。

「こんな力……もう必要ない……」

 その後、男は静かに消えた。

 人類は滅んだ……かと思われたが、途轍もなく執念深い生き物だった。

 一つの強大な力は失った……
 何故一つしかないのか?
 そもそも何故あの男なのか? 
 人間は考えに、考えた。
 そして一つの答えを導き出した。

 自ら『禁忌の領域』に足を踏み込んだらいい。

 この考えが功を奏し、何人いや何十人と長年、足を踏み込み続けた。
 こうなったらあの男はもう要らない。
 そうなれば、弟も要らない。

 こうして、不幸が不幸を呼び、絶滅仕掛けたのだ。
 人間とは愚かで、自分さえ良ければ良いという存在なのだ……

『禁忌の領域』に踏み込んだ人間を人々は『勇者』と呼んだ。
 たった一人で無残にも戦い続けた彼を『原初の勇者』と呼ばれた。

 この大事件から約二千年後……
 つまり、約六千年前……

 絶滅を免れた人類は、その数も増えてきた。
 文明も滅ぼされたが、新たな文明が発展し、争いを繰り返しながらも、生息してきた。

 一方カリアス魔族の大陸では、『魔王サタン』と名乗る者が、魔族全体を統率していた。
 サタン含め、十二匹の魔族を『魔王軍十二ノ階級』と呼び、争う事なく平和に暮らしていた。

 だが……人間はその平和をも、ぶち壊した。
『勇者達』がサタンの親友を暗殺し、魔王ば単独でハーバス人間の大陸に乗り込み、暴れまわった。
 その隙を突き、勇者達はカリアス魔族の大陸に住む魔族を殺して回った。

 人間の文明を破壊する程、暴れたサタンはカリアス魔族の大陸に戻ったが、時既に遅かった。
 仲間は殆どが殺された後だった……
『十二ノ階級』も半数は殺され、残った者も瀕死の状態だった。

 仲間達に報いようとサタンは戦ったが、強大な力を手にした、何人者勇者の前に葬り去られてしまった……
 多種族に攻め込もうとしたが、自分達の文明が崩壊した為、引き揚げるしか他なかった。

 それから約二千年後……
 つまり、四千年前……

 何度も人間や文明を破壊され、より戦力を増強しなければならないと考えた人類は、『勇者』の数を更に増やした。

 文明が滅びようとも、『禁忌の領域』さえ踏み込めば、何度も蘇る。
 人々は次第にそう考えるようになった。
 どの様な技術なのか?
 それは一切明かされていない。
 謎に包まれている。

 だが、人類の文明は再び破壊された。
 たった一人の者によって。

 今まで攻めてばかりだったが、今度は攻め込まれたのであった。
 勇者の数も増えている。
 なのに何故か?
 その一人が異常に強かったのである。

 何十人の勇者相手にたった一人で攻め込み、人類が敗北した。
 その事実だけが残っている。

 何年も一人で戦った者は、力尽き、首を取られたが、残った人々は彼の存在をこう呼んだ。
『原初の勇者の四千年の呪い』と……
 またある人は『魔王サタンの怒り』と……

 そして現代まで、多種族と争い続けた。
 何故人はここまで争うのか?

 答えは……多種族の力だ。
 勇者は、何かに怯える様に力を欲する。

 そう何かに……

 それはまだ何なのか分かっていない。

 文明が滅びようとも、何万の人が殺されようと、争いは続く。

 永遠に……

 だが千年前から争いがピタッと止んだ。
 何かを蓄える為か、違う理由なのか……

 それは人間にしか分からない……

 そして時は現代へ…………


 何処かの森……
「……ここ何処ワン? 僕は確か……あれワン? なんだこの姿ワン!」

 永き眠りから、次々と眼を覚ます……
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