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生贄の夫の弟
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「じゃあ、自己紹介しますね。僕は、海山蒼居っていいます。」
びっくりしたとでもいうような蛇の顔を見て、意味がわからないという顔をする蒼居。蒼居の自己紹介の声が無駄に耳に残りつつ、その沈黙が5分続いた。
「漢字はどう書く?」
いきなりヘンテコな質問に戸惑いながらも紙に"海山蒼居"と書く。すると、普通にしてても大きい目がもっと大きくなる。
「今日は何の用で来た?」
いきなり曇った蒼居の顔、
「それは、世界でたった一人の大事な兄が死んだんです。」
思ってもみなかった回答に胸が変に痛くなる。蛇は忘れようとした、していた、ブルーベリーのように酸っぱく甘い優しい思い出がよみがえる。
「どうして?死因は?」
「それが分からないんです。ただ、兄は死ぬ前に婚約していた相手と結婚して・・・それからすぐに黒い手紙が。幸せだったはずなのに…理由が知りたいんです。」
泣き目になりながら言った言葉は切なく、やるせない思いがこもっていた。
「だから、なぜ来た?」
黒い手紙と聞いた途端に目の色が変わった、蛇。
「兄の友人に経緯を話したらここに行けって。」
「まてっ、その顔。」
蛇が蒼居の顔に手をあてると、今まで血が出てかさぶたになっていたところが元に戻り始めた。あてられた手からは眩い、陽の光のような光が放たれている。それから、約5秒くらいで元に戻った。
「黒い手紙は死の手紙。そういう言葉を聞いたことはないか?」
戸惑いの顔を見せた蒼居に蛇は続ける。
「私は、一カ月前に生贄として捧げられるはずだった少女とその夫が湖で死んでいたところを見た。二人は今、湖のほとりにある墓にいる。」
下を向きつつ、蛇は言った。蒼居は大粒の涙を流しながら言った。
「お墓をつくってくれたんですね。本当に、本当にありがとうございます。」
蛇はびっくりしたように眉を少し上げた。
「なぜ礼を言う?当たり前のことをしたまでなのに。」
白蛇さんって案外優しいのかな?と思う蒼居に、蛇は手際よくその場所の地図を渡した。
「ありがとうございます。じゃあ、僕は帰ります。兄と義姉のお墓参りしたいので。」
と言い帰ろうとしたが
「まて、なぜそんなに簡単にお参りできるほどの気持ちの整理がつくのだ?」
「えっ?さっき散々泣きましたけど…」
実は蒼居が蛇に礼を言う前に一時間程度泣いたのだった。それでも、分からないという顔に向けて
「泣いた時に兄の顔が浮かんだんです。それでもっと泣きそうになりそうに…でも、頭の中での兄は僕が泣いていたらきっと責任を感じて悲しい顔をするだろうから、笑顔でいようと決めたんです。」
そう言って小屋を出ようとすると、またしても
「まて、もう一つ。」
袖の裾を掴みながら蛇は言った。蒼居の想像を超える、白くて可愛い手だった。
「お前、えとに入らないか?」
いきなりスカウトされた蒼居。
「えととは?」
「それはいいが素質がある。魔力がある者限定なのだが、君はいい!まぁ、そうなった理由は後日話すから。墓参り行きながら、考えとけ。」
そうやって手に握らされた最短で湖へ行ける地図とえと?の条約みたいなのが書かれた紙を持って、小屋を出た。そうすると、青色の空から微笑みかけるような陽の光がさしてきた。
「えとって何?」
疑念を抱きつつお墓に向かった。その道中では湖に真っ直ぐ繋がる印であるかのように花や草木が咲き誇っていた。小鳥のさえずりが気持ち良く耳に届き、冬だというのにコオロギが鳴いていた。着いたころには日はてっぺんをちょっと過ぎたところにあった。
「やっと着いたー!」
土が盛られている所の前に立ち、話しかける。
「兄貴来れなくてごめんね。なんでか分からなくて。いい人に出会ったんだよ。まだよく知らないけど・・・僕は泣かないことにした。兄貴の責任にしたくないから。向こうでも笑ってて。」
