人気者達に何故か俺が構われすぎてます。

どらやき

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「春馬、子猫見に行くのか?」


帰り際ふと俊介が聞いてきた。


「うん。」


「そっか。じゃあな。気をつけて帰れよ。」


「うん!」


今日で専門委員会見学は最終日だ。


残念だが俺は参加しない。


早く子猫の元へ行こうと早足で昇降口へ向かっていると、俺の靴箱の前に2人の先輩が居た。


(······ん?)


「あ、来た来た。」


目が合うと1人の先輩が俺の事を呼んだ。


(·····俺何かした!?)


先輩に目付けられるって····最悪じゃん。


「····お前······女か?」


不意にそんな事を聞かれた。


(失礼なっ!胸なんてありませ~ん!)


ムカつきながらも先輩だからと言い聞かせて気持ちを落ち着かせる。


すると、


ペタ


「ひゃっ!?····な、何するんですか!?」


いきなり俺のなんも無い胸を触ってきた。


反応が楽しかったのか次はくすぐりをしてきた。


「あ、ひゃっ、···あはははっ、ちょっ、マジで··やめぇっ、あひゃ、っ!」


俺の地味に高い声が昇降口に響き渡る。


1年は居ないが、2年、3年の姿がまばらに見える。


「も、やめ·······」


「·····あっ!わりい、悪ぃ。つい。」


「·····可愛いな((ボソッ…」


(おい?ついってなんだよ。ついって。)


俺は勝手に体触られるほど安く売ってねぇぞ!


先輩はやっと俺を解放してくれた。


「で?なんの用ですか?」


質問すると先輩は2·3年で俺がものすごく有名になっていると言われた。


「·········は?」


(いやいやいやいや。俺?なんで?)


「な、···なんで?」


俺なんかした?


身に覚えが無さすぎて反応に困る。


俺の容姿では人にキャーキャー言われることはまず無い。


かと言って身長が高いわけでも、特別頭が良いとか運動ができるとかそういう訳でもない。


(·····え?もしかして······)


俺はひとつ思い浮かんだ。


それは攻略者達と主人公だ。


彼らは1年はもちろん、2·3年からもイケメンだ、とか優しい、かっこいい···なんて理由で有名だ。


それに男子校にもかかわらず彼らに告白する人はちょいちょいいる。


(思ったけどさ····男が好きな人がおおいのか?いや、まぁ····別に悪いことじゃないけどさ。)


こういう系は俺とは無縁だからピンと来ない。


それともなんだ。男子校だからか?


まぁ、なんでもいい。とりあえず!身の安全の確保だ!!


沈黙を破ったのは、後ろから聞こえた声の主だった。


「お前ら何してんだ?」


その声は、聞き覚えのある······そう。


俺がぶつかった人だ。


「あ、悟·連!」


「··········え?」


(な、なんで増えたん?え?)


先輩が4人に増えてしまった。


先輩達は俺を囲むようにして立った。


(ひぃっ!?)


「あ?こいつ······」


「え?」


たまらず声のした方を見るとぶつかった先輩と目が合った。


目が合うなり顔が赤くなって目を逸らされた。


(·····な、さっきからなんやねん!)


すると、明るい声がした。


「あ!君この前うちのクラス来た子だよね?」


茶髪でチャラそうな先輩が俺に聞いてきた。


「は、····はい。」


「君名前なんて言うの!?」


「そ、園川春馬です。」


「春馬君!いい名前だね!俺は河野連!仲良くなりたいからこれからはるちゃんって呼ぶね?」


「あーはい。·····え?」


(しまった!ボーっとしてて聞いてなかった!)


「よし!じゃあ決まり!」


勝手に話が進められた。


まぁ、呼び名くらい何でもいいけど。


「あ、隣にいるのは八神悟。イケメンでしょ!」

悟····こんな先輩居たっけか?


「春馬······」


突然名前を呼ばれた。


俺の名前を呼ぶ声は俺のどタイプの声だった。


低くて男らしい声だがどこか色気がある。


深くて伸びる綺麗な声だ。


その声に俺の心臓は不思議と音を立てた。
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