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悪女と聖女
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あなたは、とても美しい
その美しさで
あの娘を救って
「この悪女め!お前を西の奥地に幽閉する!そこで俺に従わなかったことを後悔するがいい!!ハーハッハッハッハ!」
パチリと開かれた視界に、その言葉はすぐに飛び込んできた。驚いている顔のあの娘。ニヤついている周囲の貴族。高らかに笑う王子様。全てが終わった瞬間だった。
あの娘を取り巻く何もかもが。
「・・・ねぇ、王子様」
「どうしたんだい?我が愛しのカナリア。君の声は、いつも愛らしいね--ああ!幽閉程度じゃ生ぬるいって?確かに、あいつが君にしたことは、この程度では許されないけれどね。仮にも聖女候補だった者を処刑には・・」
「ううん。そうじゃないわ。あの娘の罪は、女神様に許されているもの。私が何か言える立場じゃないわ」
にっこり笑顔で応えると王子様も周りの貴族も「お優しい」「さすが聖女様」「なんて可憐な」なーんてざわめき出す。その中で、あの娘だけ。あの娘だけは私を異質な者をみる目で見ていた。
ああ、さすが聖女様!
私の異質さが分かるのね!
ああ、なんて なんて
「ふふ、王子様」
「なんだい?リリ」
「私、言わなくちゃいけない事があるの」
「なんだい?何でも言ってごらん」
王子様の腕を取って、にっこり笑顔。誰も彼もが見惚れる中で、私は静かに
「私ね・・・」
「貴方達のことなんて、大っ嫌いよ!」
・・・・・・・・・・・・・
足の下の魔法陣を起動させた。
突如、響く轟音。叫び逃げ惑う人々。笑う私の隣で王子は腰を抜かし気絶した。あーあ。なんて情けないのかしら。私はすぐに王子の側から駆け出し、あの娘の元へ急ぐ。逃げ惑う人々の中にいても、あの娘の周りだけは不思議と静かだった。まるで、何かに守られているみたいな。
そんな呆然としている、あの娘の手を取って駆け出す。
走って、走って、走って
誰も追いつけない遠くまで
「リリ!リリ!」
「なぁに?ルル」
「貴方、どうして!聖女様なのに!」
駆けながら、あの娘が叫ぶ声に耳を傾ける。
聖女、聖女ねぇ。この国の聖女制度は異質だ。少しでも癒しの力があると、幼い頃から親元を離され生活させられ、一番賢く美しい聖女が王侯貴族と結婚する。聖なる人なのに?まだ、一生、教会で奉仕する方が理解できるというもの。何故、最終的に聖女が王侯貴族と結婚するのか意味が分からない。しかも、聖女集めは王様命令ときたもんだ。
幼く綺麗な子どもを囲って、自分好みに育てて、結婚する。
単純に言ってキモチワルイ。
聖女の血を残すため?
一代限りで、いつ、誰がなるか分からないと言われているのに?
血は関係ないとされているのに?
「ルル」
「リリ?どうし「私と一緒に逃げよう」
「え?」
「聖女なんて、どうにでもなるよ。他の子もいるし」
「でも、それじゃあ、、、」
「私はルルが大事。どんな金銀財宝よりも、聖女の地位よりも。もし、これで誰か不幸になってもかまわない!貴方より大事なもの何てないの!」
握る手が強くなる。後ろで微かに聞こえる人の声も気にならない。悲鳴も怒声も、どうだっていい。この握る手の温かさだけが私の全てだった。
「ルル、貴方がつらいなら、咎を受けるのは私だけで」
「リリ、駄目よ」
喚くような私の声を、静かなあの娘の声が諌める。走る足が止まる。ああ、やっぱり、ここまでなのかな。せめて、ルルだけでも逃がさなくちゃ。この国から、少しでも遠くへ。
項垂れる私の頭に、温かな人の手が乗せられる。
ゆっくりと撫でるその手は、私がずっと好きな、大好きな
「まったく、いつも貴方は猪突猛進ね」
「リリ、駄目よ」
「貴方だけなんて、許さない」
呆然とする私の手を今度は、あの娘が引っ張り、走り出す。
もう、ほかの人の声は聞こえなかった。
「私達、2人で逃げるの!」
走り続ける2人の少女の背中に温かな風が吹き抜ける。まるで温かい誰かの手が2人の背を押すように。
笑い合う少女達の手は固く握られていた。
ありがとう あの娘を救ってくれて
「「いいえ、どういたしまして女神様!!」」
その美しさで
あの娘を救って
「この悪女め!お前を西の奥地に幽閉する!そこで俺に従わなかったことを後悔するがいい!!ハーハッハッハッハ!」
パチリと開かれた視界に、その言葉はすぐに飛び込んできた。驚いている顔のあの娘。ニヤついている周囲の貴族。高らかに笑う王子様。全てが終わった瞬間だった。
あの娘を取り巻く何もかもが。
「・・・ねぇ、王子様」
「どうしたんだい?我が愛しのカナリア。君の声は、いつも愛らしいね--ああ!幽閉程度じゃ生ぬるいって?確かに、あいつが君にしたことは、この程度では許されないけれどね。仮にも聖女候補だった者を処刑には・・」
「ううん。そうじゃないわ。あの娘の罪は、女神様に許されているもの。私が何か言える立場じゃないわ」
にっこり笑顔で応えると王子様も周りの貴族も「お優しい」「さすが聖女様」「なんて可憐な」なーんてざわめき出す。その中で、あの娘だけ。あの娘だけは私を異質な者をみる目で見ていた。
ああ、さすが聖女様!