手を合わせ、目を伏せる。なぜか辺り一面が花や草だらけなのを白蛇に聞こうと思った。
びっくりしたとでもいうような蛇の顔を見て、意味がわからないという顔をする蒼居。蒼居の自己紹介の声が無駄に耳に残りつつ、その沈黙が5分続いた。
「漢字はどう書く?」
いきなりヘンテコな質問に戸惑いながらも紙に"海山蒼居"と書く。すると、普通にしてても大きい目がもっと大きくなる。
「今日は何の用で来た?」
いきなり曇った蒼居の顔、
「それは、世界でたった一人の大事な兄が死んだんです。」
思ってもみなかった回答に胸が変に痛くなる。蛇は忘れようとした、していた、ブルーベリーのように酸っぱく甘い優しい思い出がよみがえる。
「どうして?死因は?」
「それが分からないんです。ただ、兄は死ぬ前に婚約していた相手と結婚して・・・それからすぐに黒い手紙が。幸せだったはずなのに…理由が知りたいんです。」
泣き目になりながら言った言葉は切なく、やるせない思いがこもっていた。
「だから、なぜ来た?」
黒い手紙と聞いた途端に目の色が変わった、蛇。
「兄の友人に経緯を話したらここに行けって。」
「まてっ、その顔。」
蛇が蒼居の顔に手をあてると、今まで血が出てかさぶたになっていたところが元に戻り始めた。あてられた手からは眩い、陽の光のような光が放たれている。それから、約5秒くらいで元に戻った。
「黒い手紙は死の手紙。そういう言葉を聞いたことはないか?」
戸惑いの顔を見せた蒼居に蛇は続ける。
「私は、一カ月前に生贄として捧げられるはずだった少女とその夫が湖で死んでいたところを見た。二人は今、湖のほとりにある墓にいる。」
下を向きつつ、蛇は言った。蒼居は大粒の涙を流しながら言った。
「お墓をつくってくれたんですね。本当に、本当にありがとうございます。」
蛇はびっくりしたように眉を少し上げた。
「なぜ礼を言う?当たり前のことをしたまでなのに。」
白蛇さんって案外優しいのかな?と思う蒼居に、蛇は手際よくその場所の地図を渡した。
「ありがとうございます。じゃあ、僕は帰ります。兄と義姉のお墓参りしたいので。」
と言い帰ろうとしたが
「まて、なぜそんなに簡単にお参りできるほどの気持ちの整理がつくのだ?」
「えっ?さっき散々泣きましたけど…」
実は蒼居が蛇に礼を言う前に一時間程度泣いたのだった。それでも、分からないという顔に向けて
「泣いた時に兄の顔が浮かんだんです。それでもっと泣きそうになりそうに…でも、頭の中での兄は僕が泣いていたらきっと責任を感じて悲しい顔をするだろうから、笑顔でいようと決めたんです。」
そう言って小屋を出ようとすると、またしても
「まて、もう一つ。」
袖の裾を掴みながら蛇は言った。蒼居の想像を超える、白くて可愛い手だった。
「お前、えとに入らないか?」
いきなりスカウトされた蒼居。
「えととは?」
「それはいいが素質がある。魔力がある者限定なのだが、君はいい!まぁ、そうなった理由は後日話すから。墓参り行きながら、考えとけ。」
そうやって手に握らされた最短で湖へ行ける地図とえと?の条約みたいなのが書かれた紙を持って、小屋を出た。そうすると、青色の空から微笑みかけるような陽の光がさしてきた。
「えとって何?」
疑念を抱きつつお墓に向かった。その道中では湖に真っ直ぐ繋がる印であるかのように花や草木が咲き誇っていた。小鳥のさえずりが気持ち良く耳に届き、冬だというのにコオロギが鳴いていた。着いたころには日はてっぺんをちょっと過ぎたところにあった。
「やっと着いたー!」
土が盛られている所の前に立ち、話しかける。
「兄貴来れなくてごめんね。なんでか分からなくて。いい人に出会ったんだよ。まだよく知らないけど・・・僕は泣かないことにした。兄貴の責任にしたくないから。向こうでも笑ってて。」
手を合わせ、目を伏せる。なぜか辺り一面が花や草だらけなのを白蛇に聞こうと思った。
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