【完結】ただのADだった僕が俳優になった話

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彼方がベッドに入ったのを確認してから、何を買う必要があるか家の中を調べ、リビングに戻る

まさか志野が用意してくれた布団と歯ブラシ、食器類しか来客用の物がないとは……

でもこの家にはリビング以外、人を通した事が無いし、ゲストルームの事もベッドは買ったが面倒になって他は買わなかった

他人を自分のテリトリーに入れるつもりが無かったからだが、ここまで酷いとは自分の面倒くさがりに呆れてしまう

逆に、ここに引っ越して暫くたった時、ベッドしか置いてないと話したのを志野が覚えていてくれて良かった

でなければ布団さえなかっただろう…

明日の予定に買い物の時間を取ってもらうため志野に連絡を入れる

頼との久々の時間を邪魔して悪いが、早急に家具など買い物をしないと、あの足で何も無い部屋で生活するのは大変だろう

メールを送ると直ぐに「了解」と返事が来た

明日も早いし、早めに休もうと風呂へ向かった









風呂から上がり、水を飲みながら廊下を歩く

「ーーーーーめーーーーはーーーーいやーーーー」

ゲストルームの前を通りかかると、微かに彼方の声が聞こえた

あれ?さっき寝たはずじゃあ…と思い少しだけドアを開け中の様子を確認する

外からの明かりで部屋が暗くても中の様子がわかる

「…………来ないで…………いや……………」

寝言?
魘されてるのか……?

そっとベッドに近づき顔を覗き込むと、彼方は泣きながら眠っていた

「彼方………」

呼びかけてみるが起きる気配がない

どうするか……と思案していると、お爺さんの言葉を思い出した

『あちらに戻っても、暫くは側にいてやって欲しい。
夜になると魘されてるんだ。本人はそれに気づいてないようだが…』

起こさないよう彼方を抱き上げ、自室に戻る

抱き上げると、無意識なのか擦り寄ってきてすぐ寝言が止んだ

深い眠りに入ったのだろう

朝起きたら驚くだろうが、仕方ない

本人は分かっていないが、心に大きな傷がついているんだろう

下手をしたら山で死んでたかもしれない

関わってまだ2ヶ月も経たない人間から拉致され山に置き去りにされたんだ

理由も分からず、真っ暗な山に1人

どれ程怖かっただろう………




ベッドに寝かせ隣に潜り込む

一緒のベッドに入るのは、あの撮影の時以来か……

軽く頭を撫でると猫のように擦り寄ってくる

その姿につい笑みが漏れる


いつの間にかその暖かな体温に、眠りへと引きずり込まれていた






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