私の異質さが分かるのね!
ああ、なんて なんて
「ふふ、王子様」
「なんだい?リリ」
「私、言わなくちゃいけない事があるの」
「なんだい?何でも言ってごらん」
王子様の腕を取って、にっこり笑顔。誰も彼もが見惚れる中で、私は静かに
「私ね・・・」
「貴方達のことなんて、大っ嫌いよ!」
・・・・・・・・・・・・・
足の下の魔法陣を起動させた。
突如、響く轟音。叫び逃げ惑う人々。笑う私の隣で王子は腰を抜かし気絶した。あーあ。なんて情けないのかしら。私はすぐに王子の側から駆け出し、あの娘の元へ急ぐ。逃げ惑う人々の中にいても、あの娘の周りだけは不思議と静かだった。まるで、何かに守られているみたいな。
そんな呆然としている、あの娘の手を取って駆け出す。
走って、走って、走って
誰も追いつけない遠くまで
「リリ!リリ!」
「なぁに?ルル」
「貴方、どうして!聖女様なのに!」
駆けながら、あの娘が叫ぶ声に耳を傾ける。
聖女、聖女ねぇ。この国の聖女制度は異質だ。少しでも癒しの力があると、幼い頃から親元を離され生活させられ、一番賢く美しい聖女が王侯貴族と結婚する。聖なる人なのに?まだ、一生、教会で奉仕する方が理解できるというもの。何故、最終的に聖女が王侯貴族と結婚するのか意味が分からない。しかも、聖女集めは王様命令ときたもんだ。
幼く綺麗な子どもを囲って、自分好みに育てて、結婚する。
単純に言ってキモチワルイ。
聖女の血を残すため?
一代限りで、いつ、誰がなるか分からないと言われているのに?
血は関係ないとされているのに?
「ルル」
「リリ?どうし「私と一緒に逃げよう」
「え?」
「聖女なんて、どうにでもなるよ。他の子もいるし」
「でも、それじゃあ、、、」
「私はルルが大事。どんな金銀財宝よりも、聖女の地位よりも。もし、これで誰か不幸になってもかまわない!貴方より大事なもの何てないの!」
握る手が強くなる。後ろで微かに聞こえる人の声も気にならない。悲鳴も怒声も、どうだっていい。この握る手の温かさだけが私の全てだった。
「ルル、貴方がつらいなら、咎を受けるのは私だけで」
「リリ、駄目よ」
喚くような私の声を、静かなあの娘の声が諌める。走る足が止まる。ああ、やっぱり、ここまでなのかな。せめて、ルルだけでも逃がさなくちゃ。この国から、少しでも遠くへ。
項垂れる私の頭に、温かな人の手が乗せられる。
ゆっくりと撫でるその手は、私がずっと好きな、大好きな
「まったく、いつも貴方は猪突猛進ね」
「リリ、駄目よ」
「貴方だけなんて、許さない」
呆然とする私の手を今度は、あの娘が引っ張り、走り出す。
もう、ほかの人の声は聞こえなかった。
「私達、2人で逃げるの!」
走り続ける2人の少女の背中に温かな風が吹き抜ける。まるで温かい誰かの手が2人の背を押すように。
笑い合う少女達の手は固く握られていた。
ありがとう あの娘を救ってくれて
「「いいえ、どういたしまして女神様!!」」
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ーーー
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