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律side
零が俺達の兄になって結構経った。
それなりに仲良くやっているが、零の人気が今になって出てきた。
(零の良さなんて·····俺の方が知ってるし)
初めて会った時、正直女かと思った。
でも、男で、ドジで、笑顔が可愛くて、騙されやすくて、一緒にいて安心して、料理が上手で、······零のいい所を出したらキリが無い。
学校に行ったら、部活のヤツらに零について聞かれるし、オマケに女子にも。
(·····俺の方が、仲良いし·····)
いつの間にか、零に対してイラつきを持っていた。
零の学校のヤツら、特に女子。
そいつらを牽制する為に、俺は零を学校まで迎えに行った。
「え?律?」
後ろには、仲良くなったヤツらなのか、女子と男子が沢山ついてきていた。
「零、帰るぞ。」
乱暴に零の腕を引っ張った。
「え!?ちょ、律!?」
俺はそのまま零と家に帰った。
家に着くなり、零はソファに座った。
俺は零の隣に座り、横から零に抱きついた。
「······何かあった?」
そう言って頭を優しく撫でてくれる。
「·······零は····友達、多い方が···良い?」
何を当たり前のこと聞いてるんだ、と自分でも思った。
でも、なんて答えて欲しいんだろう。
「う~ん、そりゃ、多い方が楽しいんじゃないかな。」
「······あ、そっ「でも」」
俺の言葉を遮るように、零が言葉を重ねてきた。
そして、俺を見つめてきた。
その目はとても優しくて、思わず涙が出そうだった。
「でも、俺は沢山欲しいって、思ったことは無いよ。」
凛とした声ではっきりと言った。
「······ほんと?」
「うん。俺は数より質だと思う。·····って、人の事にこの例えはないか···。でもね、沢山友達が居ても、俺自身は空っぽだと思うよ。」
どこか、寂しそうに呟いた。
「··········零、?」
「俺はね、100人友達が居ても、1人だけ、律だけでもそばに居てくれたら十分だよ。」
(·········あぁ。)
なんて、凄いんだ、と思った。
俺は何も言ってなくて、ただいつもより態度が違っただけ。
でも、それは間違いなく俺の欲しかった答えだった。
「·········そ、なの····」
「うん。」
その言葉に思わず鼻をすすった。
「えー!?律泣いてるの?」
「グスッ····泣いてねぇし···」
「大丈夫、大丈夫。俺は律が俺の事を視界に入れたくない、嫌いって言うまで傍に居るから。」
(「じゃあ、俺が一生そばに居て」って言ったら·····)
思わず言いそうになってしまった。
でも、これを言うならもっと先。
だから、
「ふはっ····何だそれ。」
「可愛い律の為だもんね~!」
仕方ないから、笑ってやる。
零が俺達の兄になって結構経った。
それなりに仲良くやっているが、零の人気が今になって出てきた。
(零の良さなんて·····俺の方が知ってるし)
初めて会った時、正直女かと思った。
でも、男で、ドジで、笑顔が可愛くて、騙されやすくて、一緒にいて安心して、料理が上手で、······零のいい所を出したらキリが無い。
学校に行ったら、部活のヤツらに零について聞かれるし、オマケに女子にも。
(·····俺の方が、仲良いし·····)
いつの間にか、零に対してイラつきを持っていた。
零の学校のヤツら、特に女子。
そいつらを牽制する為に、俺は零を学校まで迎えに行った。
「え?律?」
後ろには、仲良くなったヤツらなのか、女子と男子が沢山ついてきていた。
「零、帰るぞ。」
乱暴に零の腕を引っ張った。
「え!?ちょ、律!?」
俺はそのまま零と家に帰った。
家に着くなり、零はソファに座った。
俺は零の隣に座り、横から零に抱きついた。
「······何かあった?」
そう言って頭を優しく撫でてくれる。
「·······零は····友達、多い方が···良い?」
何を当たり前のこと聞いてるんだ、と自分でも思った。
でも、なんて答えて欲しいんだろう。
「う~ん、そりゃ、多い方が楽しいんじゃないかな。」
「······あ、そっ「でも」」
俺の言葉を遮るように、零が言葉を重ねてきた。
そして、俺を見つめてきた。
その目はとても優しくて、思わず涙が出そうだった。
「でも、俺は沢山欲しいって、思ったことは無いよ。」
凛とした声ではっきりと言った。
「······ほんと?」
「うん。俺は数より質だと思う。·····って、人の事にこの例えはないか···。でもね、沢山友達が居ても、俺自身は空っぽだと思うよ。」
どこか、寂しそうに呟いた。
「··········零、?」
「俺はね、100人友達が居ても、1人だけ、律だけでもそばに居てくれたら十分だよ。」
(·········あぁ。)
なんて、凄いんだ、と思った。
俺は何も言ってなくて、ただいつもより態度が違っただけ。
でも、それは間違いなく俺の欲しかった答えだった。
「·········そ、なの····」
「うん。」
その言葉に思わず鼻をすすった。
「えー!?律泣いてるの?」
「グスッ····泣いてねぇし···」
「大丈夫、大丈夫。俺は律が俺の事を視界に入れたくない、嫌いって言うまで傍に居るから。」
(「じゃあ、俺が一生そばに居て」って言ったら·····)
思わず言いそうになってしまった。
でも、これを言うならもっと先。
だから、
「ふはっ····何だそれ。」
「可愛い律の為だもんね~!」
仕方ないから、笑ってやる。
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