18 / 45
18
しおりを挟む
目が覚めるとそこは見慣れない天井だった。
(····ここって·······)
「お?起きたか。体調どうだ?」
保健室の先生が顔を覗き込んできた。
「もう、平気です。」
朝より大分マシになった気がした。
「念の為体温測れ。」
そう言って体温計を渡してきた。
「はい。」
体温計は冷たくて少しブルっと震えた。
ピピピピ
「36.4です。」
「平熱だな。授業に戻っていいがまた体調悪くなるようなら文哉に言うんだぞ。」
「·····文哉?」
聞いたことの無い名前だなと思い頭にはてなマークが浮かんだ。
「あー二階堂のことだ。」
(へぇ二階堂先生って文哉って言うんだ。)
「仲良いんですね。」
質問すると桜井先生は頭をガシガシかいた。
「ま、まぁな。」
その顔はほのかに赤らめていてそれはとても可愛らしかった。
「あ!愛希と兄弟なんですか?」
話のワードを変えたくて咄嗟に思い出したように話を切り出した。
「あ?···そうだ。歳は離れてるが血の繋がった兄弟だ。」
「へ~、だから目元がそっくりなんですね。」
「目元?」
「はい。ぱっちり二重と少しタレ目なのがよく似てるな~って。」
「····そうか。」
(····なんかまずいこと言ったかな?)
決してそういう訳ではないと訂正しそうとしたらタイミングよくチャイムが鳴った。
「はいはい。これで話は終わり。元気なら戻れ。」
しっしっ、と手で去るように合図してきた。
「はい。ありがとうございました。」
俺は保健室を後にした。
*****
俺は結構な時間寝ていたらしく、時計を見るとお昼の時間だった。
(····お腹減ったな。)
俺の腹の虫が音を立てた。
今日は弁当を持ってくるのを忘れちゃったから購買で買うことにした。
ここの購買は特にパンが美味しいと評判だ。
購買へ足を運んでいると朝と同様にたくさんの人に見られた。
(·······え、何?)
その中には1年だけじゃなくて、2年、3年もいて威圧感が凄かった。
お昼時ってだけあって購買は混んでいた。
(·····パン、買えるかな?)
人混みを避けながら購買へ向かった。
「おばちゃん、何かパンある?」
パンを売ってる購買のおばちゃんに聞いた。
「こりゃ、可愛い子だね~。1年生かい?」
「はい。実はお弁当持ってくるの忘れてしまって·····。」
「そりゃ、可哀想に。ちょっと待ってな。」
「ありがとうございます。」
おばちゃんはそう言って調理場の方へ歩いていった。
俺がおばちゃんを待ってると3人の先輩が購買へ来た。
「おばちゃん~!」
1人の先輩がそう呼ぶとおばちゃんは奥からはいはい。と言って戻ってきた。
「あらあら。君もかい。」
「いや~お弁当忘れちゃって。」
「悪いけどパン1つしかないのよ~。それにこれは先に来たこの子のだから。」
おばちゃんはそう言って俺の手にパンを乗せてきた。
先輩は俺の方を見てきた。と思う。
俺は怖くて下を向いたまま話を進めた。
(·····これって譲ってあげなきゃだよね?)
「あ、おばちゃん。俺はいいよ。···良かったらどうぞ。」
そう言って先輩の手にパンを乗せた。
(····って、この人3年のクラスでぶつかった人だ!!)
「···え?って君、名前···「失礼します!!」」
俺は言葉をさえぎって逃げるように走った。
(あっぶねー!冷や汗たまらんわ!)
結局パンを買えなかった俺は諦めて教室に戻ることにした。
(····ここって·······)
「お?起きたか。体調どうだ?」
保健室の先生が顔を覗き込んできた。
「もう、平気です。」
朝より大分マシになった気がした。
「念の為体温測れ。」
そう言って体温計を渡してきた。
「はい。」
体温計は冷たくて少しブルっと震えた。
ピピピピ
「36.4です。」
「平熱だな。授業に戻っていいがまた体調悪くなるようなら文哉に言うんだぞ。」
「·····文哉?」
聞いたことの無い名前だなと思い頭にはてなマークが浮かんだ。
「あー二階堂のことだ。」
(へぇ二階堂先生って文哉って言うんだ。)
「仲良いんですね。」
質問すると桜井先生は頭をガシガシかいた。
「ま、まぁな。」
その顔はほのかに赤らめていてそれはとても可愛らしかった。
「あ!愛希と兄弟なんですか?」
話のワードを変えたくて咄嗟に思い出したように話を切り出した。
「あ?···そうだ。歳は離れてるが血の繋がった兄弟だ。」
「へ~、だから目元がそっくりなんですね。」
「目元?」
「はい。ぱっちり二重と少しタレ目なのがよく似てるな~って。」
「····そうか。」
(····なんかまずいこと言ったかな?)
決してそういう訳ではないと訂正しそうとしたらタイミングよくチャイムが鳴った。
「はいはい。これで話は終わり。元気なら戻れ。」
しっしっ、と手で去るように合図してきた。
「はい。ありがとうございました。」
俺は保健室を後にした。
*****
俺は結構な時間寝ていたらしく、時計を見るとお昼の時間だった。
(····お腹減ったな。)
俺の腹の虫が音を立てた。
今日は弁当を持ってくるのを忘れちゃったから購買で買うことにした。
ここの購買は特にパンが美味しいと評判だ。
購買へ足を運んでいると朝と同様にたくさんの人に見られた。
(·······え、何?)
その中には1年だけじゃなくて、2年、3年もいて威圧感が凄かった。
お昼時ってだけあって購買は混んでいた。
(·····パン、買えるかな?)
人混みを避けながら購買へ向かった。
「おばちゃん、何かパンある?」
パンを売ってる購買のおばちゃんに聞いた。
「こりゃ、可愛い子だね~。1年生かい?」
「はい。実はお弁当持ってくるの忘れてしまって·····。」
「そりゃ、可哀想に。ちょっと待ってな。」
「ありがとうございます。」
おばちゃんはそう言って調理場の方へ歩いていった。
俺がおばちゃんを待ってると3人の先輩が購買へ来た。
「おばちゃん~!」
1人の先輩がそう呼ぶとおばちゃんは奥からはいはい。と言って戻ってきた。
「あらあら。君もかい。」
「いや~お弁当忘れちゃって。」
「悪いけどパン1つしかないのよ~。それにこれは先に来たこの子のだから。」
おばちゃんはそう言って俺の手にパンを乗せてきた。
先輩は俺の方を見てきた。と思う。
俺は怖くて下を向いたまま話を進めた。
(·····これって譲ってあげなきゃだよね?)
「あ、おばちゃん。俺はいいよ。···良かったらどうぞ。」
そう言って先輩の手にパンを乗せた。
(····って、この人3年のクラスでぶつかった人だ!!)
「···え?って君、名前···「失礼します!!」」
俺は言葉をさえぎって逃げるように走った。
(あっぶねー!冷や汗たまらんわ!)
結局パンを買えなかった俺は諦めて教室に戻ることにした。
54
あなたにおすすめの小説
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?
詩河とんぼ
BL
前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます
クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。
『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。
何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。
BLでヤンデレものです。
第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします!
週一 更新予定
ときどきプラスで更新します!
メインキャラ達の様子がおかしい件について
白鳩 唯斗
BL
前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。
サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。
どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。
ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。
世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。
どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!
主人公が老若男女問わず好かれる話です。
登場キャラは全員闇を抱えています。
精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。
BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。
恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる